ロシアに隕石落下~meteor と meteorite はどう違うのか [注意したい単語・意外な意味]
ロシアの隕石落下は映画「アルマゲドン」のようで驚いたが、ネットを見ると meteor を使っている英文あり、meteorite としている記事あり、意味がどう違うんだったけという疑問が湧いた。
記事の本文を引用すると長大になるので、見出しを拾ってみよう。
- Meteorite explosion over Russia injures hundreds
http://www.guardian.co.uk/science/2013/feb/15/meteorite-explosion-shakes-russian
- Russian meteor blast injures at least 1,000 people, authorities say
http://edition.cnn.com/2013/02/15/world/europe/russia-meteor-shower/index.html
- Meteorite hits Russian Urals: Fireball explosion wreaks havoc, up to 1,200 injured
http://rt.com/news/meteorite-crash-urals-chelyabinsk-283/
- Meteor falls in Russia, more than 1,000 injured
http://www.dallasnews.com/news/local-news/20130215-video-meteor-falls-in-russia-700-injured-by-blasts.ece
meteoroid を使っている記事もあった。
- Meteoroid falling over Russia caught on camera
http://www.telegraph.co.uk/news/worldnews/europe/russia/9872020/Meteoroid-falling-over-Russia-caught-on-camera.html
オンライン辞書で調べると、meteor については、たとえば
- 1. a very small meteoroid that has entered the earth's atmosphere. Such objects have speeds approaching 70 kilometres per second
2. shooting star, Also called: falling star
the bright streak of light appearing in the sky due to the incandescence of such a body heated by friction at its surface
(Collins English Dictionary)
一方、meteorite は、
- A meteor that reaches the Earth's surface because it has not been burned up by friction with the atmosphere.
(American Heritage Science Dictionary)
- A bright trail or streak that appears in the sky when a meteoroid is heated to incandescence by friction with the earth's atmosphere. Also called falling star, meteor burst, shooting star.
(American Heritage Dictionary)
- 1. a mass of stone or metal that has reached the earth from outer space; a fallen meteoroid.
2. a meteoroid.
(Dictionary.com based on the Random House Dictionary)
こうした説明をみると、宇宙空間にある meteoroid が大気圏に入ると meteor になり、地上に落ちたものを meteorite と呼ぶように思える。
電子辞書を見たら、ずばりとわかりやすい説明をしていたのが「ランダムハウス英和大辞典」だった。
- meteor は光の線を描く「流星」を指し、そのとき飛んでいる天体そのものは meteoroid 「流星体」と呼ばれ、それが地上まで達したとき meteorite 「隕石」と呼ばれる
とはいえ、上記「アメリカン・ヘリテージ」の meteorite には、「コリンズ」の meteor とほとんど同じ内容の「流星」と読める記述があるし、どちらも falling star や shooting star と言い換えている。
また英語の「ランダムハウス」は meteorite の2つ目の定義を meteoroid としているし、引用はしないが、この他 meteor の同義語として meteorite や meteoroid をあげている辞書もあった。
何だかよくわからなくなってくるが、一方で、宇宙から岩のような物体が地上まで落ちてきたことは同じなのだから、3語のどれを使っても正しいといえそうだ、とも思う。
逆にいえば、宇宙空間にある時点では meteor や meteorite とは呼ばない、ということかもしれない。
しかし、すぐに反証が見つかった。
宇宙から巨大隕石が地球に向かってくるという内容の「メテオ」 Meteor というパニック映画があったことを思い出し、オンラインの映画データベースIMDb にあるこの作品の plot summary を見たのだが、
- To stop the meteor NASA wants to use the illegal nuclear weapon satellite "Hercules" but discovers soon that it doesn't have enough fire power.
http://www.imdb.com/title/tt0079550/
と、ずばりタイトルと同じ meteor を使っていた。
確かめたわけではないのではっきりとはいえないが、ネイティブスピーカーであっても、専門家など一部を除けば、皆がこれらの言葉の違いを厳密に理解しているとは限らない(むしろ、そう多くはない?)のではないかと思う。
と、ここまで書いて私自身、先の「メテオ」のところで疑問を持たずに「隕石」と書いたことに気づいた。あわてて辞書を引いたところ、この言葉は燃えつきずに地表に達した物体を指すという。つまり、「巨大隕石が地球に向かってくる」というのは厳密にいえば誤りということになる。
以前、「震源」と「震源地」の違い、またそれに相当する英語も異なることについて取り上げたことがある。その時にも思ったが、ネイティブだから自分の言語に精通しているとは限らないのは、日本人・日本語のことを考えてもわかることだ。
辞書や参考書などを使って学習した外国人の方が、むしろ言葉について正しい知識を持っていることがある。一方、ネイティブは、必ずしも辞書に書いてある通りに言葉を使うとは限らない。
だからどうだというわけではないが、そこが英語(外国語)を学んでいておもしろいところであり、難しいところでもある、と脱線が長くなってきたところで今回は終わりにする。
参考記事:
・「震源」と「震源地」はどう違うのか
・disc とdisk はどう違うのか
・語彙力なら達人やネイティブに勝てる
・「やっぱり単語力だ」
記事の本文を引用すると長大になるので、見出しを拾ってみよう。
- Meteorite explosion over Russia injures hundreds
http://www.guardian.co.uk/science/2013/feb/15/meteorite-explosion-shakes-russian
- Russian meteor blast injures at least 1,000 people, authorities say
http://edition.cnn.com/2013/02/15/world/europe/russia-meteor-shower/index.html
- Meteorite hits Russian Urals: Fireball explosion wreaks havoc, up to 1,200 injured
http://rt.com/news/meteorite-crash-urals-chelyabinsk-283/
- Meteor falls in Russia, more than 1,000 injured
http://www.dallasnews.com/news/local-news/20130215-video-meteor-falls-in-russia-700-injured-by-blasts.ece
meteoroid を使っている記事もあった。
- Meteoroid falling over Russia caught on camera
http://www.telegraph.co.uk/news/worldnews/europe/russia/9872020/Meteoroid-falling-over-Russia-caught-on-camera.html
オンライン辞書で調べると、meteor については、たとえば
- 1. a very small meteoroid that has entered the earth's atmosphere. Such objects have speeds approaching 70 kilometres per second
2. shooting star, Also called: falling star
the bright streak of light appearing in the sky due to the incandescence of such a body heated by friction at its surface
(Collins English Dictionary)
一方、meteorite は、
- A meteor that reaches the Earth's surface because it has not been burned up by friction with the atmosphere.
(American Heritage Science Dictionary)
- A bright trail or streak that appears in the sky when a meteoroid is heated to incandescence by friction with the earth's atmosphere. Also called falling star, meteor burst, shooting star.
(American Heritage Dictionary)
- 1. a mass of stone or metal that has reached the earth from outer space; a fallen meteoroid.
2. a meteoroid.
(Dictionary.com based on the Random House Dictionary)
こうした説明をみると、宇宙空間にある meteoroid が大気圏に入ると meteor になり、地上に落ちたものを meteorite と呼ぶように思える。
電子辞書を見たら、ずばりとわかりやすい説明をしていたのが「ランダムハウス英和大辞典」だった。
- meteor は光の線を描く「流星」を指し、そのとき飛んでいる天体そのものは meteoroid 「流星体」と呼ばれ、それが地上まで達したとき meteorite 「隕石」と呼ばれる
とはいえ、上記「アメリカン・ヘリテージ」の meteorite には、「コリンズ」の meteor とほとんど同じ内容の「流星」と読める記述があるし、どちらも falling star や shooting star と言い換えている。
また英語の「ランダムハウス」は meteorite の2つ目の定義を meteoroid としているし、引用はしないが、この他 meteor の同義語として meteorite や meteoroid をあげている辞書もあった。
何だかよくわからなくなってくるが、一方で、宇宙から岩のような物体が地上まで落ちてきたことは同じなのだから、3語のどれを使っても正しいといえそうだ、とも思う。
逆にいえば、宇宙空間にある時点では meteor や meteorite とは呼ばない、ということかもしれない。
しかし、すぐに反証が見つかった。
宇宙から巨大隕石が地球に向かってくるという内容の「メテオ」 Meteor というパニック映画があったことを思い出し、オンラインの映画データベースIMDb にあるこの作品の plot summary を見たのだが、
- To stop the meteor NASA wants to use the illegal nuclear weapon satellite "Hercules" but discovers soon that it doesn't have enough fire power.
http://www.imdb.com/title/tt0079550/
と、ずばりタイトルと同じ meteor を使っていた。
確かめたわけではないのではっきりとはいえないが、ネイティブスピーカーであっても、専門家など一部を除けば、皆がこれらの言葉の違いを厳密に理解しているとは限らない(むしろ、そう多くはない?)のではないかと思う。
と、ここまで書いて私自身、先の「メテオ」のところで疑問を持たずに「隕石」と書いたことに気づいた。あわてて辞書を引いたところ、この言葉は燃えつきずに地表に達した物体を指すという。つまり、「巨大隕石が地球に向かってくる」というのは厳密にいえば誤りということになる。
以前、「震源」と「震源地」の違い、またそれに相当する英語も異なることについて取り上げたことがある。その時にも思ったが、ネイティブだから自分の言語に精通しているとは限らないのは、日本人・日本語のことを考えてもわかることだ。
辞書や参考書などを使って学習した外国人の方が、むしろ言葉について正しい知識を持っていることがある。一方、ネイティブは、必ずしも辞書に書いてある通りに言葉を使うとは限らない。
だからどうだというわけではないが、そこが英語(外国語)を学んでいておもしろいところであり、難しいところでもある、と脱線が長くなってきたところで今回は終わりにする。
参考記事:
・「震源」と「震源地」はどう違うのか
・disc とdisk はどう違うのか
・語彙力なら達人やネイティブに勝てる
・「やっぱり単語力だ」
タグ:科学・技術
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