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「行程表」「ロードマップ」 (road map) [ニュースと英語]

ブログの「炎上」と flame、また CDを「焼く」と burn について書いてきて連想したことだが、英語の影響でよく見かけるようになったのではないかと思う言葉に「行程表」がある。road map の訳として、カタカナ語の「ロードマップ」と並んで使われているようだ。

最近のニュースでは、

中曽根弘文外相と来日中のクリントン米国務長官は17日、「在沖縄米海兵隊グアム移転協定」に署名した。移転をめぐる日本側拠出金の目的外使用を禁じるとともに、海兵隊移転を含め日米両政府が合意した在日米軍再編行程表(ロードマップ)の着実な実行を確認する狙いがある。(以下略)
(共同通信)

という例がネットで見つかる。外務省のホームーページを見ると、「在日米軍~」は英語では United States-Japan Roadmap for Realignment Implementation で(roadmap は一語として表記)、外務省は「ロードマップ」としている。

また同じサイトで「外務報道官談話」を見ると、そのひとつに、

スーダンにおける南北包括和平合意(CPA)の中で、最も困難かつ重大な懸案事項であったアビエ議定書の履行に係る行程表(ロードマップ)が、(以下略)

とあり、こちらは「行程表」を使い、「ロードマップ」をカッコに入れて添えている。どちらの言葉も、いってみれば公の言い方として扱われていることがうかがえる。

比喩的に使われた「行程表」を見ても、私は「炎上」ほど違和感を持たないが、それは漢字を見れば十分意味が取れるからかもしれない。とはいえ、こうした使われ方は、以前はそれほど目にしなかったように思う。私が気づかなかっただけかもしれないが。

この言葉を最初に意識したのは数年前、アメリカが出した中東和平案について使われた時だったと記憶している。その当時は「道筋」といった訳も見たように思うが、今では「ロードマップ」や「行程表」が主流になっていると感じる。

road map を改めて電子辞書で引いてみると、「道路地図」の類しか書いていないものがある。一方で、「指針、手引き」という訳語や a set of instructions or suggestions about how to do something or find out about something と説明を加えている辞書もある。

より新しい「アンカーコズミカ英和辞典」(2008年)には以下のように「行程表」という訳語が出てくる。説明を読むと、やはり中東和平がひとつのきっかけとなってこの単語が広まったのかな、と思う。

(比ゆ的に)行程表、道筋.- a road map to peace (和平への道筋)(アメリカは立案した中東和平の行程表を the road map と呼んでいる)

ところで「行程表」と似た言葉に「工程表」がある。こちらも比喩的に使われていて、例えば先ごろ国家公務員制度改革推進本部がまとめた制度改革案には「工程表」という名称がつけられている。「実施計画」などと呼ぶよりも、期日を含めた具体的な段取りを掲げていることをアピールできる、という考えがあるのかもしれない。

「行程表」と「工程表」は、目的達成に向けた段階を明示した計画という共通点がありそうだ。厳密には意味合いが違うのかもしれないが、事実上、同じものとして扱われているように思うがどうだろうか。

ちなみに、電子辞書の「研究社和英大辞典」は、「工程表」を a progress [work] schedule; a progress chart としている。ついでに「工程図」には、a flowchart; a flow diagram; a progress chart という訳を与えている。

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