「万能薬」さまざま (panacea, elixir, cure-all) [単語・表現]
先日の続きで、何にでも効く、どんな問題でも解決してくれる「万能薬」「特効薬」を示す単語をおさらいする。まずは panacea から。
この単語は、私が大学生の頃、英語教育や国際交流の分野で活躍されていた通訳者の國弘正雄先生がインタビュー番組か何かで使っていたのを聞いて覚えた。
私の学習ファイルにメモしていた例は、出典を書いていなかったが、文中の Mr Annan とはアナン国連事務総長のことと思われるので、何かのニュース記事だろう。先日書いた magic bullet といっしょに使われている。
- Noting that information and communications technologies are not a panacea or a magic bullet, Mr Annan stated that “they are without doubt enormously powerful tools for development. They create jobs."
電子辞書の「ジーニアス英和大辞典」にあった次の例文は、実用性の点ではどうかと思うし、訳文も(辞書なのであまりの意訳は避けるはずとはいえ)ぎくしゃくしている感じがするが、何だかおもしろい。
- Don't regard falling in love as a panacea for everything that troubles you.
恋することを、あなたの悩みを解消する万能薬と考えてはいけません.
なお pan- は、panorama, pandemic などと同様、「すべて」「汎」を表す接頭辞。「神殿」「パンテオン」の pantheon は「万神をまつる宮」 temple of all the gods のことである。
「パンアメリカン航空」の Pan-Am は、私の世代なら聞き慣れた人が多いはずで、映画「2001年宇宙の旅」 2001: A Space Odyssey にも(当時から見て)未来の宇宙旅客船の機体にロゴが描かれていたが、この年が実際に来る前に会社自体がなくなってしまった。
次は elixir である。錬金術 alchemy で卑金属を金属に変えると信じられた錬金薬、また「不老不死の薬」 (elixir vitae, elixir of life) のことだが、これも「妙薬」「万能薬」の意味で使われる。magic elixir という言い方も目にした記憶がある。
- The current new wave of technology should prove an economic elixir.
(LDOCE)
また、薬を服用しやすくするアルコール甘味剤を指すほか、アルコール類についても使うと辞書にある。「酒は百薬の長」「お神酒」といったところか。それ以外に、次のような例文もあった。
- He lit up a cigarette and drank in the smoke as if it were an elixir.
タバコに火をつけると、まるで不老長寿の薬でも飲むかのようにその煙を吸いこんだ.
(ジーニアス英和大辞典)
前回の magic bullet では余談で歌劇「魔弾の射手」の原題について書いたが、今回頭に浮かんだのはドニゼッティのオペラ「愛の妙薬」。原題 L'elisir d'amore は英語では The Elixir of Love とそのまま訳されている。
ついでの余談で、私は「錬金術」にあたる英語はなかなか記憶に定着しなかったが、以前「アルケミスト」という題の翻訳小説が出て、助けになった。
「万能薬」には cure-all という”そのまんま”の単語もある。強勢は cure- の方に置かれる。
このほか、まだ類語があるが、長くなったので次回に続ける。
参考記事:
・「特効薬」あれこれ (magic bullet, silver bullet)
http://eigo-kobako.blog.so-net.ne.jp/2013-05-06
・「借りた時間を生きる」とは? (live on borrowed time)
http://eigo-kobako.blog.so-net.ne.jp/2008-03-21
この単語は、私が大学生の頃、英語教育や国際交流の分野で活躍されていた通訳者の國弘正雄先生がインタビュー番組か何かで使っていたのを聞いて覚えた。
私の学習ファイルにメモしていた例は、出典を書いていなかったが、文中の Mr Annan とはアナン国連事務総長のことと思われるので、何かのニュース記事だろう。先日書いた magic bullet といっしょに使われている。
- Noting that information and communications technologies are not a panacea or a magic bullet, Mr Annan stated that “they are without doubt enormously powerful tools for development. They create jobs."
電子辞書の「ジーニアス英和大辞典」にあった次の例文は、実用性の点ではどうかと思うし、訳文も(辞書なのであまりの意訳は避けるはずとはいえ)ぎくしゃくしている感じがするが、何だかおもしろい。
- Don't regard falling in love as a panacea for everything that troubles you.
恋することを、あなたの悩みを解消する万能薬と考えてはいけません.
なお pan- は、panorama, pandemic などと同様、「すべて」「汎」を表す接頭辞。「神殿」「パンテオン」の pantheon は「万神をまつる宮」 temple of all the gods のことである。
「パンアメリカン航空」の Pan-Am は、私の世代なら聞き慣れた人が多いはずで、映画「2001年宇宙の旅」 2001: A Space Odyssey にも(当時から見て)未来の宇宙旅客船の機体にロゴが描かれていたが、この年が実際に来る前に会社自体がなくなってしまった。
次は elixir である。錬金術 alchemy で卑金属を金属に変えると信じられた錬金薬、また「不老不死の薬」 (elixir vitae, elixir of life) のことだが、これも「妙薬」「万能薬」の意味で使われる。magic elixir という言い方も目にした記憶がある。
- The current new wave of technology should prove an economic elixir.
(LDOCE)
また、薬を服用しやすくするアルコール甘味剤を指すほか、アルコール類についても使うと辞書にある。「酒は百薬の長」「お神酒」といったところか。それ以外に、次のような例文もあった。
- He lit up a cigarette and drank in the smoke as if it were an elixir.
タバコに火をつけると、まるで不老長寿の薬でも飲むかのようにその煙を吸いこんだ.
(ジーニアス英和大辞典)
前回の magic bullet では余談で歌劇「魔弾の射手」の原題について書いたが、今回頭に浮かんだのはドニゼッティのオペラ「愛の妙薬」。原題 L'elisir d'amore は英語では The Elixir of Love とそのまま訳されている。
ついでの余談で、私は「錬金術」にあたる英語はなかなか記憶に定着しなかったが、以前「アルケミスト」という題の翻訳小説が出て、助けになった。
「万能薬」には cure-all という”そのまんま”の単語もある。強勢は cure- の方に置かれる。
このほか、まだ類語があるが、長くなったので次回に続ける。
参考記事:
・「特効薬」あれこれ (magic bullet, silver bullet)
http://eigo-kobako.blog.so-net.ne.jp/2013-05-06
・「借りた時間を生きる」とは? (live on borrowed time)
http://eigo-kobako.blog.so-net.ne.jp/2008-03-21
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