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さよなら小泉さん (lionを含む表現いろいろ) [英語文化のトリビア]

outgoing prime minister となった小泉さん。どう評価するかは別として、前例のないタイプの首相だったといっても異論は少ないだろう。その髪型と、当時のSMAPのヒット曲にひっかけたものか、「らいおんはーと」というメルマガを始めた時は驚いたが、「どうせ人気取り、そのうち立ち消えになるか、広報文の丸写しになるのが関の山」くらいに思っていた。

が、バックナンバーを時々眺めているうちに、いつしか5年、このほどちょうど250号で完結した。
http://www.kantei.go.jp/jp/m-magazine/backnumber/koizumi.html

その時々の政治の動きとあわせて、例えば最近の例だと、訪米時にはエルヴィス・プレスリー、またフィンランド訪問ではムーミンやシベリウスにも触れている。政治の内幕を書くわけにはいかないこともあるのだろうが、それでも親しみを持ってもらえるようにという姿勢は伝わってきた。まあ、どこまで本人が書いているのかはわからないが。

さて最新号の The Economist 誌に小泉首相についての記事があるが、小見出しのひとつは "Enter the Lionheart" である。ちなみに後継の安倍さんについて書かれた部分の小見出しには "The king is dead, long live the king" (「王は亡くなった、新王に栄えあれ」)という、よく知られた言葉が使われている。

辞書を引くと lionheart は「勇猛な人」、lionhearted だと「勇猛豪胆な」とある。世界史で習った「リチャード獅子心王」と関係があるのだったか。ライオンは、イギリスの紋章を支える動物のひとつ (the lion and unicorn) で、the British Lion だと、英国の紋章のライオン、また英国・英国民を表すとのこと。

lion が「勇猛な人」という意味で使われるのは理解できるが、someone who is very important, powerful, or famous という意味もあった。主にイギリス英語だが、複数形で「名所」や「呼び物」としても使われ、これは昔、ロンドンを訪れた観光客に決まってロンドン塔のライオンを見せたのが由来ということだ。

lion を使った表現もいろいろ辞書に載っていた。どれくらい日常的に使われるのかはわからないが、一部をあげると、

- as brave [bold] as a lion
- fight like a lion (「獅子奮迅」)
- a pride of lions (ライオンの誇り、ではなく群れ)
- a lion in the way [path] (前途に横たわる難関)
- throw somebody to the lions (見殺しにする)
- put one's head into the lion's mouth, walk into the lion's den (進んで危険な立場に身を置く)
- the lion of the day (当代の人気者)
- a social lion (社交界などの人気者)
- take the lion's share (一番大きい分け前を取る、うまい汁を吸う)
- see [show] the lions (名所を見る[案内する])
- Wake not a sleeping lion.
- March comes in like a lion and goes out like a lamb.
- A lion at home, a mouse abroad.
- make a lion of somebody

最後のイディオムは「人をもてはやす」だが、この意味では lionize という動詞もあり、英英辞典では to look on or treat (a person) as a celebrity 等と定義されている。類義語として worship, glorify, elevate などがあり、「もてはやす」という訳ではあるが、基本的にいい意味で使うように感じられる。

ちなみに、sea lion は「アシカ」。lion という単語から離れるが、(ライオンの)「たてがみ」は mane で、脱線だがシャーロック・ホームズ物語のひとつに "The Adventure of the Lion's Mane" という作品がある。

さて、最近ある英字紙に、複数の在京海外メディアの記者たちが小泉政権の報道を振り返ったコメントの特集が載っていた(タイトルは "End of the Lion")。それによると、人によって違いはあれど、記者たちはおおむね、小泉政権の「影」の部分にも目配りをしようとしていたと述べている。

しかし海外の英語メディアについて個人的な印象をいえば、やはり国内メディア以上に、小泉政治の「光」の部分に焦点をあてている感じが拭えなかった。何よりも欧米人にわかりやすい構図だったことがあるだろうし、さらに「改革」という言葉を使うだけで、「善きもの」と見なす傾向も英語圏にはあるように思うが、どうだろうか。

英文記事では判を押したように nationalist と形容されている後継の安倍さんだが、総理就任後はどのような形で海外に伝えられていくのだろうか。

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