shine 「際立つ」「力を発揮する」 (安倍首相の「女性の輝く社会」) [日本のニュース]
先日発足した安倍改造内閣では、18人の閣僚のうち5人が女性となった。安倍首相は前から「女性が輝く社会」実現をアピールしているが、改造後の記者会見でもこの言葉を使った。そこで shine という自動詞を取り上げてみたい。
会見で安部総理は「女性が輝く社会の実現も、安倍内閣の大きなチャレンジであります」と述べたが、英文記事はそのまま shine としていて、直訳調でもOKのようである。
- "Creating a society where women can shine is a big challenge that the Abe cabinet is taking on," Abe told a press conference.
( ttp://news.yahoo.com/japan-pm-name-women-quarter-cabinet-044752625.html )
- Mr Abe said in a press conference: "Realising a society where women can shine is a challenge our cabinet has undertaken... I look forward to the wind of change these women will bring."
( ttp://www.bbc.com/news/world-asia-29041644 )
wind of change は、安倍首相が会見で「是非とも、女性ならではの目線で、新風を巻き起こしてもらいたいと思います」と述べた発言にあたる部分にあるもので、これも直訳っぽいと思う人がいるかもしれないが、実はれっきとした英語表現である。ロックバンドのスコーピオンズ The Scorpions に、冷戦終結について歌った同名の曲があった。
いきなり脱線したが、shine は、実際に光を発していなくても、「秀でる」「目立つ」「異彩を放つ」「脚光を浴びる」といった意味で比喩的に使うことができる。確かに日本語の「輝く」「光る」と似ている。
次は、使っている電子辞書にあった用例である。辞書には、この意味の shine は「進行形で使うことができない」という注もある。あとに in や at をつけて使える。
- shine in school 学業成績がよい
- He is good at all sports, but what he really shines at is golf.
もうひとつ、自分の学習ノートにメモしてあった実例である。「夭折の天才チェロ奏者」として名高いジャクリーヌ・デュ・プレ Jacqueline Du Pre について姉と弟が書いた伝記にあったもので、姉の視点から見た弟ピアースについてのコメントである。
- Piers had musical talent, and his ears and ability were as keen as ours. But because he resisted, he lost out, and it took him much longer to find a platform from which to shine.
(Hilary du Pre, Piers du Pre: Hilary and Jackie)
デュ・プレは十代で衝撃のデビューを飾り天才少女の名をほしいままにしたが、二十代後半に多発性硬化症 multiple sclerosis のために引退を余儀なくされ、42歳で亡くなった悲劇の女性だ。死後30年近くになるが、いまだに彼女が遺した録音を超える演奏がないと評される作品もある。
姉弟が書いたこの本は、彼女の性生活などプライベートな面も描いていて、発表当時は批判も浴びたという。この本に基づいた映画も作られ、「ほんとうのジャクリーヌ・デュ・プレ」という邦題で公開されたが未見である。
ところで、内閣府の男女共同参画局には「輝く女性応援会議」があり、そのオフィシャルブログのタイトルも SHINE! である。余談だがこのブログは発足時、英語の大きなタイトルを「死ね」と読んでしまい驚いた、といった意地の悪い形で話題になったらしい。
それはともかく、安部首相は保守的ということもあり、「もっと女性の活躍を」を強調する姿勢はなんとなく彼にそぐわないとの感も抱く。「アベノミクス」ならぬ womenomics などと英文記事で紹介されているが、日本経済の活性化のための方便、あるいは人気取りに終わらないことを望みたい。・・・などと優等生的なことを書くと、私も偽善的と思われてしまうだろうか。
なお今回の shine とは関係ないが、この単語が使われた shining city on a hill という表現を以前取り上げたことがあるので紹介しておきたい(→shining city on a hill [辞書に載っていない表現])
会見で安部総理は「女性が輝く社会の実現も、安倍内閣の大きなチャレンジであります」と述べたが、英文記事はそのまま shine としていて、直訳調でもOKのようである。
- "Creating a society where women can shine is a big challenge that the Abe cabinet is taking on," Abe told a press conference.
( ttp://news.yahoo.com/japan-pm-name-women-quarter-cabinet-044752625.html )
- Mr Abe said in a press conference: "Realising a society where women can shine is a challenge our cabinet has undertaken... I look forward to the wind of change these women will bring."
( ttp://www.bbc.com/news/world-asia-29041644 )
wind of change は、安倍首相が会見で「是非とも、女性ならではの目線で、新風を巻き起こしてもらいたいと思います」と述べた発言にあたる部分にあるもので、これも直訳っぽいと思う人がいるかもしれないが、実はれっきとした英語表現である。ロックバンドのスコーピオンズ The Scorpions に、冷戦終結について歌った同名の曲があった。
いきなり脱線したが、shine は、実際に光を発していなくても、「秀でる」「目立つ」「異彩を放つ」「脚光を浴びる」といった意味で比喩的に使うことができる。確かに日本語の「輝く」「光る」と似ている。
次は、使っている電子辞書にあった用例である。辞書には、この意味の shine は「進行形で使うことができない」という注もある。あとに in や at をつけて使える。
- shine in school 学業成績がよい
- He is good at all sports, but what he really shines at is golf.
もうひとつ、自分の学習ノートにメモしてあった実例である。「夭折の天才チェロ奏者」として名高いジャクリーヌ・デュ・プレ Jacqueline Du Pre について姉と弟が書いた伝記にあったもので、姉の視点から見た弟ピアースについてのコメントである。
- Piers had musical talent, and his ears and ability were as keen as ours. But because he resisted, he lost out, and it took him much longer to find a platform from which to shine.
(Hilary du Pre, Piers du Pre: Hilary and Jackie)
デュ・プレは十代で衝撃のデビューを飾り天才少女の名をほしいままにしたが、二十代後半に多発性硬化症 multiple sclerosis のために引退を余儀なくされ、42歳で亡くなった悲劇の女性だ。死後30年近くになるが、いまだに彼女が遺した録音を超える演奏がないと評される作品もある。
姉弟が書いたこの本は、彼女の性生活などプライベートな面も描いていて、発表当時は批判も浴びたという。この本に基づいた映画も作られ、「ほんとうのジャクリーヌ・デュ・プレ」という邦題で公開されたが未見である。
ところで、内閣府の男女共同参画局には「輝く女性応援会議」があり、そのオフィシャルブログのタイトルも SHINE! である。余談だがこのブログは発足時、英語の大きなタイトルを「死ね」と読んでしまい驚いた、といった意地の悪い形で話題になったらしい。
それはともかく、安部首相は保守的ということもあり、「もっと女性の活躍を」を強調する姿勢はなんとなく彼にそぐわないとの感も抱く。「アベノミクス」ならぬ womenomics などと英文記事で紹介されているが、日本経済の活性化のための方便、あるいは人気取りに終わらないことを望みたい。・・・などと優等生的なことを書くと、私も偽善的と思われてしまうだろうか。
なお今回の shine とは関係ないが、この単語が使われた shining city on a hill という表現を以前取り上げたことがあるので紹介しておきたい(→shining city on a hill [辞書に載っていない表現])
- アーティスト: デュ・プレ(ジャクリーヌ),エルガー,ディーリアス,バルビローリ(ジョン),サージェント(マルコム),ロンドン交響楽団,ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団
- 出版社/メーカー: EMIミュージック・ジャパン
- 発売日: 2007/10/24
- メディア: CD
タグ:クラシック
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