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「刷り込み」には勝てなかった~ビートルズの"Let It Be... Naked" [音楽と英語]

Let It Be... Naked [Bonus Disc]

Let It Be... Naked [Bonus Disc]

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Capitol
  • 発売日: 2003/10/31
  • メディア: CD

十代の一時期、すでに解散していた The Beatles を、深夜放送やカセットテープで毎日のように聴いていた。LPのアルバムをすべて集める金銭的余裕はなかったため、友人グループの間で割り振って、買ったレコードをテープにコピーしあうなんてこともしていた(ちなみに私に割り当てられたアルバムは Help! だった)。

それも遠い昔の事になり、社会人になって全部集めたCDも、さすがに近年は聴くことがなくなっている。この Let It Be... Naked も、3年ほど前に出たのは知っていたが、今回たまたまレンタル店で目に留まり、初めて聴いた。

元のアルバム Let It Be は、メンバー間の不和が高まった時期に行われたセッションを元に、プロデューサーがアレンジを加えて編集してまとめたものだ。ビートルズは制作に関わっておらず、特にポール・マッカートニーは結果に不満だったという。

30年以上経って、アレンジで加えられた部分を取り除くなど、より本来の姿に近づけたとして新たにリリースされたのが、この Let It Be...Naked だ。naked 「裸の」は、原点の、元のままの、という意味でつけたのだろう。

しかし、最後のナンバー Let It Be の音が消えると、ちょっと複雑な気持ちになった。私と同世代のファンもそうではないかと思うが、やはり、頭の中で元のLPのアルバムと比べながら聴いていたからだ。

曲の順番が違い、いくつかの曲の間にあったメンバーの断片的な会話がすべて省かれている、といった明らかな違いのほか、「この部分にあったストリングスが取り除かれている」、「Let It Be のジョージのギターは、LPに使われたバージョンの方がかっこいい」…など、聴いていて「この部分はこうだった」と、どうしても思ってしまった。

「オリジナル」と呼ぶべきは、最初に出たLPなのか、それとも、アレンジ部分をそぎ落としてより元のセッションに近づけた、このアルバムの方なのか。それはともかく、音は確かに引き締まった感じになっていて、その点では、この"Naked"の方が評価できるようにも思う。

それでも、自分にとって元のアルバムに取って代わるほどではないなと思った理由は何かといえば、やはり、テープが文字通りよれよれになるまで聴いたLP Let It Be の「刷り込み」によるところが大きいのだろう。

難しいことはいわず純粋に音を楽しめばいいのだろうが、はるか昔に自分の中に作られた固定観念を壊すのは簡単ではないのだなと、作品というより自分自身を振り返って、ちょっとした寂しさを感じてしまった。

しかしそれにしても、ビートルズのアルバムのデザインは傑作ぞろいの中、この"Naked"のジャケットのつまらなさ。もう少しどうにかならなかったのだろうか。

タグ:ビートルズ
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