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out there 「いっちゃってる」「ぶっとんだ」 [注意したい単語・意外な意味]

前回「世間では」を表す out there について書いた際にオンライン辞書を調べたところ、この意味を載せたものはなかったが、形容詞として別の使われ方があることを知った。面白いので取り上げてみたい。

「型破りの」「変わった」「常識に従わない」という意味だが、定義を読んでみると、時として、「ちょっとおかしいんじゃないか」と思わせるくらい個性的であることを示す場合もあるようだ。

自分たちの側ではない、「あちら」に行ってしまった、というニュアンスだろうか。

私が使っている英和辞典にはいずれも記載がなかったので、オンライン辞書の定義を引用する。名詞を修飾する場合は out-there とハイフンを入れることもある。

- Slang (out-there when prenominal) unconventional or eccentric
he blends sublime pop moments with some real out-there stuff
(Collins English Dictionary)

- adj. 1. crazy; mentally deranged; scatter-brained, loony.
2. so extremely individualistic so as to appear mentally unstable.
3. Not conforming to mores, accepted norms, or standards.
I tried to reason with Chris, but he's out there.
(Urban Dictionary)

「いっちゃった」ということで連想したのが、バットマンの映画「ダークナイト」で悪役ジョーカーに扮したヒース・レッジャーの演技である。キーワードに入れて検索したら、こんな文がヒットした。

There’s a insane story floating around the web right now, instigated by the late Heath Ledger’s agent who has come out with the outlandish claim that Ledger was actually trying to get himself fired from The Dark Knight with his unique and “out there” performance as The Joker.
http://whatculture.com/film/do-you-really-win-an-oscar-by-trying-to-get-yourself-fired.php

脱線だが、上記の出だしの a insane story は an とするべきだろう。先日引用したダニエル・クレイグについての記事にスペリングの誤りがあったことを指摘したばかりだが、英語圏のメディアではミスが意外と目につくことがあるように思う。校正がいいかげんなのか、はたまた寛容というべきなのか。

out there について、さらに Wordnik というサイトにあった実例からいくつか紹介しよう。

- ...it's easy to forget how he rationalized once out-there ideas to millions of American conservative

- It's totally new, out-there, novel idea to have the government providing health insurance and health care to people.

- That may seem out-there and strange, but when you start to practice, you can realize your own potential.

追記:
先ごろ出版された「リーダーズ英和辞典第3版」を書店で見たら、out there の記述も詳しくなっており、

- 向こうに、あそこに;ほかの所に;世間に(は);目につく所に;(口)奇妙な、ばかげた;(俗)戦地に

とあった。また前回、「リーダーズ」には「世間」を表す out there の記述はないと書いたが、これは私の電子辞書に収録されている第2版のことであり、新版ではこの意味も記載されたことになる。

追記2:
ポール・マッカートニー Paul McCartney の来日ツアーが、「アウト・ゼアー・ジャパンツアー」と名づけられている。ネットにあったポールへのインタビューによると、この out there は、「外へ行く」というような意味とともに、この「ぶっとんだ」にもかけてあるということだ。

参考記事:
・自分からは使えない表現 out there
http://eigo-kobako.blog.so-net.ne.jp/2013-02-14

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コメント 2

通りすがり

こんにちは。自分の理解と感覚ですみませんが、この "out there" で言う「世間」と言う表現は使い方を間違えると「少しだけ嫌味な人」「少しだけ高慢な人」にも聞こえてしまうように思うので注意が必要ですよね。

例えばコラムニスト等が記事中で言う "out there" と言う言い方は、「ごく平凡で何の面白みも無い自分から見て、全く彼ら(世間)は大したもんだ」と言うちょっと嫌味っぽい、しかしちょっと面白い、でも皮肉めいた、"私と彼らは違うけれども" と言う、自分からは距離を置いた感覚で言った『世間を表す言い回し』なので、よくわからんまま使うと人間性を誤解される気がします。(そこまでシリアスでは無いけども、ほんのりと)

あるいは男性ぽい理屈っぽさとも言えるかもしれません。自然に出てくる流れだとか、実際誰が見てもそう言いたくなるよなと言う状況で思わず漏れるのならば、とても自然な言い回しになると思います。

youtuber で solo travel blog と言うチャンネルをやっている Dustin さんの言い回しがとてもわかり易いです。勿論彼のキャラクターは意図的なので、そこを理解した上でどうぞ。
by 通りすがり (2017-06-26 12:05) 

tempus fugit

通りすがりさん、貴重で有益な情報ありがとうございました。この表現について理解を深めることができました。他にも気づかれたことがありましたらどしどしご教示お願いいたします。



by tempus fugit (2017-06-27 00:46) 

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