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怒っても怒らせても outrage [注意したい単語・意外な意味]

税金のおかげで破綻を免れているのに、一方で高額のボーナスを幹部に支給していたAIGにオバマ大統領も怒った。先日の記者会見では、この保険グループの経営陣を厳しい言葉で非難していた。

Under these circumstances, it's hard to understand how derivative traders at AIG warranted any bonuses, much less $165 million in extra pay. How do they justify this outrage to the taxpayers who are keeping the company afloat?

この outrage は基礎レベルの単語だが、考えてみればちょっと面白い。会社側の行為がこの単語で表現されているわけだが、この「暴挙」に対する怒りも、"Obama's outrage" という見出しにあるように、同じ単語で表すことができる。

おさらいのために見た辞書でも、

- 1. 不法(行為)、無法、非道(以下略)2. (非道・不正を憎む)憤激、憤り、憤怒の情
(リーダーズ英和辞典)

- 1 [uncountable] a feeling of great anger and shock
2 [countable] an event that produces great anger and shock, especially because it is cruel or violent
(Longman Dictionary of Contemporary English)

- a strong feeling of anger and shock, or an act or event that causes these feelings
(Cambridge Dictionary of American English)

などと、2つの意味について共通の言葉を使ったり、つなげたりして説明しているものがある。

ついでだが、テレビのニュースでは「僕はボーナスなんてもらってないよ」というAIGの一般社員の声を放送していた。あらためて日本の「ボーナス」との違いを思い知らされる。「ジーニアス英和大辞典」の bonus の項には

特別手当、賞与(英米では日本の「ボーナス」のように社員全員に定期的に支給されるのではなく、腕ききのセールスマンや会社役員に規定以外に支給される)

とある。

さてオバマの会見に戻ると、大統領は次のような言葉も口にしていた。

This isn't just a matter of dollars and cents. It's about our fundamental values.

All across the country, there are people who work hard and meet their responsibilities every day, without the benefit of government bailouts or multi-million dollar bonuses. And all they ask is that everyone, from Main Street to Wall Street to Washington, play by the same rules.

That is an ethic we must demand.

fundamental values や ethic から連想したのは、マックス・ヴェーバーの「プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神」である。ずいぶん前に一度読んだ、というより目を通しただけなので、理解しているとはまったく言えないが、あらためて本棚からこの古典の翻訳を取り出してみると、最後の方にこんなことが書かれている。

営利のもっとも自由な地域であるアメリカ合衆国では、営利活動は宗教的・倫理的な意味を取り去られていて、今では純粋な競争の感情に結びつく傾向があり、その結果、スポーツの性格をおびることさえ稀ではない。(中略)こうした文化発展の最後に現れる「末人たち」にとっては、次の言葉が真理となるのではなかろうか。「精神のない専門人、心情のない享楽人。この無のものは、人間性のかつて達したことのない段階にまですでに登りつめた、と自惚れるだろう」と。

これが書かれたのは90年ほど前だが、ヴェーバーの予見が現実のものとなってきた、と思わずにはいられなかった。

今回の幹部ボーナス支給は契約に盛り込まれているので違法性はないうえ、公的支援を決める際に、なぜこうした契約内容に気づかなかったのか、という財務省批判も聞かれるという。会見では途中で咳き込んだ際、"Excuse me, I'm choked up with anger here." とジョークを飛ばしていたオバマだが、攻める一方というわけにはいかないというのが実情かもしれない。


プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神 (岩波文庫)

プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神 (岩波文庫)

  • 作者: マックス ヴェーバー
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1989/01
  • メディア: 文庫


タグ:オバマ
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