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オレの目の黒いうちは… (over my dead body) [映画・ドラマと英語]

SF映画「スター・トレック」の英語からさらにもうひとつ、over my dead body というイディオムについて書いてみよう。といっても映画のセリフはこれではなく、your を使ったものだった。説明のために以下ネタばれ spoiler があるのでご注意いただきたい。

この作品には Kirk と Spock という2人の主要登場人物が出てくる。宇宙船が敵に襲われた時、指揮を取っているのはスポックである。ある場面で、未来からやって来た老スポックがカークの前に現れ、「危機を打開するためにはスポックではなく君が宇宙船の指揮を取らねばならない」と説く。これを聞いたカークが老スポックに問う言葉が、"How, over your dead body?" というものだった。

字幕は正確には覚えていないが、「あなたを殺して?」というような訳だったように記憶している。原語は直訳すれば、「あなたの屍を乗り越えて、ということか」という感じになるのだろうが、別に本気で相手を殺さなくてならないかと考えて言ったわけではあるまい。

「片付ける」「始末する」「消してしまう」「やってしまう」、あるいは「叩きのめす」など、もう少し軽い感じの言葉を冗談めかした口調で言わせたほうがいいのではないか。あ、しかしそうすると字幕の字数制限には収まらなくなるのか。難しいものである。なお、この映画は小説版の翻訳が出ていて、そちらはどう訳しているか興味を持ったが、私が回った範囲の書店ではなぜか1冊も見つけることができなかった。

前置きが長くなったが、このセリフを聞いてすぐに連想したのが over my dead body である。「お前が何かをやりたいなら、まず俺を殺してその死体を乗り越えていけ」というと大仰に聞こえるが、つまりは「俺が生きているうちはお前にそんなことはさせない」「絶対だめだ」というように考えればいいようだ。

以下、辞書の説明と用例を抜き書きする。以前取り上げたことがある hyperbolic という単語が使われた説明には often used jokingly とあり、やはり冗談めかして使われることがあるらしい。また「自分の目が黒いうちは」という訳はうまいとは思うが、同時に、日常生活で実際にどれだけ使われるものか、とも考える。この日本語も cliché というべきか。

- (口)おれの死骸を乗り越えて<やれ>、生きてる限り[おれの目の黒いうちは]・・・させない
(リーダーズ英和辞典)

- (idiomatic) Under no circumstances; absolutely not.
(Wiktionary)

- In no way, under no circumstances, as in Over my dead body will you drop out of high school. This hyperbolic expression is often used jokingly.
[Early 1800s]
(The American Heritage Dictionary of Idioms)

- used to say that you are determined not to allow something to happen
You'll marry him over my dead body!
(Longman Advanced American Dictionary)



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