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Once bitten, twice shy. と「あつものに懲りてなますを吹く」 [名言・ことわざ]

最近取り上げている bite 関連の表現にからんで、前回書いたような「英語と日本語の対応を考えてみたいことわざ」がもうひとつある。Once bitten, twice shy. がそれである。

この shy は「はにかみ屋さん」のことではなく、「用心深い」(wary, watchful)ということで、「一度かまれたら二度目は用心する」、そこで「痛い目に懲りて、次は慎重にやる」という意味になる。

- after an unpleasant experience one is cautious in similar situations
(Collins English Dictionary)

- something that you say which means when you have had an unpleasant experience you are much more careful to avoid similar experiences in the future
After he left her she refused to go out with anyone else for a long time - once bitten, twice shy, I suppose.
(Cambridge Idioms Dictionary)

英和辞典を見ると、これに「羹に懲りて膾を吹く」という訳語をあてているものが多い。

- 羹の熱いのにこりて、冷たい膾を吹いて食う。一度失敗したのにこりて無益な用心をする。
(広辞苑)

- 熱い吸い物で口をやけどした者が、なますのような冷たい料理も吹いて冷ますという意味から。多く、なにもそこまで用心深くなる必要はないのに、というあざけりの気持ちを込めて使う。
(故事ことわざ辞典)

つまり、ある種のネガティブなニュアンスがあるようだ。しかし、Once bitten, twice shy. が、この日本語とまったくイコールといえるのか、英語圏の辞書の定義を読んだ限りでは判然としない。

ただ、「羹に懲りて」も、辞書の記述よりも軽い意味で使う場合があるかもしれない。そういう文脈なら、Once bitten...に対応するといえるかもしれない。いずれにせよ、機械的に1対1の対応で考えるのは避けたほうが無難だと思う。

和英辞典には、「羹に懲りて」の英訳として、A burnt child dreads (fears) the fire.(やけどをした子供は火を怖がる)を当てているものがあったが、こちらも、「何もそこまで用心しなくても」という言外の意味があるのかどうかはよくわからない。

ちなみにこの Once bitten, twice shy は、大ヒットした歌 "Last Christmas" の中でうまく使われている。

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くっきいレコード

よく聴くフレーズだなと思いながらなんとなく聴いて、意味まで考えたことがありませんでした。そういう意味だと初めて知り、たいへん勉強になりました。

ちなみにこのフレーズは、個人的には「Yes / 90157」収録の"City Of Love"の歌い始めで印象深く、ここで覚えました。ほか、"Ian Hunter / Ian Hunter"のside 1-1の曲名がまさに"Once bitten, Twice Shy"です。
by くっきいレコード (2018-02-28 06:27) 

tempus fugit

コメントどうもありがとうございました。ちなみにこのエントリを書いたことを忘れ、3年後にも同じ表現を取り上げました。ジョージ・マイケルが亡くなったことにあわせて、"Last Christmas"について書いたものです。よろしければご覧ください。

once bitten, twice shy #2 (「ラスト・クリスマス」のジョージ・マイケル死去)
http://eigo-kobako.blog.so-net.ne.jp/2016-12-26

by tempus fugit (2018-03-02 00:47) 

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