ニッパー レコードに耳を傾ける犬 (Nipper と "His Master's Voice") [英語文化のトリビア]
CDのレーベル名を利用した単語学習について前回書いたが、そこにあげなかったHMV, EMI, RCA, Victor に共通するのが、蓄音機と犬を描いた有名なロゴだ。犬には Nipper という名前がちゃんとあるが、私の使っている電子辞書には記載がなかった。
このニッパー、最近はあまり目にしなくなったような気もするが、子どもの時に自宅にあった洋楽レコードの多くについている、おなじみの画だった。
RCAやビクターのレコードに使われていたが、社会人になって、まったく別のレーベルだと思っていたEMIの輸入CDにも同じマークが使われているのを見て驚いた。EMIの洋楽レコードといえば、天使をマークにしたエンジェル Angel というレーベルのイメージが強かったからだ。
その頃には犬の名前がニッパーということはすでに知っていたが、さらに調べたら、実はこのトレードマークを使ったのはEMIあるいはその前身のHMVの方が先であること、画は "His Master's Voice" というタイトルでHMVの由来になっていること、そして今は別々になっている複数のレコード会社が黎明期にはお互いに関係があったことを知った。
そして今回、あらためてインターネットで調べてみた。ニッパーは100年以上前に実在したイギリスの犬で、名前の由来もまさに nip (噛む)だった。
- Nipper (1884-1895) was a dog who served as the model for a painting titled His Master's Voice. This image was the basis for the dog and gramophone logo used by several audio recording and associated brands: His Master's Voice, HMV, EMI, RCA, Victor Talking Machine Company, RCA Victor, JVC and Deutsche Grammophon.(中略)
He was named Nipper because he would bite the backs of visitors' legs.
http://en.wikipedia.org/wiki/Nipper
ニッパーは、飼い主の死後、画家である弟が面倒を見るようになった。兄が持っていた蓄音機と録音も受け継いだが、ニッパーは蓄音機から流れてくる今は亡き飼い主の声に聞き入る仕草を見せた。本当にあったことかどうかはわからないが、何となく「忠犬ハチ公」を連想させる話ではある。
- The trademark image comes from a painting by English artist Francis Barraud, A.R.A. and titled His Master's Voice. (中略)
According to contemporary Gramophone Company publicity material, the dog, a fox terrier named Nipper, had originally belonged to Barraud's brother Mark. When Mark Barraud died, Francis inherited Nipper, along with a cylinder phonograph and a number of recordings of Mark's voice. Francis noted the peculiar interest that the dog took in the recorded voice of his late master emanating from the trumpet, and conceived the idea of committing the scene to canvas.
http://en.wikipedia.org/wiki/His_Master%27s_Voice
画を描いた弟は蓄音機の会社に売り込んだが、「犬は音楽など聞かない」と相手にされず、画に描かれていたシリンダー蓄音機を円盤の蓄音機に変えてレコード会社に持って行ったら、これが採用された、ということだ。そして "His Master's Voice" はレーベルやブランド名になり、パロディにも使われるほど知られるようになった。
そうした画も紹介されていておもしろいのが下記のサイトで、最近ニッパーの画を目にしなくなったと感じていたのも実は理由があることが "why nipper is disappearing from record labels" という項で説明されていた。
http://www.designboom.com/history/nipper.html
追記(2013年9月):
エントリの冒頭に記したEMIが、ワーナー・ミュージックに買収されたことを知った。CDショップに行ってみると、赤いマークでおなじみだったEMI所属のクラシック演奏家のCDが、早くも青い Warner のロゴで出されているのを見て驚いた。レコードの歴史そのものと言って良い老舗レーベルがまたひとつ消えたことになり、寂しい気持ちになった。
このニッパー、最近はあまり目にしなくなったような気もするが、子どもの時に自宅にあった洋楽レコードの多くについている、おなじみの画だった。
RCAやビクターのレコードに使われていたが、社会人になって、まったく別のレーベルだと思っていたEMIの輸入CDにも同じマークが使われているのを見て驚いた。EMIの洋楽レコードといえば、天使をマークにしたエンジェル Angel というレーベルのイメージが強かったからだ。
その頃には犬の名前がニッパーということはすでに知っていたが、さらに調べたら、実はこのトレードマークを使ったのはEMIあるいはその前身のHMVの方が先であること、画は "His Master's Voice" というタイトルでHMVの由来になっていること、そして今は別々になっている複数のレコード会社が黎明期にはお互いに関係があったことを知った。
そして今回、あらためてインターネットで調べてみた。ニッパーは100年以上前に実在したイギリスの犬で、名前の由来もまさに nip (噛む)だった。
- Nipper (1884-1895) was a dog who served as the model for a painting titled His Master's Voice. This image was the basis for the dog and gramophone logo used by several audio recording and associated brands: His Master's Voice, HMV, EMI, RCA, Victor Talking Machine Company, RCA Victor, JVC and Deutsche Grammophon.(中略)
He was named Nipper because he would bite the backs of visitors' legs.
http://en.wikipedia.org/wiki/Nipper
ニッパーは、飼い主の死後、画家である弟が面倒を見るようになった。兄が持っていた蓄音機と録音も受け継いだが、ニッパーは蓄音機から流れてくる今は亡き飼い主の声に聞き入る仕草を見せた。本当にあったことかどうかはわからないが、何となく「忠犬ハチ公」を連想させる話ではある。
- The trademark image comes from a painting by English artist Francis Barraud, A.R.A. and titled His Master's Voice. (中略)
According to contemporary Gramophone Company publicity material, the dog, a fox terrier named Nipper, had originally belonged to Barraud's brother Mark. When Mark Barraud died, Francis inherited Nipper, along with a cylinder phonograph and a number of recordings of Mark's voice. Francis noted the peculiar interest that the dog took in the recorded voice of his late master emanating from the trumpet, and conceived the idea of committing the scene to canvas.
http://en.wikipedia.org/wiki/His_Master%27s_Voice
画を描いた弟は蓄音機の会社に売り込んだが、「犬は音楽など聞かない」と相手にされず、画に描かれていたシリンダー蓄音機を円盤の蓄音機に変えてレコード会社に持って行ったら、これが採用された、ということだ。そして "His Master's Voice" はレーベルやブランド名になり、パロディにも使われるほど知られるようになった。
そうした画も紹介されていておもしろいのが下記のサイトで、最近ニッパーの画を目にしなくなったと感じていたのも実は理由があることが "why nipper is disappearing from record labels" という項で説明されていた。
http://www.designboom.com/history/nipper.html
追記(2013年9月):
エントリの冒頭に記したEMIが、ワーナー・ミュージックに買収されたことを知った。CDショップに行ってみると、赤いマークでおなじみだったEMI所属のクラシック演奏家のCDが、早くも青い Warner のロゴで出されているのを見て驚いた。レコードの歴史そのものと言って良い老舗レーベルがまたひとつ消えたことになり、寂しい気持ちになった。
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