追悼 アーサー・C・クラーク [読書と英語]
少し前に取り上げた「幼年期の終わり」の作者アーサー・C・クラーク Arthur C. Clarke が亡くなった。私にとって、子供の頃からその作品を読んできて、いくつかは原書を手に取り、英語に親しむ上でも助けになったSF作家である。
どの作品も、舞台は基本的に現在あるいは近未来の地球で、荒唐無稽な設定はほとんどない。特にSFに興味がない人でも、すんなり入り込めるのではないだろうか。そうした設定でありながら、読んでいるうちに、地球外文明との接触や人類の将来がスケール豊かに描かれていく。それがクラーク作品の大きな特徴だったと思う。
クラークといえば、一般にはやはり映画「2001年宇宙の旅」の原案をスタンリー・キューブリック監督と共同で作り上げたことで知られるだろう。私も高校生の時に小説版である 2001: A Space Odyssey のペーパーバックを手に入れ、わからないままに目を通した。
続いて原文で読んだのは、Rescue Party (邦題「太陽系最後の日」)という処女短編で、大学生の時だったが、英語を一気に読み終えたという経験を初めて味わった作品のひとつだ。以下で全文が読める。
http://www.webscription.net/chapters/0743498747/0743498747___1.htm
そして先日取り上げた Childhood's End は、最初に翻訳で読んだ時、ある種茫然となった作品だが、社会人になって原書で読んだ時も、同じような気持ちを味わうことができたので、少しは英語がわかるようになったかな、と思わせてくれた。今はさらにもう少し英語がわかるようになったが、一方で感性は磨り減ってしまったので、もうそうした気持ちになることはできそうにない。
享年90歳、近年は他人との共著の形が多くなったが、ずっと旺盛な創作力を保ち続けた。そうした近作は読んでいないが、死去のニュースはやはり残念である。
関連記事:
新しい「幼年期の終わり」
transcriptionと「幼年期の終わり」とバッハ
「借りた時間を生きる」とは?
にほんブログ村← 参加中です
コメント 0