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さよなら「ニューズウィーク」~印刷版が廃刊へ [ニュースと英語]

Newsweek がとうとう店頭から姿を消すことになった。売り上げ不振が伝えられていた紙媒体の雑誌は今年末で打ち切りとなり、ネットの電子版に完全移行するという。

アメリカを代表するニュース週刊誌であり、創刊80周年を目前にして印刷版が廃止されるとあってか、日本のいくつかのメディアにも取り上げられていた。

私にとって、TIME とならんで永らく英語学習や情報収集でお世話になってきた雑誌である。

大学生の頃、英字新聞が何とか読めるようになった私が次なる目標としたのが「タイム」と「ニューズウィーク」だった。自分の英語力からは高嶺の花だったが、「今週号のカバーストーリーは何だろう?」「あのニュースをどのように扱っているのだろう?」といった興味だけを頼りに両誌を店頭で眺め、時おり買っていくつかの記事を苦労しながら読み進めた。

「ニューズウィーク」は「タイム」より英語が平易だといわれていた。読んでみると、確かにそうした傾向があったように思う。そのためか、最初の頃は「ニューズウィーク」を買う方がずっと多かった。

もうひとつ、そのころ日本で発行されていた「ニューズウィーク」の版は、紙質がわら半紙に近く、光沢のある紙が使われていた「タイム」よりずっと悪かった。しかし、その方がポールペンやマーカーのインクの乗りがよく、学習で書き込みをするには適していた。そんな点からも、「ニューズウィーク」により親しみを感じていた。

そうやってニュース週刊誌と格闘を繰り返すうちに、徐々に英語の読解力がついていったように思う。そのうちに「タイム」の英語により歯ごたえを感じるようになり、「ニューズウィーク」を買って書き込みをしながら学習をすることも減っていった。

そして社会人になって何年か経った頃、興味をもった記事のいくつかは、日本の雑誌のように目を通すことができるようになった。海外出張の際には、現地で発行されている版を買い、日本で流通している版と結構違いがあるものだとおもしろく思ったりもした。

もちろん、英語や内容を100%理解できるようになったわけではない(今でもそうだ)。身構えず、気軽な気持ちで両誌に接することができるようになったということである。

さらに年月が経つと、今度は「タイム」や「ニューズウィーク」の記事が、内容によっては冗長だと感じるようになった。仕事の忙しさや責務が増え、何かにつけ余裕がなくなっていたことの反映かもしれない。同じニュース雑誌でも、その頃には目を通すようになっていた The Economist の締まった感じのある記事の方が好ましく思えたりした。

そしてインターネットの時代を迎えると、「ニューズウィーク」を含めて、ニュース雑誌の印刷版を買うことはほとんどなくなってしまった。

ウェブで記事が手軽に読めるようになった、ということだけではない。週遅れの印刷版に載る記事は、賞味期限に耐えないものもある。メディアの進歩が世の中のテンポを速めたという相互作用もあるだろうが、翌週の発行に向けて記事を練りあげていく、というニュース雑誌のスタイルは時代の動きにあわなくなってしまった。

私自身も変わったのだろう。英語の学習に力を入れていた頃は、冊子をパラパラめくって、お目当て以外の記事にも何か読もうと目を光らせていた。しかし、ある程度の英語力がついて情報収集のために雑誌を手に取るようになると、かつてのように「力む」ことがなくなった。ネット時代を迎えてその傾向がますます強まった。

そんなわけで、「ニューズウィーク」印刷版打ち切りのニュースには、個人的な感慨も大きい。単語がわからない、単語がわかっても背景情報がなく何をいいたいのか見当がつかない、いつかこの雑誌を気軽に読める日がくるのだろうか。そんな思いを抱きながら「ニューズウィーク」に食らいつこうとしていた自分を思い出させるからだ。インターネットも英語のテレビニュースも身近になかった時代の話である。

人生の折り返し点を過ぎたせいか、最近は読むならなるべくまとまった書物を読みたいという思いが強まっている。そんなこともあり、「ニューズウィーク」を含め英語のニュース記事を、若い時のような量と熱心さと密度で読んでいくことは多分もうないだろう。

しかし、いまそういう気持ちを持つようになったのも、逆説的かもしれないが、かつての「ニューズウィーク」との格闘があったからだ。そう思うと、「さよなら、ありがとう Newsweek!」と言いたい気持ちになる。

タグ:英語学習
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