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partisan gridlock と「決められない政治」 [アメリカ政治]

アメリカの中間選挙にからんで前回取り上げた open seat で引用した「ウォール・ストリート・ジャーナル」紙の記事には、タイトルのあとに Republicans’ Control of Both Chambers Could End Years of Partisan Gridlock という小見出しがついていた。

この partisan gridlock は、特に熟語というものではないだろうが、政治についての記事でよく目にする言い回しだ。

partisan は名詞としては「パルチザン」(不正規兵)という日本語にもなっているが、「同志」「支持者」「徒党」といった訳語が辞書に並んでいる。形容詞では「党派心の強い」「特定の主義に偏った」という意味になる。gridlock は、「停滞」「行き詰まり「交通渋滞」を指す。

上記の記事から引用しよう。

- Republicans prepared to take control of the Senate in January for the first time in eight years―a power shift that almost certainly will put the chamber's gavel in the hands of Sen. Mitch McConnell and opens up new possibilities for deal-making after years of partisan gridlock.
( ttp://online.wsj.com/articles/midterm-elections-2014-gop-senate-win-opens-door-to-deals-1415127046 )

なお gavel は議会の議長などが机をたたいて出席者の注意を促すのに使う「槌」で、勝利した共和党に上院議長の座が移る(つまり共和党が主導権を握る)ことを示している。

ところでアメリカの partisan gridlock は、多数党が上院と下院で異なるという、日本と同じ「ねじれ」が要因のひとつとしてあげられている。国内政治でよく聞く「決められない政治」という言葉をアメリカの政治に使っている例もある。

この「決められない政治」の英訳として、indecisive politics とか on-the-fence politics を当てている英文を見ることがある。確かに「はっきりとした決断ができない」「決着を避けて先送りにする」という文脈なら、それでいいだろう。

しかし、多数党が2つの院で異なっているうえ、それぞれの党の主張が対立しているために「決められない」の意味で使っているのだったら、こうした表現は適切とはいえないのではないだろうか。

やはり言葉の一対一対応ではなく、内容や文脈に沿った適切な言い方を考えたり、説明を工夫したりする必要があるだろう。partisan gridlock も、そうした場合に利用できそうな表現ではないかと思う。

この「ねじれ国会」をめぐる英語についても書きたいことがあるが、次回に譲ることにしたい。

なお partisan の関連で、bipartisan 「2つの党から成る、両党が提携した」、あるいは super partisan 「党派を超えた、超党派の」、また cross-party などもニュース記事などで目にする単語である。

また「二院制の」は bicameral という単語で表すことができ、これはかなり以前取り上げたことがある(→「カメラ」ではない camera

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