figurehead はただのお飾り [注意したい単語・意外な意味]
知らない言葉の意味を前後関係から類推するのは、英文に親しむために必要だろう。前回取り上げた bicameral は、文脈から容易にあたりをつけることができた。しかしストイックなまでに「辞書を引いてはだめ、ひたすら読め」とする流派にもちょっと疑問を感じる。単語によっては、自己流に解釈し間違って覚えてしまうおそれもあるからだ。figurehead もそんな単語のひとつではないかと思う。
最近読んだ英文にも出てきたので、今回取り上げようと思ったが、そこだけを切り出してもわかりにくい感じなので、ネット上で見つけた文を例に取ることにしよう。イスラエルの大統領をめぐるスキャンダルについての英文である。
figurehead を初めて見た人がこれを読んだ時、「大統領なのだから、なるほど head の figure なのだな」と「前後関係から類推して」理解した気になるかもしれない。
が、この単語を辞典で引いてみると、「名目上の指導者;表看板」とある。英英辞典では、
この単語には、船の舳先にある「船首像」 figure on the bow of some sailing vessels の意味もある。こちらがもともとの語義だとしたら、本当の指導者ではなく、 nominal という意味で使われるようになったのが不思議かつ面白い。日本語のように「お飾り」ということなのだろうか。
それはともかく、この単語の意味を文脈から正しく捉えることができるのは、英語ばかりを追っている学習者ではなく、むしろ海外の事物に興味があり、言葉よりも情報を取りたいという人かもしれない。つまり、イスラエルの大統領は、アメリカやフランスの同職とは違って、あくまで名目的な力しか持っていない、といったようなことを知っている人である。
また、カンが働く人は、figurehead をまず「指導者」のように捉えたとしても、すぐに「大統領という肩書きを示しているのに、なぜわざわざ似たような単語がついているのか」という疑問を持ち、再考するかもしれない。そうしたカンのようなものを養うためには、量をこなすこと、一方で、意味を確かめながらじっくり読むこと、どちらも大切だと思う。
私自身、「文脈から覚えた」つもりで実は意味を取り違えていて、しかもそれに気づいていない単語が多々あることだろう。そういえばその昔、関係詞の学習で、 There are some things that I don't know that I don't know. というような例文を習った覚えがある。自戒したい。
最近読んだ英文にも出てきたので、今回取り上げようと思ったが、そこだけを切り出してもわかりにくい感じなので、ネット上で見つけた文を例に取ることにしよう。イスラエルの大統領をめぐるスキャンダルについての英文である。
At the same time, demands are rising for the resignation of figurehead President Moshe Katsav, under police investigation for allegedly coercing sex from a former employee and for allegedly receiving money in return for granting presidential pardons to criminals.
figurehead を初めて見た人がこれを読んだ時、「大統領なのだから、なるほど head の figure なのだな」と「前後関係から類推して」理解した気になるかもしれない。
が、この単語を辞典で引いてみると、「名目上の指導者;表看板」とある。英英辞典では、
- a head or chief in name only
- a nominal leader or head without real power
- a person who is in a high position in a country or an organization but who has no real power or authority
- The President of this company is just a figurehead - the Chief Executive has day-to-day control.
この単語には、船の舳先にある「船首像」 figure on the bow of some sailing vessels の意味もある。こちらがもともとの語義だとしたら、本当の指導者ではなく、 nominal という意味で使われるようになったのが不思議かつ面白い。日本語のように「お飾り」ということなのだろうか。
それはともかく、この単語の意味を文脈から正しく捉えることができるのは、英語ばかりを追っている学習者ではなく、むしろ海外の事物に興味があり、言葉よりも情報を取りたいという人かもしれない。つまり、イスラエルの大統領は、アメリカやフランスの同職とは違って、あくまで名目的な力しか持っていない、といったようなことを知っている人である。
また、カンが働く人は、figurehead をまず「指導者」のように捉えたとしても、すぐに「大統領という肩書きを示しているのに、なぜわざわざ似たような単語がついているのか」という疑問を持ち、再考するかもしれない。そうしたカンのようなものを養うためには、量をこなすこと、一方で、意味を確かめながらじっくり読むこと、どちらも大切だと思う。
私自身、「文脈から覚えた」つもりで実は意味を取り違えていて、しかもそれに気づいていない単語が多々あることだろう。そういえばその昔、関係詞の学習で、 There are some things that I don't know that I don't know. というような例文を習った覚えがある。自戒したい。
タグ:英語学習
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辞書を引かずに読むというのは、いま日本語を読むとき、わたしはほとんどそうですね。高校のときに、語の意味を知っているとか知らないとかではなくて何かちょっとでも疑問があったら辞書を引く、というやりかたで何冊か(日本語の)本を読んだことがあります。それはそれで勉強になりました。受験生にはおすすめしたい方法です。でも、いまは本でも新聞でもよほどのことがなければ辞書を引きません。まあ、それがふつうなのでしょうけれど。
by たんご屋 (2007-08-02 20:42)
たんご屋 さん、コメントありがとうございました。
私も本(日本語)を読む時はほとんど辞書を引きませんが、会社で他人様に見せる文書を書くときは時々使っています。電子辞書を利用し始めてからは、手軽なのでその頻度があがったように思います。このブログを書くときは辞書は使っていませんが…。
by 子守男 (2007-08-03 01:40)
こんにちは。いつも ためになる記事をありがとうございます。子守男さんのサイトの壁紙や写真を拝見するのも楽しみの一つです。写真は御自分でお撮りになったものですか?
by mamarimama (2007-08-03 10:42)
mamarimama さんのように、英語教室のことや日々気づかれたことについて書くことができればいいのですが、平日はずっと仕事、週末は家族サービスと、起伏の少ない生活を送っています。せめてできるのは英語について書くことぐらいですが、参考にしていただけましたらこんなにうれしいことはありません。
写真は長年撮ってきたもので…と書くことができたらいいのですが、実はこれは、利用している「ウェブリブログ」のテンプレートです。他のブログと違って、記事ごとに違ったテンプレートを選ぶことができるようになっています。何が出るわからない「ランダム」というテンプレートもあります。使い始めた時は「余計な仕様だな」と思っていたのですが、特に重くもないし、すぐに面白いと思うようになりました。自分が撮った写真を簡単に使えるテンプレートがあるといいのですが、残念ながらそれはないようです。
by 子守男 (2007-08-04 01:38)