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non sequitur 「流れにそぐわない話」 [ラテン語・外来語]

前回に続いて、言葉の使い方を描写する言葉を取り上げる。non sequitur はいかにもラテン語っぽい硬い響きの単語だが、大衆小説であるSFにしれっと使われていた例を学習ノートにメモしていた。

- She was craning her head, and suddenly--quite a non sequitur--she giggled.
( Isaac Asimov: Foundation and Empire)

登場人物の女性が、首を伸ばして遠くを見るような仕草をしたと思ったら、突然くすくすと笑い出した、という描写である。しかし特段笑いを誘うような状況ではなかった、その場にそぐわない笑いだった、という感じだろうか。

辞書を引用しよう。

- 1(前提から帰結されたものでない)不合理な推論、誤った結論 略:non seq. 2 論理的に矛盾する言説 3(今までの話題とは)無関係な話
(<ラテン語:逐語訳すれば it does not follow)
(ランダムハウス英和大辞典)

- 1.Any abrupt and inexplicable transition or occurrence. Having a costumed superhero abduct the vicar was an utter non sequitur in the novel.
2.Any invalid argument in which the conclusion cannot be logically deduced from the premises; a logical fallacy.
3.A statement that does not logically follow a statement that came before it.
4.(humor) A kind of pun that uses a change of word, subject, or meaning to make a joke of the listener’s expectation.
(Wiktionary)

さらに詳しい説明もネット等で見つかるが、いずれにせよ、論理についての硬い意味がある一方、日常生活の中で、突然関係ない話を持ちだしたといったような場合にも使えるということになりそうだ。

次のようなわかりやすい用例もあった。

- We were talking about the new restaurant when she threw in some non sequitur about her dog.
(Merriam-Webster's Online Dictionary)

なお sequitur は「推論(の結果)」「前提から導かれる結論」と辞書にあるが、→sue とあったのでそちらを見ると、「ラテン語 sequi (後についていく、次に起こる)」という説明とともに、consequent, prosecute, pursue という単語があげられていて、関連があることがわかる。そこにはなかったが sequence や sequel も同様だろう。

sue は今では「訴える」「訴訟を起こす」として使われているが、(廃)として、かつては「追跡する」「追求する」という意味でも使われていたということも辞書に書かれていた。

(参考記事)
・rigmarole 「とりとめのない長話」
http://eigo-kobako.blog.so-net.ne.jp/2013-11-18
・in monosyllables, monosyllabic 「そっけない(返事)」
http://eigo-kobako.blog.so-net.ne.jp/2013-08-29
・続きは前編で (prequel, reboot)
http://eigo-kobako.blog.so-net.ne.jp/2007-09-28


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ポーファン

コメント失礼します。高校生です。質問ではありませんが、内容に付随する形で見聞き知ったことをまとめました。
名前の通りエドガー・アラン・ポーの作品をよく好んで読んでおります。
パブリックドメインの文庫をまとめて公開している青空文庫というサイトにて、ポーの推理小説の一つ"The Mystery Of Marie Roget"(佐々木直次郎訳)の文中に以下のようなものがありました。全文の中盤より少し手前、物語の登場人物デュパンが『レトワール紙』の論文を反駁する場面です。

「…が、そこのところで彼は急にあわてだして、死体は岸に置いてあったのではなかったのだということを示している。もし岸に置いてあったのなら、『犯人のなんらかの形跡が岸に見出されたであろう』から、というのだ。この論断(セクイトール)には君も吹き出すだろうと思うね。死骸を岸にただ長く置くことが、どうして加害者の形跡を増すことができるのか、君にはとてもわかるまい。僕にだってわからんさ。…」
https://www.aozora.gr.jp/cards/000094/files/4261_54221.html

このセクイトールというふりがながどうしても頭について離れなかったので、おそらく「論断」のフランス語であろうと当てをつけて調べてみるも分からず。逆行的にsequitore, sequitolなどとネットで調べてみましたらこの記事に辿り着きましたので、これが作中のセクイトールの意味するところだと確証を得るために以下のサイトを得ました。

http://thesaurus.altervista.org/dict/en/sequitur
(サイトが安全でないという警告がありましたので文を引用します)

sequitur

Noun
sequitur (plural sequiturs)
1. A logical conclusion or consequence of facts.
* 1843, Edgar Allan Poe, ‘The Mystery of Marie Rogêt’:He is accordingly in haste to show that it was not kept on shore; for, if so, ‘some trace would be found on shore of the murderers’. I presume you smile at the sequitur.

Antonyms
* non sequitur

お役に立てましたら幸いです。
by ポーファン (2023-01-19 10:14) 

tempus_fugit

ポーファンさん、ご丁寧なコメントありがとうございました。高校生でいらっしゃるとのこと、凄い探究心で素晴らしいですね。
ポーといえば私は、小説もいくつか読みましたが、強い印象を受けたのは詩の「アナベル・リー」Annabel Lee です。いえ、内容を理解して、ということではなく、高校生の時にこの詩を原語の英語の朗読で聞いて、その美しい響きに衝撃を受けた時のことを今でもはっきり覚えています。
by tempus_fugit (2023-01-22 20:13) 

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