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オバマ宣誓のミスと swear の2つの意味 [注意したい単語・意外な意味]

前回紹介したオバマ宣誓の「とちり」をめぐるCNNのリポートには、swear のもうひとつの意味にひっかけて面白さを出しているところがあった。swearwords という単語を使っているのがそれで、動画の見出しも A swearing-in worth swearing at. となっていたが、「ののしり言葉(を使う)」という方の意味である。

2つの意味はずいぶんかけ離れているように見えるが、

- [初12c以前;古英語 swerian (誓う、(神に向かって)話す)]
(ジーニアス英和大辞典)

- みだりに神の名を呼ぶ、神の名を汚す、もったいない[ばちあたりな]ことを言う、悪口を言う 
(「リーダース英和辞典」)

といった説明を見ると、なるほどつながるところがありそうだな、と思う。

ついでだが、惜しくもすでに絶版となっている「岩波英和辞典」は、CNNのリポートに出てきた swearword に「べらんめえ言葉」という訳語をあてていた。適切かどうかはわからないが、面白い。

余談だが、しばしば取り上げているTVドラマ "Star Trek the Next Generation" の日本語版には、swear が持つ2つの意味を取り違えていると思われるストーリーがある。

乱暴な口をきいた相手にののしり返した登場人物に対し、その相手が、"You swear well." と褒める(?)場面があるのだが、これが「堂々たる誓いだったな」というセリフになっているのだ。これはやはり curse の方の意味だろう。

さらに脱線すると、ののしりあいは異星人の言葉で交わされている。この架空の言語はシリーズを通じて時々出てくるが、お遊びとはいえかなりしっかりと考えられているようで、辞書がつくられているほどだ。

この場面で、やりかえした登場人物の言葉は Qu'vath guy'cha b'aka! とスーパーされている。この異星人の言語についてのサイトのひとつは、この表現について various curses という注を、また fe'l Kina sal B'aka という別の表現について、"baQa' is listed in The Klingon Dictionary Addendum as a general invective curse. This may be the last word in this phrase." と説明している。
(http://www.angelfire.com/md/startrekkie1701/klindic.html クリンゴンとは異星人のこと)

そこで想像したのだが、この単語は日本語の「バカ」から取ったのではないだろうか。「スター・トレック」の制作関係者には、日本のアニメに詳しい人や日系人も多いということだし。

さて、swear について「アンカーコズミカ英和辞典」は

- キリスト教をはじめ一神教の世界では、神の名をみだりに唱えたり、神を冒とくするようなことばを吐くことを禁じている。以前ほどの厳格さはないにせよ、現在でもその傾向は色濃く残っていて、Oh, my God!のような日本人になじみの間投詞的表現もキリスト教徒は使う場所や時を考えて使用する。

また「ジーニアス大英和」は、

- swearing (誓言)とは本来神や神聖な事物にかけて誓うことであるが、みだりに神名を用いるのはキリスト教では神への冒涜でありタブー視されている。最近では、若い世代を中心にこのタブーも崩れてきているが、教養のある人は Jesus, God, damn などの代わりにそれぞれ gee, gosh, darn などの婉曲語を好む。(以下略)

という説明を載せている。こうした言葉をやたらと口にしている日本人を見かけることがあり、本人はいかにも英語を話している気分になるのかもしれないが、いかがなものか。学校の授業などで「コミュニケーションとしての英語」に一層の力を置く傾向が強まっているが、こうした「非ネイティブとしての大人の言葉遣い」といった面にも学習者の関心を向けるようにしてほしいと個人的には思う。

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