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deus ex machina 「ご都合主義的なオチ」 [ラテン語・外来語]

ボブ・ウッドワードによるノンフィクション "The Secret Man" に関連して、ウォーターゲート事件の情報提供者から連想した単語をもうひとつあげることにする。ウッドワード記者が取材に行き詰ると現れてたちどころに疑問を解いてくれる―Deep Throat にはそんなイメージがある。そこで頭に浮かぶ単語が deus ex machina である。

昔のギリシャやローマの劇で、からくり仕掛けで舞台に降臨して難題を解決する神様のことだそうだが、転じて、

- an unexpected, artificial, or improbable character, device, or event introduced suddenly in a work of fiction or drama to resolve a situation or untangle a plot

- unconvincing character who resolves plot: an improbable character or unconvincing event used to resolve a plot

- a person or event that provides a sudden and unexpected solution to a difficulty

つまり、こじれた物語や事態を、急転直下、無理やりうまい具合に収めてしまう不自然な人物や展開を指す。

例えば、こんな風に使われている。

- Worst of all, the movie has a deus ex machina ending.

- Rather than take the easy way out and provide a deus ex machina solution to the crisis, the writers force Archer (=ドラマの主人公) to make a decision that is sure to upset many viewers.

エンタメ系の小説やドラマ、映画には、どうしてもこうした要素が入りがちで、それを極力不自然にみせないようにするのが作者や制作陣の腕の見せどころだろうが、一方で、そうしたことにはあまりこだわらないご都合主義もあるだろう。

さて、辞書で語源の説明を見ると、

- 1697, from Mod.L. translation of Gk. theos ek mekhanes, lit. "the god from the machine," the device by which "gods" were suspended over the stage in Gk. theater

- < modern Latin, "god from the machinery" (used in Greek theater to lower actors onto the stage)

ということは、ラテン語とはいえ、ローマ帝国時代ではなく、ずっと今に近い時代に作られた語で、ちょっと意外だった。それだけラテン語の力は強かったというべきなのだろう。

コナン・ドイルのシャーロック・ホームズものには、登場人物がラテン語の文章を引用する場面が出てくることがあるが、原文には英語での説明はなく、脚注や翻訳を見ないと意味がわからない。

こうした大衆文学でもまとまったラテン語が出てくるということは、ヨーロッパでは、少なくとも以前は、ラテン語がしっかり教えられていたということなのだろう。日本でも、かつては古典文学や漢文がもっとしっかりと教えられ、原文を諳んじている人がずっと多かったと思うが、それと似ているのかもしれない。

(参考記事)
「ディープ・スロート」の正体
http://eigo-kobako.blog.so-net.ne.jp/2006-10-11

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