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「ロシアより愛をこめて」の原題や英語の句読点のことなど [007 ジェームズ・ボンド]

先日読んだ007の原作 From Russia with Love だが、前回も触れた初版のカバー dust jacket をあらためてネットで見たら、題名の Russia のあとにコンマがあることに気づいた。しかし私が読んだ版を含め、現行のペーパーバックにはどれもコンマはないようだ。

200px-RussiaFirst.jpgさらに画像を検索すると、これまで出版された007のペーパーバックの表紙画を集めた下記のサイトを見つけたが(熱心なファンもいるものである)、これを見ると、いつしかコンマを外した題名が普通となったらしい。
http://www.pizgloria.com/books.php?author=IAN%20FLEMING&title=FROM%20RUSSIA%20WITH%20LOVE

映画版のタイトルには最初からコンマが入っていないので、その影響だろうか。

このサイトでもうひとつ気づいたのは、「ロシアより愛をこめて」の次に書かれた作品「ドクター・ノオ」の題名に、"Doctor No" "Dr. No" "Dr No" と異なる表記があることだ。つまり、スペルアウトしたもの、略語にしてピリオドをつけたもの、ピリオドなしのもの、の3つである。
http://www.pizgloria.com/books.php?author=IAN%20FLEMING&title=DR%20NO

200px-DrNoFirst.jpgちなみに初版カバーを調べてみたら、ピリオドのある Dr. No であり、これは映画も同じだった。

同じ英語でも、イギリス英語では Dr や Mr のように略すときはピリオドをつけない傾向がある。アメリカ英語は省略のピリオドをつけるのが普通である。

原作者のイアン・フレミングはイギリス人だが、「ドクター・ノオ」は(映画も含め)アメリカ英語に従った形になっているわけである。アメリカのマーケットは無視できなかったということだろうか。

省略のピリオドについて気づいたことをもうひとつ。007シリーズのペーパーバックはいくつかの社から出ており、私が集めたのも作品によって Penguin か Vintage のいずれかである。

そして2つの社のペーパーバックは、ペンギン版が M (ジェームズ・ボンドの上司)や MI5 (イギリス国内を担当する情報機関)のように表記しているのに対し、ヴィンテージ版は M. とか M.I.5 のようにピリオドをつけて省略形にしている、という違いがある。

ヴィンテージ社がアメリカの出版社ならまだわかるが、イギリスの出版社なので、ちょっと不思議だ。

テクストがどうなっているかということは古典作品についてまわる問題だと思っていたが、現代の通俗小説である007ものが版によって違いがあるとは思いもよらなかった。

さらに細かいことを書くと、ヴィンテージ版には、M.'s とピリオドのあとにアポストロフィ s をつけた表記がある一方で、M's とピリオドなしもあって、同じ本の中でも不統一が見られる。これはテクストというより校正の問題だろうか。

なお個人的には、007の上司はピリオドのない M として親しんできたので、M. という表記にはどうもなじめない。どうでもいいことではあるが。

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