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「愚妻」について考える [日本語]

前回 better half について書いていて連想したのが「愚妻」という言葉である。これについても、「ベターハーフ」同様、やや不適切ではと思われる記述が辞書にあった。

この「愚妻」は、他人の前でへりくだって、自分の妻を愚かだと表現したものと考えている人がいるのではないかと思う。

しかし、この解釈は間違いだ。この場合の「愚」とは自分を指す言葉である。だから「愚妻」とは、愚かな「私の妻」ではなく、「愚かな私」の妻、という意味である。・・・以上のようなことを何かの本で読んだ記憶があり、今でも印象深く覚えている。

そこで電子辞書を見ると、「明鏡国語辞典」は、

- 自分を謙遜していう語。また、自分に関する物事につけて謙遜を表す語。「愚考・愚妻・愚僧・愚息」

と「愚」について書いている一方で、「愚妻」については、

- 自分の妻をへりくだっていう語。荊妻(けいさい)。おろかな妻の意

と、同一の辞書の中で矛盾していると受け取れる説明がある。執筆者が異なるのかもしれないが、お互いのすりあわせもなかったのではないか。

辞書ですら「おろかな妻」としているのだから、一般の人がそう考えるのも無理はないかもしれない(とはいえ、いがみあっている夫婦でなければ、妻を本当の意味で愚かだと考えて「愚妻」を使う夫はまずいないのではないか)。

また、「自分の妻を愚かだというのは、日本人男性・日本文化の後進性、女性蔑視のあらわれだ」という内容の文章を読んだ記憶もあるが、これも、後半の日本についての考察はともかくも、前提となっている言葉の解釈については誤解だ、といえそうである。

ところで、「愚妻」はフォーマルな機会でも最近は使われなくなっていると感じるが、プライベートな場で自分の妻をどう表現するかは、人によって違っていておもしろい。

私の周囲にいる後輩の世代で増えてきたようなのは、以前から西日本では多かったと思われる「ヨメ」だが、私には使えない。私の同世代では「女房」が多いようだが、私自身は「カミさん」である。

「ヨメ」にせよ「女房」にせよ「カミさん」にせよ、「妻」と違って、自分の配偶者に対する親しみやなれなれしさ、あるいは(頭が上がらないといった)畏れなど、いろいろな思いがないまぜになっているようで、おもしろい。この点では、日本語は英語よりも幅が広いように思われるが、どうだろうか。

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noga

日本語も十分話せないのに、英語を学んでなんとする。’と言う人がいる。だが、現実には、日本語脳による話の失敗は避けられない。







>政治家が、その言葉で失敗したり、問題をおこすことは古今、数多い。


>特に最近は、それが目立つ。例えば、アベノミクス効果で好調な経済を演出し、今や圧倒的な支持率を誇る安倍首相は、歴史認識問題で米国や韓国の不興を買い、その言葉をトーンダウンさせた。


>また猪瀬東京都知事は、アメリカのメディアのインタビューで、オリンピック招致のライバル都市を貶めることを言ったということで謝罪に追い込まれた。


>さらに橋下大阪市長、日本維新の会共同代表は、従軍慰安婦について誤解を与えるようなことを言い、また沖縄駐留米軍に風俗業の活用を進言したということで問題になっている。







司馬遼太郎は、<十六の話>に納められた「なによりも国語」の中で、片言隻句でない文章の重要性を強調している。
「国語力を養う基本は、いかなる場合でも、『文章にして語れ』ということである。水、といえば水をもってきてもらえるような言語環境 (つまり単語のやりとりだけで意思が通じ合う環境) では、国語力は育たない。、、、、、、ながいセンテンスをきっちり言えるようにならなければ、大人になって、ひとの話もきけず、なにをいっているのかもわからず、そのために生涯のつまずきをすることも多い。」







日本人は文章を熱心に作らない。文章を作ることは、考えを練る事に通じている。


英語には時制がある。文章を作らなくては、時制が表せない。だから、文章にして語ることは重要なのである。


日本語には時制がない。文章は常に現在時制 (現実に関すること) に定まっているようなものである。だから、単語だけのやり取りで、ことが足りるものと自他ともに思っている。


そのため、政治家となって、外国人と理想 (非現実) の話もできず、何を言っているかも理解されず、そのために国を過ちに導くことも多い。







http://www11.ocn.ne.jp/~noga1213/
http://3379tera.blog.ocn.ne.jp/blog/

















by noga (2013-06-06 08:48) 

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