「ラッシュ・ライフ」とはどんな生活か [音楽と英語]
先日、「フールズ・ラッシュ・イン」という曲にちなんで "Fools rush in where angels fear to tread." という言葉について書いたが、同じくジャズの有名な曲のひとつに「ラッシュ・ライフ」がある。「あわただしい生活」というような意味かと思いきや、こちらの原題は "Lush Life" だ。カタカタ語はまぎらわしいものだとつくづく思う。
辞書で lush をひいてみると、
などと書かれている。「あわただしい」とはむしろ逆のイメージを与える、「豊かな生活」「豪華な暮らし」というわけである。
…などと思って歌詞を追うと、"Life is lonely again" とか "Now life is awful again" といった言葉が聞こえてくる。あれ?「ぜいたくな暮らし」にしてはなんだか暗いなあ。
さらに、 "I'll forget you, I will." "While yet you are still burning inside my brain. " とあって、さらに雲行きが怪しくなる。どうも女とうまくいかなかったらしい。しばらくすると、タイトルの「ラッシュ・ライフ」が出てくる。
この dive とは何だろう。たぶんダイビングの dive ではあるまい。
そんな場所で「豊かな生活」を送るというのは何かヘンだ。そこで、もう一度辞書で lush を引いてみる。
…「ラッシュ・ライフ」とは、「酒びたりの生活」ということなのではないか。これで暗い内容が続いたわけもわかる。このあと歌は、"And there I'll be, while I rot, with the rest of those whose lives are lonely, too." と続いていく。
lush life で決まったイディオムとして載せている辞書はないが、この歌の影響で、この言葉は「豪勢な暮らし」よりも、もっぱら「飲んだくれの生活」を表すのではないと想像しているが、どうだろうか。
もちろんこうした解釈は間違っているかもしれないが、lush や dive の面白い意味を知ることができたという点からも、"Lush Life" は私にとって印象深い作品である。
私が最初にこの名曲を聞いたのは、実はボーカルではなく、John Coltrane のサックスによる演奏だった。ボーカルでは、同じジョン・コルトレーンと共演したジョニー・ハートマン Johnny Hartman の歌唱がいい。どちらのアルバムでも、「ラッシュ・ライフ」の他にも名曲の名演が揃っている。
- アーティスト: ジョン・コルトレーン,アール・メイ,ドナルド・バード,レッド・ガーランド,アート・テイラー,ポール・チェンバース,アル・ヒース,ルイ・ヘイズ
- 出版社/メーカー: ユニバーサル ミュージック クラシック
- 発売日: 2009/01/21
- メディア: CD
辞書で lush をひいてみると、
(話)豊富な;ぜいたくな、ぜいを凝らした、豪勢な
(ランダムハウス英和大辞典)
などと書かれている。「あわただしい」とはむしろ逆のイメージを与える、「豊かな生活」「豪華な暮らし」というわけである。
…などと思って歌詞を追うと、"Life is lonely again" とか "Now life is awful again" といった言葉が聞こえてくる。あれ?「ぜいたくな暮らし」にしてはなんだか暗いなあ。
さらに、 "I'll forget you, I will." "While yet you are still burning inside my brain. " とあって、さらに雲行きが怪しくなる。どうも女とうまくいかなかったらしい。しばらくすると、タイトルの「ラッシュ・ライフ」が出てくる。
"I'll live a lush life in some small dive."
この dive とは何だろう。たぶんダイビングの dive ではあるまい。
(口)(地下室などにある)いかがわしい[安っぽい]飲み屋[クラブ]、もぐり酒場、賭博場
(リーダーズ英和辞典)
そんな場所で「豊かな生活」を送るというのは何かヘンだ。そこで、もう一度辞書で lush を引いてみる。
酒、のんだくれ、のんべえ、アル中
(リーダーズ英和辞典)
…「ラッシュ・ライフ」とは、「酒びたりの生活」ということなのではないか。これで暗い内容が続いたわけもわかる。このあと歌は、"And there I'll be, while I rot, with the rest of those whose lives are lonely, too." と続いていく。
lush life で決まったイディオムとして載せている辞書はないが、この歌の影響で、この言葉は「豪勢な暮らし」よりも、もっぱら「飲んだくれの生活」を表すのではないと想像しているが、どうだろうか。
もちろんこうした解釈は間違っているかもしれないが、lush や dive の面白い意味を知ることができたという点からも、"Lush Life" は私にとって印象深い作品である。
私が最初にこの名曲を聞いたのは、実はボーカルではなく、John Coltrane のサックスによる演奏だった。ボーカルでは、同じジョン・コルトレーンと共演したジョニー・ハートマン Johnny Hartman の歌唱がいい。どちらのアルバムでも、「ラッシュ・ライフ」の他にも名曲の名演が揃っている。
- アーティスト: ジョン・コルトレーン,ジョニー・ハートマン,マッコイ・タイナー,ジミー・ギャリソン,エルヴィン・ジョーンズ
- 出版社/メーカー: ユニバーサル ミュージック クラシック
- 発売日: 2003/04/23
- メディア: CD
タグ:ジャズ
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本当に "lush" は紛らわしい単語ですね。Lush Lifeだと私も豊かな生活を想像しました。 知っている単語なのに文脈ですっきりしない場合は私も必ず辞書を引くようにしています。
by Bane (2010-04-24 10:48)