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「外科手術的攻撃」~続・気になる直訳の定着 [ニュースと英語]

前回取り上げた landslide 「地すべり的(=圧倒的)勝利」と同様に、英語からの直訳だろうと思われる最近の日本語表現に「外科手術的攻撃」がある。

北朝鮮やイランの核問題で、アメリカが単独で先制攻撃(pre-emptive strike)に踏み切るかどうかが議論になることがあるが、これについて使われているのが、surgical strike とか surgical attack である。

この場合の surgical は extremely accurate; precise という意味で、核関連施設などの目標だけを破壊しようという精密で限定的な攻撃を指す。一般市民への被害の波及、民間人の巻きぞえ (collateral damage) を避けるのが狙いだ。こんな風にも説明されている。

- an attack (usually without prior warning) intended to deal only with a specific target

- Surgical strikes will require precision guided weapons, keeping lethality high while minimizing collateral damage.

英和辞典には「(爆撃が)正確な、局地的な」などと定義が載っていて、特に新しい用法というわけではないが、以前は「外科手術的」という訳を見聞きすることはなかったように思う。こう言われても、わかったようなわからないような、という人が、かなりいるのではないだろうか。

もちろん、言葉は使われることによって定着するものだ。また、古くは漢字のように、日本語は外国から取り入れた言語の影響を受けながら活力を保ち、表現の可能性を広げてきたのも事実だろう。あまり保守的に考えるのはよくないかもしれない。

しかし、単純な直訳としか思えない安易な訳語やカタカナ語の訳を見るにつけ、的確な言い方を選ぶ努力の放棄であり、言葉の感覚をやせ細らせることにつながることになりはしないか、と考えてしまう。

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