北斎の「神奈川沖浪裏」、その意味と英訳 [日本の文化]
前回紹介した交響詩「海」のCDジャケットには「神奈川沖浪裏」が使われていたが、北斎のこの作品は、海外でもよく知られているようだ。私も以前ある開発途上国を訪れた際、何かの店の軒先に、この大波を模したイラストがかかっているのを見たことがある。
またある時、浮世絵についての洋書を立ち読みしていたら、「日本の絵画というと、この作品を思い浮かべる人も多いだろう」というようなことが書かれていた。
「波裏」をめぐって、美術評論家の高階秀爾氏は、この大波の内側に、もうひとつの富士、いわば裏富士が描かれていることを指摘している。それを知って、あらためてこの作品を眺めてみて、あっと思ったものだ。前回のCDジャケットでも、はっきりとわかると思う。
この作品が英語でどう呼ばれているかを知ろうとネットを見ていたら、この「もうひとつの富士」に言及した英文記事もあった。
この英文では、「神奈川沖浪裏」を "The Breaking Wave off Kanagawa" としていた。富士が隠されているという意味では、別のサイトで見つけた "In the Hollow of a Wave off the Coast at Kanagawa" という英訳が意味深でいいのでは、と素人考えで思った。
この他、"The Great Wave off Kanagawa" というものもあったが、多くのサイトで、単に "The Great Wave" と短く呼ばれている。それだけ有名だということだろうか。また、「冨嶽三十六景」は、見た範囲のサイトでは、どれも "Thirty-Six Views of Mount Fuji" と訳されていた。
余談だが、私のパソコンで「ふがく」を変換すると、ウかんむりの「富嶽」しか出ないが、北斎の作品にある題字を見ると、ワかんむりの「冨」が使われている。
どこまで表記にこだわるべきかわからないが、日本語版 Wikipedia の「冨嶽三十六景」は、本文で「よく『富』と誤記される」と指摘しておきながら、記事自体の表題や他の北斎関係の項目では、テンのある「富嶽」を何回も使っている。同一・関連記事での表記の不統一は、やはりカッコ悪いと思う。
さらに余談だが、「神奈川沖浪裏」は、「海」を作曲したドビュッシーが部屋に飾っていたことが残された写真からわかっているほか、この曲の初出スコアのイラストとしても使われた。
時々、ドビュッシーがこの曲を作曲した動機は北斎の作品だったと書いている解説を読むことがあるが、それを裏づける直接の証言や資料の引用を私は見たことがない。とはいえ、「波裏」は何らかの影響をドビュッシーに与えたのだろうと想像したくなる名作である。
またある時、浮世絵についての洋書を立ち読みしていたら、「日本の絵画というと、この作品を思い浮かべる人も多いだろう」というようなことが書かれていた。
「波裏」をめぐって、美術評論家の高階秀爾氏は、この大波の内側に、もうひとつの富士、いわば裏富士が描かれていることを指摘している。それを知って、あらためてこの作品を眺めてみて、あっと思ったものだ。前回のCDジャケットでも、はっきりとわかると思う。
この作品が英語でどう呼ばれているかを知ろうとネットを見ていたら、この「もうひとつの富士」に言及した英文記事もあった。
In the foreground, a small peaked wave forms a miniature Mt. Fuji, which is repeated hundreds of miles away in the enormous Mt. Fuji which shrinks through perspective; the wavelet is larger than the mountain.
( http://www.andreas.com/hokusai.html )
この英文では、「神奈川沖浪裏」を "The Breaking Wave off Kanagawa" としていた。富士が隠されているという意味では、別のサイトで見つけた "In the Hollow of a Wave off the Coast at Kanagawa" という英訳が意味深でいいのでは、と素人考えで思った。
この他、"The Great Wave off Kanagawa" というものもあったが、多くのサイトで、単に "The Great Wave" と短く呼ばれている。それだけ有名だということだろうか。また、「冨嶽三十六景」は、見た範囲のサイトでは、どれも "Thirty-Six Views of Mount Fuji" と訳されていた。
余談だが、私のパソコンで「ふがく」を変換すると、ウかんむりの「富嶽」しか出ないが、北斎の作品にある題字を見ると、ワかんむりの「冨」が使われている。
どこまで表記にこだわるべきかわからないが、日本語版 Wikipedia の「冨嶽三十六景」は、本文で「よく『富』と誤記される」と指摘しておきながら、記事自体の表題や他の北斎関係の項目では、テンのある「富嶽」を何回も使っている。同一・関連記事での表記の不統一は、やはりカッコ悪いと思う。
さらに余談だが、「神奈川沖浪裏」は、「海」を作曲したドビュッシーが部屋に飾っていたことが残された写真からわかっているほか、この曲の初出スコアのイラストとしても使われた。
時々、ドビュッシーがこの曲を作曲した動機は北斎の作品だったと書いている解説を読むことがあるが、それを裏づける直接の証言や資料の引用を私は見たことがない。とはいえ、「波裏」は何らかの影響をドビュッシーに与えたのだろうと想像したくなる名作である。
タグ:クラシック
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「無関係なコメント・・・掲載を控えさせて・・・」にあたりますが・・・、今年の夏は日本がお暑く、タイヘンだったとか・・・、そこで・・・
「残暑お見舞い申し上げます」お体、ご自愛ください。
by natto9 (2007-08-27 08:12)
natto9さん、どうもありがとうございます。私は携帯温度計が46度を示した場所に行った事がありますが、湿度がそれほどではなく、また当時は若かったので何とかなりました。不快かどうかはやはり湿度に左右されると思います。
natto9さんのいらっしゃる場所ですと、何といえばいいのかわかりませんが、お身体くれぐれもご自愛ください。
by 子守男 (2007-08-28 00:03)