annotated 「注釈をつけた」(「詳註版・不思議の国のアリス」) [読書と英語]
「不思議の国のアリス」と「鏡の国のアリス」を1冊にした The Annotated Alice がネット書店から届いた。このように "annotated" が題名にあると、詳しい注釈をつけた本であることがわかる。
この The Annotated Alice の場合、amazon.co.jp の「中身を閲覧する」を見ていただければわかるように、巻末ではなく各ページに大きく余白を取って、そこに本文より小さい活字で注が並んでいる。余白が大きい、というより、ページのほぼ半分を注にあてている、といったほうがいいかもしれない。
日本語版「ウィキペディア」は、この本の内容を「不思議の国のアリス」の項で次のように紹介している。文中の「ドジソン」とは、作者ルイス・キャロル Lewis Carroll の本名 Charles Lutwidge Dodgson のことである。
- 1960年、アメリカの著述家マーティン・ガードナーが『注釈・不思議の国のアリス』(The Annotated Alice)と題して、『不思議の国のアリス』と『鏡の国のアリス』を1冊にまとめた本を出版する。同書では、ドジソンによるビクトリア朝の詩のパロディを含めて、両編への広範な注釈がおこなわれている。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%8D%E6%80%9D%E8%AD%B0%E3%81%AE%E5%9B%BD%E3%81%AE%E3%82%A2%E3%83%AA%E3%82%B9
また英語版の Wikipedia には、次のような説明があった。
- The Annotated Alice is a work by Martin Gardner incorporating the text of Lewis Carroll's major tales: Alice's Adventures in Wonderland and Through the Looking-Glass as well as the original illustrations by John Tenniel. It has extensive annotations explaining the contemporary references (including the Victorian poems that Carroll parodies), mathematical concepts, word play, and Victorian traditions (such as the snap-dragons) featured in the two books.
http://en.wikipedia.org/wiki/The_Annotated_Alice
私が買ったのは廉価なペーパーバック版だが、パラパラとめくってとりあえず眺めてみた。
以前取り上げたことがある、翻訳家を悩ませる(はずの) antipathies については注がなかった。これは英語のネイティブなら、アリスが antipodes という言葉と間違えたということが誰にとっても明白である、ということなのだろうか。非ネイティブとしてはちょっと残念な点である。
その一方で、登場「人」物の中でも有名な「ドードー鳥」について、
- Carroll's Dodo was intended as a caricature of himself -- his stammer is said to have made him pronounce his name "Dodo-Dodgson." (stammer: どもり、どもる、口ごもる)
(Lewis Carroll, Martin Gardner: The Annotated Alice)
という注がある。日本では作者の本名はたいてい(先の「ウィキペディア」もそうであるように)「ドジソン」「ドジスン」と表記されていて、実際 Dodgson という姓はそのように発音する場合が多いらしいが、「アリス」の作者については「ドドスン」のように発音されていたことがこの記述からうかがわれる。
・・・と偉そうに書いたが、この本の注を見て初めてこれに気づいたわけではなく、何かで読んで知っていたというのが本当のところだ。以前紹介した「アリス」の翻訳でも、訳者の河合祥一郎氏が作者の名前の読み方について「ドッドソン(ドジソンではありません)」と「あとがき」の中で書いている。ただ、この The Annotated Alice の注からもそれがわかるので、ちょっと触れた次第である。
ついでだが、「ドードー」は17世紀後半に絶滅した鳥。dead as a (the) dodo というイディオムになっているのをご存知の方もいると思う。「完全に死に絶えた」「忘れ去られた」「時代遅れの」という意味である。
ところで、私が購入したのはペーパーバック版なので、注の活字がたいへん小さいのが残念だ。いまや老眼 presbyopia が入ってきている私にとって、シニア・グラス reading glasses なしにはきつい細かい活字である。
さて、タイトルに annotated がついた英語の本をアマゾンで検索したら、多数ヒットする。それらがみな The Annotated Alice のような体裁を取っているかどうかはわからないが、気に入った作品の annotated edition が出ていたら、手に入れてみてはいかがだろうか。
最後になったが、動詞 annotate についての説明を引用しよう。強勢は最初の音節にある。上の Wikipedia の引用にもあったように、名詞は annotation である。
- (used with object) to supply with critical or explanatory notes; comment upon in notes: to annotate the works of Shakespeare.
(used without object) to make annotations or notes.
(Dictionary.com Unabridged, based on the Random House Dictionary)
- to add a short explanation or opinion to a text or drawing
Annotated editions of Shakespeare's plays help readers to understand old words.
(Cambridge Advanced Learner's Dictionary & Thesaurus)
- to provide (a written work) with explanatory notes or critical commentary. The translated version of the book was annotated in order to explain important aspects of Russian culture.
(Wordsmyth English Dictionary-Thesaurus)
- Synonyms
make notes on, explain, note, illustrate, comment on, interpret, gloss, footnote, commentate, elucidate, make observations on
(Collins English Dictionary)
参考記事:
・「不思議の国のアリス」の Antipathies をどう訳すか
http://eigo-kobako.blog.so-net.ne.jp/2010-05-17
・「不思議の国のアリス」(河合祥一郎訳)
http://eigo-kobako.blog.so-net.ne.jp/2010-05-23
・「不思議の国のアリス」を英語で読む
http://eigo-kobako.blog.so-net.ne.jp/2010-05-15
・近視・遠視・老眼の英語
http://eigo-kobako.blog.so-net.ne.jp/2007-03-12
この The Annotated Alice の場合、amazon.co.jp の「中身を閲覧する」を見ていただければわかるように、巻末ではなく各ページに大きく余白を取って、そこに本文より小さい活字で注が並んでいる。余白が大きい、というより、ページのほぼ半分を注にあてている、といったほうがいいかもしれない。
日本語版「ウィキペディア」は、この本の内容を「不思議の国のアリス」の項で次のように紹介している。文中の「ドジソン」とは、作者ルイス・キャロル Lewis Carroll の本名 Charles Lutwidge Dodgson のことである。
- 1960年、アメリカの著述家マーティン・ガードナーが『注釈・不思議の国のアリス』(The Annotated Alice)と題して、『不思議の国のアリス』と『鏡の国のアリス』を1冊にまとめた本を出版する。同書では、ドジソンによるビクトリア朝の詩のパロディを含めて、両編への広範な注釈がおこなわれている。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%8D%E6%80%9D%E8%AD%B0%E3%81%AE%E5%9B%BD%E3%81%AE%E3%82%A2%E3%83%AA%E3%82%B9
また英語版の Wikipedia には、次のような説明があった。
- The Annotated Alice is a work by Martin Gardner incorporating the text of Lewis Carroll's major tales: Alice's Adventures in Wonderland and Through the Looking-Glass as well as the original illustrations by John Tenniel. It has extensive annotations explaining the contemporary references (including the Victorian poems that Carroll parodies), mathematical concepts, word play, and Victorian traditions (such as the snap-dragons) featured in the two books.
http://en.wikipedia.org/wiki/The_Annotated_Alice
私が買ったのは廉価なペーパーバック版だが、パラパラとめくってとりあえず眺めてみた。
以前取り上げたことがある、翻訳家を悩ませる(はずの) antipathies については注がなかった。これは英語のネイティブなら、アリスが antipodes という言葉と間違えたということが誰にとっても明白である、ということなのだろうか。非ネイティブとしてはちょっと残念な点である。
その一方で、登場「人」物の中でも有名な「ドードー鳥」について、
- Carroll's Dodo was intended as a caricature of himself -- his stammer is said to have made him pronounce his name "Dodo-Dodgson." (stammer: どもり、どもる、口ごもる)
(Lewis Carroll, Martin Gardner: The Annotated Alice)
という注がある。日本では作者の本名はたいてい(先の「ウィキペディア」もそうであるように)「ドジソン」「ドジスン」と表記されていて、実際 Dodgson という姓はそのように発音する場合が多いらしいが、「アリス」の作者については「ドドスン」のように発音されていたことがこの記述からうかがわれる。
・・・と偉そうに書いたが、この本の注を見て初めてこれに気づいたわけではなく、何かで読んで知っていたというのが本当のところだ。以前紹介した「アリス」の翻訳でも、訳者の河合祥一郎氏が作者の名前の読み方について「ドッドソン(ドジソンではありません)」と「あとがき」の中で書いている。ただ、この The Annotated Alice の注からもそれがわかるので、ちょっと触れた次第である。
ついでだが、「ドードー」は17世紀後半に絶滅した鳥。dead as a (the) dodo というイディオムになっているのをご存知の方もいると思う。「完全に死に絶えた」「忘れ去られた」「時代遅れの」という意味である。
ところで、私が購入したのはペーパーバック版なので、注の活字がたいへん小さいのが残念だ。いまや老眼 presbyopia が入ってきている私にとって、シニア・グラス reading glasses なしにはきつい細かい活字である。
さて、タイトルに annotated がついた英語の本をアマゾンで検索したら、多数ヒットする。それらがみな The Annotated Alice のような体裁を取っているかどうかはわからないが、気に入った作品の annotated edition が出ていたら、手に入れてみてはいかがだろうか。
最後になったが、動詞 annotate についての説明を引用しよう。強勢は最初の音節にある。上の Wikipedia の引用にもあったように、名詞は annotation である。
- (used with object) to supply with critical or explanatory notes; comment upon in notes: to annotate the works of Shakespeare.
(used without object) to make annotations or notes.
(Dictionary.com Unabridged, based on the Random House Dictionary)
- to add a short explanation or opinion to a text or drawing
Annotated editions of Shakespeare's plays help readers to understand old words.
(Cambridge Advanced Learner's Dictionary & Thesaurus)
- to provide (a written work) with explanatory notes or critical commentary. The translated version of the book was annotated in order to explain important aspects of Russian culture.
(Wordsmyth English Dictionary-Thesaurus)
- Synonyms
make notes on, explain, note, illustrate, comment on, interpret, gloss, footnote, commentate, elucidate, make observations on
(Collins English Dictionary)
参考記事:
・「不思議の国のアリス」の Antipathies をどう訳すか
http://eigo-kobako.blog.so-net.ne.jp/2010-05-17
・「不思議の国のアリス」(河合祥一郎訳)
http://eigo-kobako.blog.so-net.ne.jp/2010-05-23
・「不思議の国のアリス」を英語で読む
http://eigo-kobako.blog.so-net.ne.jp/2010-05-15
・近視・遠視・老眼の英語
http://eigo-kobako.blog.so-net.ne.jp/2007-03-12
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