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lady-in-waiting 「女官、侍女」 (刑事コロンボ「もう一つの鍵」) [刑事コロンボ]

アメリカのTVドラマ「刑事コロンボ」 Columbo に出てきた goop という単語を先日取り上げたが、そのエピソード「もう一つの鍵」の原題は Lady in Waiting である。私は高校生の時このタイトルで lady-in-waiting という言葉を覚えたので、ちょっと取り上げてみよう。このタイトルのように、ハイフンをつけない表記もある。


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in waiting は「待って」ではなく、「(王族に)仕えて、侍(はべ)って」という意味である。そこで、lady がつくと「女王や王女に侍る女性」ということで、「侍女」「女官」という意味になる。

- pl. ladies in waiting
A lady of a court appointed to serve or attend a queen, princess, or royal duchess
(American Heritage Dictionary)

- a woman whose job is to help a queen or other woman of high social position
(Cambridge Advanced Learner's Dictionary & Thesaurus)

「刑事コロンボ」は、最初に犯行を描く倒叙 inverted story 形式で、「犯人が誰か」ではなく、主人公の刑事がどのように犯人に目星をつけ、追い詰めていくかが見どころになっている。

そこで問題はあるまいということで書くと、今回のエピソードは会社経営者の妹が犯人で、公私ともに長いこと兄に抑えつけられていた。あれこれ指図され続けていた状態を、他人に仕える「侍女」になぞらえたものであろう。一方、邦題の「もう一つの鍵」はこれとは違う劇中の重要な要素にちなんでつけられているが、見終わるとこれはこれでうまいタイトルたと感じる。

ところでこの表現をネットで調べていたら、Lady in Waiting: Becoming God's Best While Waiting for Mr. Right という本がオンライン書店のサイトにあるのを見つけた。

タイトルからも想像できるように、宗教と女性の生き方について書いたものらしいが、ここでは今回の表現に「待つ」 waiting for...をかけているのであろう。

ついでにこのタイトルにある Mr. Right は「正しい人」ではなく、「理想の男性」「夫として自分にふさわしい男性」という決まった言い方。先日取り上げた the whole package を連想させる。女性については Miss Right となる。

さて、「もう一つの鍵」は、ネタバレになるので詳細は書けないが、女性に対するある種のステレオタイプ的な視点がかなり前面に出ていて、いま見るとちょっと苦しいストーリーだと思う。

このエピソードが制作された1970年代前半は、すでに男女差別是正がかなり広く問われていたはずだと思うが、それでもこのようなドラマが作られていたことが、逆の意味で意外である。

それでも、犯人である女性の before and after の変貌ぶりは、演じた女優の力演が伝わってくるようで、その点では見ごたえがあるエピソードだった。でも今だったらこうした筋書きにはOKは出ないだろう。

(参考記事)
dirt and goop 「ベタベタした汚れ」 (刑事コロンボ「もう一つの鍵」) 
whole package 「完璧な人「すば抜けた人」 (ソチ五輪の記事より)
海外テレビドラマのタイトルに学ぶ英語

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