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「チャンピオン」ではない champion [注意したい単語・意外な意味]

前回は camp のちょっと変わった意味を取り上げたが、「キャンプ」などとして日常的に使われているものとは由来が異なっていた。親しまれている方の camp と語源で共通しているのが champion である。この単語、日本語になっている「チャンピオン」が知られる一方で、他の意味もあることがあまり教えられていないように感じられる。

「(主義・主張などを守るために闘う)擁護者」という意味がそれである。

- defender: a defender, supporter, or promoter of somebody or something
- a person who enthusiastically supports, defends or fights for a person, belief, right or principle:
She has long been a champion of prisoners' rights/the disabled/free speech.
- one who speaks in support of or fights for a person or cause.
Martin Luther King, Jr. was a champion of civil rights.

また、動詞として、

- to defend, support, or promote a cause or person
- to defend or fight for; advocate.
He has championed constitutional reform for many years.

という意味がある。「勝者」「優勝した人」の意味しか知らないと、ちょっとまごつくこともあるのではないか。

語源は、ラテン語の campus まで遡る camp と共通したものがあるのは、最初に書いた通りである。

c.1225, from O.Fr. champion, from L.L. campio (acc. campionem) "gladiator, combatant in the field," from L. campus "field (of combat)" (see campus). Had been borrowed earlier by O.E. as cempa. The verb "to fight for, defend, protect" is from 1820. Championship is from 1825. ( http://www.etymonline.com/index.php?term=champion )

ちなみにこの単語、obsolete として、to defy or challenge と説明している辞書がある。かつては challenge と同じ意味でも使われていたらしい。「『チャレンジする』は to challenge ではない」ということは多くの英語学習書に書かれているが、「チャンピオンではない champion」についても、もう少し喧伝されていいのではないかと思うのは、最初に書いた通りである。

ところで、日本語でも「チャンプ」が使われるようになったが、champ と縮めた形がある。パリのシャンゼリゼ Champs-Élysées も似ていて面白いな、とぼんやり考えたが、ふと思い立ってオンラインの The WordReference Dictionaries で調べたら、フランス語の champ とは英語の field の意味であった。

つまり、シャンゼリゼの語に含まれる Champs は、英語の champion と共通点があることになるのではないだろうか。詳しい方がいらしたら教えていただければ幸いである。

Champs-Élysées 全体は the Elysian Fields となり、ギリシャ神話に出てくる死後の楽園 Elysium の園のことになる。

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コメント 2

えん

もう8年も前の記事なのでいまさらコメントを書いても読んでいただけるかどうか分かりませんが一応書いてみます。

champという語幹は「原っぱ」とか「平原」のように平らな広い場所という意味が元々のものです。
Champs-Élyséesのchampsは「野原」、Champs-Élyséesとつなげるとギリシャ神話の「エリシオンの野」(死後の楽園)という意味になります。発泡ワインの代表銘柄のシャンパーニュChampagneも語源としてはシャンパーニュ地方が「平原」であることに由来しています。
Champion(チャンピオン)もこれまた語源は共通でして、昔部族間の争いを治めるのにそれぞれの部族からの代表者をChamps(原っぱ)での格闘大会で決めたことに由来します。ですのでChampionは部族の最強者では有るのですが最終的な部族間の決戦の勝者ではなく、その意味で「選手権者」(選ばれた代表者)と言うのはここからきているのです。


by えん (2015-10-16 21:18) 

tempus fugit

えんさん、詳細なご説明どうもありがとうございました。またひとつ外国語のおもしろさに触れた思いです。記事は8年前のものですが、こうした知識情報に古い新しいはありませんので大歓迎です。言語にお詳しい方(専門家?)とお見受けしますので、気づいたことや修正すべき点がありましたら今後ともぜひお願いいたします。

by tempus fugit (2015-10-18 15:39) 

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