今を楽しめ (carpe diem, seize the day) [ラテン語・外来語]
谷川俊太郎の詩の中でよく知られていると思われる「生きる」に、松本美枝子という写真家の作品をつけて一冊にした本を見つけた。巻末に英訳も掲載されていて興味を持ち、購入した。この本には、carpe diem と書かれた帯がついていて、あとがきで谷川俊太郎自身がこの言葉を紹介している。ラテン語のことわざで、英語では seize the day の意味だという。
谷川俊太郎は、あとがきで次のようなことを書いている。日本語にすると「この日を捉えよ」で、ずいぶん強い言葉だ、現実に私たちが生きるのはいつも「いま・ここ」で、「いま」という一瞬はあっという間に過ぎ去るが、そこには自分の過去も未来もひそんでいる。だから「いま」という時は速いだけでなく限りなく深い。
詩人らしく、また「生きる」の詩の内容にもふさわしく、この言葉をずいぶん深い意味に解釈していると感じた。
辞書で carpe diem を調べてみた。発音はラテン語風や英語風、いくつかある。
こうしてみると、carpe diem は、谷川俊太郎がとらえているような、深刻な意味を持つものではないような気もしてくる。もちろん、元の意味がどうであれ、ある言葉から何を感じ取るかは個人に任されているといえるだろうが、実際のところはどうなのだろうか。いずれにせよ、自分から使うような言葉ではないが、おもしろい。
ところで、「ランダムハウス大英和」は「エピクロス哲学の格言」としているが、見た範囲ではそれ以外の辞書は、由来を古代ローマの詩人ホラティウス Horace (Quintus Horatius Flaccus) としている。
ホラティウスはシャーロック・ホームズ物語の最初の作品「緋色の研究」 A Study in Scarlet の最後に引用される(この carpe diem ではないが)。ホームズ好きの一方文学には詳しくない私なので、この名前を聞いて頭に思い浮かぶのはホームズのことだけである。そこで電子辞書で調べると、「技巧にすぐれ、知的で都会的なユーモアと人間味に富む。人間の俗物性を風刺し、文明批評的な作品も多い」という説明が載っていた。
ついでに、エピクロス主義は快楽主義の哲学で、epicurean などの英単語、またカタカナ語にもなっている。
これまでもいくつかラテン語由来の単語を取り上げているが、今回はたまたま書店で目にとまった本でそうした言葉を新たに知ることができた。本当に単語・表現はどんなきっかけで出会うかわからないものだ。
ついでだが、上記 OALD の "take an opportunity as soon as it appears" という説明から、make hay while the sun shines というイディオムを連想したので付記しておきたい。
谷川俊太郎は、あとがきで次のようなことを書いている。日本語にすると「この日を捉えよ」で、ずいぶん強い言葉だ、現実に私たちが生きるのはいつも「いま・ここ」で、「いま」という一瞬はあっという間に過ぎ去るが、そこには自分の過去も未来もひそんでいる。だから「いま」という時は速いだけでなく限りなく深い。
詩人らしく、また「生きる」の詩の内容にもふさわしく、この言葉をずいぶん深い意味に解釈していると感じた。
辞書で carpe diem を調べてみた。発音はラテン語風や英語風、いくつかある。
- (間)この日をつかめ(seize the day)、きょうを楽しめ (名)快楽的生き方
(ジーニアス英和大辞典)
- (希望を未来に求める生き方と対照して)この日をとらえよ(seize the day)、現在を楽しめ(enjoy the present);(好きなことを)さっさとやれ
(エピクロス哲学の格言)
(ランダムハウス英和大辞典)
- exclam. used to someone to make the most of the present time and give little thought to the future. (early 19th cent.; Latin, 'seize the day!,' a quotation from Horace)
(Oxford Dictionary of English)
- an expression used when you want to say that sb should not wait, but should take an opportunity as soon as it appears
(OALD)
- 1817, from L., "enjoy the day," lit. "pluck the day (while it is ripe)," an aphorism from Horace ( "Odes" I.xi)
(Online Etymology Dictionary)
こうしてみると、carpe diem は、谷川俊太郎がとらえているような、深刻な意味を持つものではないような気もしてくる。もちろん、元の意味がどうであれ、ある言葉から何を感じ取るかは個人に任されているといえるだろうが、実際のところはどうなのだろうか。いずれにせよ、自分から使うような言葉ではないが、おもしろい。
ところで、「ランダムハウス大英和」は「エピクロス哲学の格言」としているが、見た範囲ではそれ以外の辞書は、由来を古代ローマの詩人ホラティウス Horace (Quintus Horatius Flaccus) としている。
ホラティウスはシャーロック・ホームズ物語の最初の作品「緋色の研究」 A Study in Scarlet の最後に引用される(この carpe diem ではないが)。ホームズ好きの一方文学には詳しくない私なので、この名前を聞いて頭に思い浮かぶのはホームズのことだけである。そこで電子辞書で調べると、「技巧にすぐれ、知的で都会的なユーモアと人間味に富む。人間の俗物性を風刺し、文明批評的な作品も多い」という説明が載っていた。
ついでに、エピクロス主義は快楽主義の哲学で、epicurean などの英単語、またカタカナ語にもなっている。
これまでもいくつかラテン語由来の単語を取り上げているが、今回はたまたま書店で目にとまった本でそうした言葉を新たに知ることができた。本当に単語・表現はどんなきっかけで出会うかわからないものだ。
ついでだが、上記 OALD の "take an opportunity as soon as it appears" という説明から、make hay while the sun shines というイディオムを連想したので付記しておきたい。
にほんブログ村← 参加中です
コメント 0