candidate for 「~になりそうな人」(刑事コロンボ「野望の果て」) [刑事コロンボ]
前回取り上げたTVドラマ「刑事コロンボ」のエピソード「野望の果て」は、組織犯罪撲滅を訴えるアメリカ上院議員候補の犯罪を描いた作品だが、原題の Candidate for Crime を見て、うまいタイトルだな、と思った。
candidate は「立候補者」「志願者」と覚えるだろうが、この単語は以下のような意味でも使える。
- (~に)なりそうな人(もの)、(~の)予備軍(for)(よいことにも悪いことにも用いる)
(ジーニアス英和大辞典)
- One that seems likely to gain a certain position or come to a certain fate: young actors who are candidates for stardom; a memorandum that is a good candidate for the trash can.
(American Heritage Dictionary of the English Language)
- a person or thing regarded as suitable or likely for a particular fate or position
"this wine is a candidate for his cellar"
(Collins English Dictionary)
そこで、議員候補者の犯罪を描いている Candidate for Crime のタイトルも、2つの意味をかけてあるのではと思ったわけである。
「野望の果て」は、私の好きなエピソードのひとつだ。「コロンボ」の諸作の中には、ミステリとしての要素が弱く、心理戦や犯人に対する「ひっかけ」のおもしろさだけで持たせた作品もある。しかし、このエピソードは、ネチネチと質問を重ねて怪しいとにらんだ相手を追い込んでいくコロンボ独特の手法とともに、不審な点を洗い出して論理的に詰めていく捜査過程をしっかりと描いている。
冒頭シーンからコロンボの姿をちらりと見せるちょっとした意外性、そして動かぬ証拠を突きつけて「あなたを逮捕します」というセリフですぱっと終わるラストシーンも印象的だ。クリストファー・リーヴ主演の「スーパーマン」で、新聞の編集長役を演じていたジャッキー・クーパー Jackie Cooper も、コロンボに心理的に追い詰められていく犯人を好演している。
この作品の前のエピソードは、以前取り上げたことがある「別れのワイン」 Any Old Port in a Storm で、「人情もの」系の作品として評価が高い。その次のエピソードとして、ミステリの側面が強いこの作品が放送されたのは単なる偶然かもしれないが、毎回見ているファンにとってはうまくバランスが取れているように感じられたことだろう。
タグ:刑事コロンボ
2012-10-09 08:17
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コメント(2)
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面白いです。「~と言う俳優はジェームズ・ボンドの候補です」などにも使用できますか?
by ルイ (2018-04-24 13:18)
ルイさん、コメントありがとうございました。使えるだろうな、と思ってウェブを検索してみたら、確かにありました。contenderも使えそうです。
by tempus fugit (2018-04-26 22:53)