アメリカ人も「イングランド」を「イギリス」と間違える [英語文化のトリビア]
英国のロイヤルベビー誕生にからんで、おもしろい記事をBBCのサイトで見つけた。生まれた男子を "the future king of England" と呼んだアメリカのマスコミがあるとからかったものだ。「イングランド」を「グレートブリテン及び北アイルランド連合王国」全体と錯覚してしまうのは、非英語圏の人だけではないらしい。
Royal baby: The American mistake
http://www.bbc.co.uk/news/blogs-magazine-monitor-23423784
少し引用すると、
- Some US television networks proclaimed the royal baby news by welcoming the arrival of the "future king of England", forgetting about the rest of the UK.
(中略)
It's a common misunderstanding in the US. The New York Times angered many Scots when it marked Andy Murray's Wimbledon triumph with a tweet that said: "After 77 years, Murray and England rule"
そして、このあとに「実は英国人自身も時に似たような間違いをしている」として例をあげている(一方的なアメリカ批判にしていないのは、さすが良識あるBBC?)。
英語学習のうえでも興味深い内容だし、むずかしくない英文でタッチも軽いので、ぜひお読みいただきたい。
私がBBCの記事に興味を引かれた背景には、実は少し前にシリーズの原書を全巻読破した007の原作小説に、「あれっ?」と感じたくだりがいくつか出てきたことがある。
ジェームズ・ボンドが "the Intelligent Service of England" というようなことを言うのだが、Britain とか UK を使っていない。ボンドがスコットランド出身という設定なだけに、なおさら不思議に思った。
辞書で England を見ると、
- 英国、イギリス(元来の意味「イングランド」が拡大されたもの;ただし、ウェールズやスコットランドを無視した形となるため、この用法は誤用とされる)
(ジーニアス英和大辞典)
さらに、
- Usage notes
Outside the United Kingdom, and even in England itself, the term “England” often refers to the United Kingdom as a whole. This use is sometimes considered offensive however, especially by residents of the other constituent countries of the UK.
(Wiktionary)
と、イングランドの人もこうした使い方をするという記述もあった。007の原作者イアン・フレミング Ian Fleming はロンドンっ子なので、その実例といっていいだろうか。
なおボンドがスコットランド生まれであることが明かされるのはシリーズ最後期だが、その頃には製作が始まっていた映画でボンドを演じたショーン・コネリーの出身地であることが影響したという説もある。
いずれにせよフレミングは England の使い方をあまり深く考えていなかったように感じられるが、実際のところはどうだったのだろう。
今回の記事を見て、あらためてネットを検索してみると、例えばボンドも属したMI6を "the Secret Service of England" としている最近の例もいくつも見つかった。
サッカー熱が高まってから、日本人の間でも「イギリス」と「イングランド」の違いがより認識されるようになったように思う。かくいう私も、初めて英語を学んだ中学生の時は、England や English を「イギリス」として覚えたはずだ。ちなみに「アンカーコズミカ英和辞典」には、他の辞書には見当たらなかった次のような説明を載せている。
- (形容詞的に)(特にスポーツに関連して)イングランド(代表)の
the England team (the English team とはふつう言わない)
ところでイギリス王室とキャサリンさんに関するBBCの記事では、古いものだが次も興味深かった。「キャサリン妃」というが、英語では Princess Catherine とは言わないということが書かれている。貴族出身ではないからそう言えないのだそうだ。故ダイアナ妃は貴族の家柄であった。
http://www.bbc.co.uk/news/uk-13099871
関連記事:
・髪の毛ではすでにウィリアム王子に勝ったロイヤルベビー ("way more than me")
http://eigo-kobako.blog.so-net.ne.jp/2013-07-26
・"It's a boy!" ~ロイヤルベビーは男の子(人間に it を使う場合とは)
http://eigo-kobako.blog.so-net.ne.jp/2013-07-28
・limey 「イギリス人(俗語)」(「007 黄金の銃を持つ男」)
http://eigo-kobako.blog.so-net.ne.jp/2013-05-27
Royal baby: The American mistake
http://www.bbc.co.uk/news/blogs-magazine-monitor-23423784
少し引用すると、
- Some US television networks proclaimed the royal baby news by welcoming the arrival of the "future king of England", forgetting about the rest of the UK.
(中略)
It's a common misunderstanding in the US. The New York Times angered many Scots when it marked Andy Murray's Wimbledon triumph with a tweet that said: "After 77 years, Murray and England rule"
そして、このあとに「実は英国人自身も時に似たような間違いをしている」として例をあげている(一方的なアメリカ批判にしていないのは、さすが良識あるBBC?)。
英語学習のうえでも興味深い内容だし、むずかしくない英文でタッチも軽いので、ぜひお読みいただきたい。
私がBBCの記事に興味を引かれた背景には、実は少し前にシリーズの原書を全巻読破した007の原作小説に、「あれっ?」と感じたくだりがいくつか出てきたことがある。
ジェームズ・ボンドが "the Intelligent Service of England" というようなことを言うのだが、Britain とか UK を使っていない。ボンドがスコットランド出身という設定なだけに、なおさら不思議に思った。
辞書で England を見ると、
- 英国、イギリス(元来の意味「イングランド」が拡大されたもの;ただし、ウェールズやスコットランドを無視した形となるため、この用法は誤用とされる)
(ジーニアス英和大辞典)
さらに、
- Usage notes
Outside the United Kingdom, and even in England itself, the term “England” often refers to the United Kingdom as a whole. This use is sometimes considered offensive however, especially by residents of the other constituent countries of the UK.
(Wiktionary)
と、イングランドの人もこうした使い方をするという記述もあった。007の原作者イアン・フレミング Ian Fleming はロンドンっ子なので、その実例といっていいだろうか。
なおボンドがスコットランド生まれであることが明かされるのはシリーズ最後期だが、その頃には製作が始まっていた映画でボンドを演じたショーン・コネリーの出身地であることが影響したという説もある。
いずれにせよフレミングは England の使い方をあまり深く考えていなかったように感じられるが、実際のところはどうだったのだろう。
今回の記事を見て、あらためてネットを検索してみると、例えばボンドも属したMI6を "the Secret Service of England" としている最近の例もいくつも見つかった。
サッカー熱が高まってから、日本人の間でも「イギリス」と「イングランド」の違いがより認識されるようになったように思う。かくいう私も、初めて英語を学んだ中学生の時は、England や English を「イギリス」として覚えたはずだ。ちなみに「アンカーコズミカ英和辞典」には、他の辞書には見当たらなかった次のような説明を載せている。
- (形容詞的に)(特にスポーツに関連して)イングランド(代表)の
the England team (the English team とはふつう言わない)
ところでイギリス王室とキャサリンさんに関するBBCの記事では、古いものだが次も興味深かった。「キャサリン妃」というが、英語では Princess Catherine とは言わないということが書かれている。貴族出身ではないからそう言えないのだそうだ。故ダイアナ妃は貴族の家柄であった。
http://www.bbc.co.uk/news/uk-13099871
関連記事:
・髪の毛ではすでにウィリアム王子に勝ったロイヤルベビー ("way more than me")
http://eigo-kobako.blog.so-net.ne.jp/2013-07-26
・"It's a boy!" ~ロイヤルベビーは男の子(人間に it を使う場合とは)
http://eigo-kobako.blog.so-net.ne.jp/2013-07-28
・limey 「イギリス人(俗語)」(「007 黄金の銃を持つ男」)
http://eigo-kobako.blog.so-net.ne.jp/2013-05-27
タグ:ジェームズ・ボンド
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