さよなら冥王星 (dwarf planet) [ニュースと英語]
惑星の定義をめぐる国際天文学連合の討議は、予期しなかった展開になった。当初言われていたような、惑星の数を12に増やすどころか、冥王星を惑星からはずすという、いわば逆の結論を出してしまった。
日本の国立天文台のサイトを見ると、議論が最初から揉めていたことがうかがえる。先日紹介した pluton という単語の問題点についても触れられている。
http://www.nao.ac.jp/nao_topics/data/000231.html
また、惑星の数を増やすことに反対する論拠をまとめた、一般向けの文章も見つけた。わかりやすく、時にはユーモアを感じさせる文章の筆者は、誰あろう、惑星に格上げされる可能性があった 2003 UB313 の発見者、マイケル・ブラウン博士である。惑星になれば、自分の栄誉がより高まる立場にあった人も反対していたわけだ。
http://www.gps.caltech.edu/~mbrown/
今回の総会は、惑星かどうかの疑問の声が絶えなかった冥王星を救おうという案を何とか考えたら、逆に反発を招いて dwarf planet に降格させる方に力学が働いてしまったような感じもする。
冥王星を見つけた Clyde Tombaugh は、惑星の発見者のうち唯一のアメリカ人だ。そんなことからアメリカでは、ミッキーマウスの愛犬を Pluto と名づけるなど、冥王星への思い入れが強いといわれている。どんな声が出ているのか、ロイター通信のサイトにあった記事から拾ってみた。
ニューヨークの自然史博物館の担当者。
- "We had enormous numbers of telephone calls and I would say things that verged on hate mail from second-graders -- very angry children who said, 'What have you done? This is the cutest, most Disney-esque of the planets. How could you possibly demote it?'"
ティーンエイジャーからの声。
- "It's one less planet to memorize."
先に紹介した、「第10惑星」2003UB313の発見者 Michael Brown のコメント。
- "Pluto is dead."
ディズニーの広報担当者。
- "Pluto is taking this news in stride, and we have no reason to believe he might bite an astronomer."
日本では、人気指揮者サイモン・ラトルによる、ホルストの「惑星」の新しい録音が、補作の「冥王星」つきで出たばかりだ。タイミングと運が悪かったなあ、と私などは思ったが、さすがにレコード会社の担当者は違った。
- 「冥王星が惑星でなくなれば、もうこの曲を録音する人はいないでしょう。貴重盤になると思います。」
惑星が12になった場合の英語版「水金地火…」については、いろいろな案がネット上で出ているのを見つけ、決まったら紹介しようと密かにたくらんでいた。しかし逆の結果になってしまった。
8惑星版は、これからいろいろ出てくるのではと思うが、ネットですでにひとつ見つけた。
- My Very Elegant Mother Just Sent Us Nothing.
星の文学者、野尻抱影氏が命名した冥王星。惑星ではなくなってしまったとはいえ、「星」をつけた和名で呼ばれる唯一の dwarf planet として、日本でも別格の存在であり続けるだろう。そして、トンボーの遺骨の一部を載せた最初の冥王星探査機が、2015年の到達をめざして、今も宇宙空間を飛んでいる。
(追記:2015年7月)
上記のエントリから10年近くが経ち、探査機「ニューホライズンズ」は冥王星の近接飛行 flyby に無事成功し、撮影した画像を送ってきた。私としても感慨深いものがあり、下記の記事を書いた。
・trickle 「ちょろちょろとした流れ」 (冥王星に探査機が到達)
過去の参考記事:
・「水金地火木土天海冥」は英語で何というか
・ホルストの「惑星」
日本の国立天文台のサイトを見ると、議論が最初から揉めていたことがうかがえる。先日紹介した pluton という単語の問題点についても触れられている。
http://www.nao.ac.jp/nao_topics/data/000231.html
また、惑星の数を増やすことに反対する論拠をまとめた、一般向けの文章も見つけた。わかりやすく、時にはユーモアを感じさせる文章の筆者は、誰あろう、惑星に格上げされる可能性があった 2003 UB313 の発見者、マイケル・ブラウン博士である。惑星になれば、自分の栄誉がより高まる立場にあった人も反対していたわけだ。
http://www.gps.caltech.edu/~mbrown/
今回の総会は、惑星かどうかの疑問の声が絶えなかった冥王星を救おうという案を何とか考えたら、逆に反発を招いて dwarf planet に降格させる方に力学が働いてしまったような感じもする。
冥王星を見つけた Clyde Tombaugh は、惑星の発見者のうち唯一のアメリカ人だ。そんなことからアメリカでは、ミッキーマウスの愛犬を Pluto と名づけるなど、冥王星への思い入れが強いといわれている。どんな声が出ているのか、ロイター通信のサイトにあった記事から拾ってみた。
ニューヨークの自然史博物館の担当者。
- "We had enormous numbers of telephone calls and I would say things that verged on hate mail from second-graders -- very angry children who said, 'What have you done? This is the cutest, most Disney-esque of the planets. How could you possibly demote it?'"
ティーンエイジャーからの声。
- "It's one less planet to memorize."
先に紹介した、「第10惑星」2003UB313の発見者 Michael Brown のコメント。
- "Pluto is dead."
ディズニーの広報担当者。
- "Pluto is taking this news in stride, and we have no reason to believe he might bite an astronomer."
日本では、人気指揮者サイモン・ラトルによる、ホルストの「惑星」の新しい録音が、補作の「冥王星」つきで出たばかりだ。タイミングと運が悪かったなあ、と私などは思ったが、さすがにレコード会社の担当者は違った。
- 「冥王星が惑星でなくなれば、もうこの曲を録音する人はいないでしょう。貴重盤になると思います。」
惑星が12になった場合の英語版「水金地火…」については、いろいろな案がネット上で出ているのを見つけ、決まったら紹介しようと密かにたくらんでいた。しかし逆の結果になってしまった。
8惑星版は、これからいろいろ出てくるのではと思うが、ネットですでにひとつ見つけた。
- My Very Elegant Mother Just Sent Us Nothing.
星の文学者、野尻抱影氏が命名した冥王星。惑星ではなくなってしまったとはいえ、「星」をつけた和名で呼ばれる唯一の dwarf planet として、日本でも別格の存在であり続けるだろう。そして、トンボーの遺骨の一部を載せた最初の冥王星探査機が、2015年の到達をめざして、今も宇宙空間を飛んでいる。
(追記:2015年7月)
上記のエントリから10年近くが経ち、探査機「ニューホライズンズ」は冥王星の近接飛行 flyby に無事成功し、撮影した画像を送ってきた。私としても感慨深いものがあり、下記の記事を書いた。
・trickle 「ちょろちょろとした流れ」 (冥王星に探査機が到達)
過去の参考記事:
・「水金地火木土天海冥」は英語で何というか
・ホルストの「惑星」
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NASAエンジニアとブログ上で交流した記事があります。
話題がごちゃ混ぜですが、「冥王星」も登場します。
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ブログで NASA のエンジニアと英語交流!
http://tada-de-english.blog.so-net.ne.jp/2006-08-26
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by Hirosuke (2009-04-09 08:30)