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a safe pair of hands 「あいつなら任せられる」 (続・五輪プレゼン) [単語・表現]

滝川クリステルさんの五輪プレゼンについて前回書いた流れで、招致委員会の竹田恆和理事長を取り上げよう。現地での事前記者会見では福島に関する回答がいまいちだったと伝えられたが、プレゼンは落ち着いて見ることができた。

その全文も、クリステルさんのプレゼンと同じサイトに掲載されていたので読んでみた。目にとまったのは、a safe pair of hands という表現である。



- In Japan, in the last two years, we have seen the BEST of sport. It has inspired our global vision and fed our determination to share that inspiration - so that the entire Olympic Family benefit from our three core strengths:
Delivery: because Tokyo can be trusted to be the safe pair of hands - and much more.
(後略)
http://www3.nhk.or.jp/news/0904olympic/presentation.html#takeda

スピーチを映像で聞くと、pair が bare のようにも聞こえるのは私の耳が悪いせいだろうが、それはともかく、ここでの safe は「安全な(両手)」ではなく、「安心できる、間違いがない、ミスをしない、確かな」の意味に取るべきだろう。It is safe to say that...という言い回しもある。

ということで、文脈から想像もつくが、この表現を辞書で見ると、

- (1)(スポーツ)ボールを取るのを任せられる人
(2)(ある状況を)任せられる(能力・信用のある)人
(ジーニアス英和大辞典)

つまり、東京にはオリンピックを手堅く運営する能力や人材(あるいは金)がある、ということをアピールしているのだろう。

ちなみに招致委員会による日本語では、この部分は「東京は、万全な大会開催、そしてそれ以上を提供します」となっている。

英語圏の辞書も調べてみた。

- (in a sporting context) used to refer to someone who is reliable when catching a ball: he has a safe pair of hands and made the catch look easy
used to denote someone who is capable, reliable, or trustworthy in the management of a situation: they were searching for a safe pair of hands to oversee the running of the lottery
(oxforddictionaries.com)

- (British & Australian) someone who you can trust to do an important job well without making mistakes
He's what this troubled club needs, a good, solid manager, a safe pair of hands.
(Cambridge Idioms Dictionary)

- A reliable, if somewhat dull, person who can be entrusted not to make a mistake with a task. UK origin.
http://www.phrases.org.uk/meanings/309350.html

最後にあげた Phrase Finder によると、クリケットに関連してイギリスで使われるようになったものだという。スポーツにつながりのある表現をプレゼンに盛り込んだのは、招致委員会が雇ったイギリス人アドバイザーの考えかもしれない。

ついでに safe について、いくつか辞書の用例を引用しておきたい。

- a safe first 一着間違いなしの者
- a safe catch あぶなげない捕球、名捕手
- a safe guide 信頼できるガイド
- a safe person to confide in 打ち明けても心配のない人
- a safe distance (危険な物から)十分離れた距離

私が学生の時だったか、アメリカで起きた災害か何かのニュースをテレビで見ていたら、リポーターが壊れた家の中にいる人に向かって「何を探しているのか」というような声をかけた(正確な質問や英語は覚えていない)。答えの中で safe という単語が聞き取れ、ああ金庫か、と思った瞬間、「安全だよ」という字幕がスーパーされた。

担当したテレビ局の人は、その英語力はともかく、こんな状況でこんな形而上的なことを言うのはへんだな、と自分の解釈を疑わなかったのだろうか。いや、「アメリカ人はこんな状況でも気の利いたことを言うんだな」くらいのノリでこの clip を選んだのかもしれない。

ということで、safe というと、「安全な」という形容詞の呪縛にとらわれないように気をつけたいものである。と、エラそうに書いている私も、上記のように a safe first といわれると、一瞬「安全第一」と考えてしまう。

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