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英語になった日本語?skivvy と「助平」 [英語になった日本語]

前回書いた「英語に入った日本語」にからんで、もうひとつ思い出したのが skivvy である。複数形で男性用下着の一種 (men's underwear consisting of an undershirt and shorts) を表す。辞書を見ると由来不明とある。しかしこの単語、日本語の「助平」から来たという、驚くべき(?)説があるのだ。

以前、英語の雑学といった類の本で立ち読みして知ったもので(こうしたものはすぐ覚えてしまう)、アメリカで使われる俗語だというが、一方イギリス英語では「下女、お手伝いさん」 (a person, in the past a female servant, who does the dirty and unpleasant jobs in a house, such as cleaning) を指す。ずいぶん2つの意味が隔たっていて、とらえどころのない単語だと感じる。

由来を知ろうと Online Etymology Dictionary を見ると、

skivvies
"underwear," 1932, nautical slang, of unknown origin. An earlier skivvy/skivey was London slang for "female domestic servant" (1902).

オンラインの Random House Unabridged Dictionary は、下着の skivvies に [Origin: 1925-30; orig. uncert.]、イギリス英語の方には、[Origin: 1910-15; orig. uncert.] とある。いずれにせよあまり参考にはならない。

World Wide Words というサイトも Unfortunately, “origin unknown” is a pretty fair summary. と書いているが、こちらは、20世紀初めに一部の軍人の間で知られていた skibby という語にさかのぼる、という説も紹介している。

そこで「スケベ」が出てくる。

To them it meant a Japanese prostitute. That comes from Japanese sukebei, randy or lecherous, a word that Japanese prostitutes may have used as part of a greeting along the lines of “Hello, sailor, are you horny tonight?”.

とはいえ、「男性用下着」との結びつきについてはサイトの筆者も、

Though the association is obvious enough in one way, linguistically speaking it's not clear how one gets from Japanese prostitutes to American male underwear.

と首を傾げている。また、イギリス英語の「下女」については、「男性用下着」とは違う語源であろう、と書いている。

興味を持たれた方は、全文を読んでいただきたい。
http://www.worldwidewords.org/qa/qa-ski2.htm

The Word Detective というサイトも「助平」起源説を紹介している。

Probably the only plausible theory yet proposed about "skivvy" ties it to the Japanese word "sukebei," meaning "lecherous," supposedly frequently used as a greeting (the equivalent of "Lonely, sailor?") by Japanese and Korean prostitutes to English-speaking sailors after World War II.
( http://www.word-detective.com/111703.html#skivvy )

こちらのサイトは、If the "sukebei" theory is valid, it is also possible that the "prostitute" source also became the basis for the "female servant" sense of "skivvy." と、「下女」と「下着」との関連を排除していない。といっても、あくまで可能性もあるだろうというレベルであるが。

いずれにせよ、日本語に由来するのかどうか、2つの意味は語源を含めて関連があるのかどうかなど、謎の残る単語である。

英語はともかく、日本語の「助平」の由来は何なのかにも興味がわいた。Wikipedia 日本版によると、

すけべえ(助兵衛、助平、スケベ)は、すけべい、すけべともいい、(中略)江戸時代から使われていたが、本来はあることに非常に強い興味を示すことを指していた。(中略)「助」はもともとは「好き」であったが、江戸期には助兵衛が人名としてきわめてありふれたものだったため、このように訛ったのである。(中略)

これが好色の意味に限定して使われるようになったのは、明治も終わりに近づいてからと思われる。
( http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B9%E3%82%B1%E3%83%99 )

そういえば以前、「のぞき魔」 Peeping Tom について書いた時に「出歯亀」という日本語の由来も調べたが、これも面白い由来があった。

ところで「助平」で連想してしまうのが、サザンオールスターズの桑田佳祐の曲だ。クワタ(私は高校生の時から彼を聞いているので、親しみをこめてこう表記したい)は音楽だけでなく、言葉の面でも天才だと思う。

タイトルは「スキップ・ビート」、英語で Skipped Beat とも表記されているが、実際に歌を耳で聞くと…という仕掛けになっている。最初に聞いたときは、ほのめかしたものかと思ったが、実は意図してやったもので、「スキップ・ビート」は後から考えてこじつけたものだという。やはりクワタは凄い。

さらに余談だが、中学生の時、オランダに「スケベニンゲン」という地名があることを北杜夫のエッセイで読んだ。この Scheveningen、 実は原語の発音だとこうはならないことを後に知り、ちょっと残念に思った。

「リーダーズ英和」には、「スヘーヴェニンゲン(オランダ南西部 The Hague の西にある町;北海岸のリゾート地)」とある。ちなみにハーグ Hague は必ず定冠詞をつけ、その表記は大文字で始めるということは以前書いた通りである。

また、これは昔トルコに行ったときに読んだ本の受け売りだが、トルコ語には日本語に似た響きの単語がいくつかあり、「シリフケ」という地名すらある。

今回は何とも品に欠けるエントリとなり、皆様に相済まないという気持ちで一杯である。

(関連記事)
legman 「脚フェチ」と leggy 「脚線美」
http://eigo-kobako.blog.so-net.ne.jp/2014-03-24

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コメント 2

ぼっちゃん

「ノーキョー」「スシ」「ハラキリ」「カミカゼ」「マンガ」くらいなら結構ですが・・・。
「助平」が英語とは・・・。ちょっと悲しいですねぇ。
by ぼっちゃん (2008-09-04 12:17) 

子守男

ぼっちゃん さん、コメントありがとうございました。ま、このエントリで書きましたように、日本語の「助平」語源説は、あくまで「説」なので、それほど悲しくなる必要もないかと。
by 子守男 (2008-09-06 01:30) 

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