typecast (否定で)「~というタイプには見えない」「らしくない」(刑事コロンボ「偶像のレクイエム」) [刑事コロンボ]
前回のエントリに falling star が出てきた連想で、ドラマ「刑事コロンボ」のエピソード「偶像のレクイエム」 Requiem for A Falling Star を観たら、以前取り上げた typecast 「型にはめる」が、否定形で使われておもしろいと思った例があった。
テレビスタジオの敷地で殺人事件が起き、捜査にやってきたコロンボとスタジオの社長 Fallen が交わす会話である。
- Fallen: Actors, Lieutenant. Take my advice. Avoid actors. They'll kill you.
Columbo: Well, thanks Mr. Fallen. I'll be sure to tell your boss I appreciate your hospitality.
Fallen: I am the boss.
Columbo: Oh, gee. You know it never occurred to me. I mean anybody so young...
Fallen: It's alright. I would never typecast you as a detective either.
(Columbo: Requiem for A Falling Star)
別れる間際に、話していた相手が偉い地位にあると知ったコロンボが「まだお若いのに」と驚くと、「そういうコロンボさんだって刑事ってタイプじゃない」と社長が答える。コロンボは一見愚鈍そうで、とても殺人事件を追う刑事には見えないのが持ち味だ。
その前段もおもしろい。社長が「俳優の相手はしないことだ。奴らと一緒にいると頭がおかしくなるから」と言う。いうまでもなくドラマは俳優が演じるものだから、このくだりがよけいにユーモラスになっている。俳優にこう言わせる製作者・脚本家も痛烈である。
痛烈といえば、この「偶像のレクイエム」では、当時はテレビに活躍の場を移していた元映画俳優のアン・バクスター Anne Baxter が「かつて映画スターだったTV女優」という役柄を演じている。つまり、彼女の経歴そのままというわけだ。
そして、この作品で彼女が演じるTV女優は、いかにも「私は元銀幕の大スター」という態度を周囲に振りまいている。これがアン・バクスターのプロとしての演技なのか、それとも地なのか、よくわからないところが凄い。
アン・バクスターの映画は、かなり前に代表作の「イヴの総て」 All About Eve を観たことがある。細かい点はほとんど覚えていないが、利用できる周囲のものを利用してスター街道を驀進していく新人女優を描いた作品だった。
「刑事コロンボ」の製作者が、彼女ありきでこのエピソードを考えたのか、それともストーリーが先にできて「演じるならアン・バクスターしかいない」となったのかはわからない。いずれにしてもこのエピソードへの出演をOKしたアン・バクスターは、やはり凄い女優だと思ってしまった。
参考記事:
・「はまり役」で型にはめられた俳優たち (typecast)
http://eigo-kobako.blog.so-net.ne.jp/2007-10-07
・続・「はまり役」で型にはめられた俳優たち
http://eigo-kobako.blog.so-net.ne.jp/2007-10-08
テレビスタジオの敷地で殺人事件が起き、捜査にやってきたコロンボとスタジオの社長 Fallen が交わす会話である。
- Fallen: Actors, Lieutenant. Take my advice. Avoid actors. They'll kill you.
Columbo: Well, thanks Mr. Fallen. I'll be sure to tell your boss I appreciate your hospitality.
Fallen: I am the boss.
Columbo: Oh, gee. You know it never occurred to me. I mean anybody so young...
Fallen: It's alright. I would never typecast you as a detective either.
(Columbo: Requiem for A Falling Star)
別れる間際に、話していた相手が偉い地位にあると知ったコロンボが「まだお若いのに」と驚くと、「そういうコロンボさんだって刑事ってタイプじゃない」と社長が答える。コロンボは一見愚鈍そうで、とても殺人事件を追う刑事には見えないのが持ち味だ。
その前段もおもしろい。社長が「俳優の相手はしないことだ。奴らと一緒にいると頭がおかしくなるから」と言う。いうまでもなくドラマは俳優が演じるものだから、このくだりがよけいにユーモラスになっている。俳優にこう言わせる製作者・脚本家も痛烈である。
痛烈といえば、この「偶像のレクイエム」では、当時はテレビに活躍の場を移していた元映画俳優のアン・バクスター Anne Baxter が「かつて映画スターだったTV女優」という役柄を演じている。つまり、彼女の経歴そのままというわけだ。
そして、この作品で彼女が演じるTV女優は、いかにも「私は元銀幕の大スター」という態度を周囲に振りまいている。これがアン・バクスターのプロとしての演技なのか、それとも地なのか、よくわからないところが凄い。
アン・バクスターの映画は、かなり前に代表作の「イヴの総て」 All About Eve を観たことがある。細かい点はほとんど覚えていないが、利用できる周囲のものを利用してスター街道を驀進していく新人女優を描いた作品だった。
「刑事コロンボ」の製作者が、彼女ありきでこのエピソードを考えたのか、それともストーリーが先にできて「演じるならアン・バクスターしかいない」となったのかはわからない。いずれにしてもこのエピソードへの出演をOKしたアン・バクスターは、やはり凄い女優だと思ってしまった。
参考記事:
・「はまり役」で型にはめられた俳優たち (typecast)
http://eigo-kobako.blog.so-net.ne.jp/2007-10-07
・続・「はまり役」で型にはめられた俳優たち
http://eigo-kobako.blog.so-net.ne.jp/2007-10-08
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