フィリピンに台風接近~「台風」の英語呼称のことなど [ニュースと英語]
日本人の感覚では"季節はずれ"の台風がフィリピンを襲っている。日本での呼び方は「台風22号」だが、海外では "Hagupit" だ。地球のこの地域の台風は、関係各国が提案した言葉からなる呼称リストから順に振っていくのが国際的な取り決めである。
日本の気象庁のサイトに、この固有名詞のリストと説明がある。
http://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/typhoon/1-5.html
2000年から行われているということで、140個の名前からなり、毎年平均で二十数個の台風が発生するので、5年もすれば一巡することになる。
このリストによると、今回の「ハグピート」は、まさに被害が懸念されているフィリピンが提案した名前で、「むち打つこと」という意味だという。なんとも皮肉である。
ちなみに、去年フィリピンに大被害をもたらした「ハイエン」 Haiyan は中国語で、意味は「うみつばめ(海燕)」。なんとも荒々しい鳥だったが、今回の台風は「名は体を表す」というべきか。
日本語からは、「天秤」「やぎ」「うさぎ」「かじき」「かんむり」「くじら」「コップ」「コンパス」「トカゲ」「鳩」が使われている(あくまで日本語なので、例えば「コップ」や「コンパス」は Koppu、Kompasu という表記であり、英語の cop、compass ではない)。
いずれも星座の名前から取られていて、特に日本文化を意識した選択はされていないわけである。他の国についても、なんでこのような名前を採用したのか、と思うものがあって、見ていておもしろい。それぞれの決定の経緯を調べたらさらにおもしろいだろう。
ところで、日本語の「台風(◯号)」は、厳密に言うと必ずしも Typhoon ~ にはならない。同じ「台風」(最大風速34ノット以上)でも、最大風速によって Tropical Storm (TS)、Severe Tropical Storm (STS)、Typhoon (TY) と、3つの階級があるからだ。
気象庁のサイトの「台風の階級」に、「台風を英文で報ずるとき、その最大風速によって次の3階級に分ける。」として、その説明が載っている。
http://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/yougo_hp/haichi2.html
「台風(◯号)」をその時点でどう呼べばいいかは、気象庁の英文サイトにある Tropical Cyclone Information の項を見ればわかる。また、世界気象機関 World Meteorological Organization のサイトにも Severe Weather Information Centre の情報がある。
http://severe.worldweather.wmo.int/
今回の台風22号はこれを書いている時点で TY となっているので、名実ともに Typhoon Hagupit だ。これも衰えれば Severe Tropical Storm Hagupit などに downgrade されることになる。
とはいっても、一般名詞としての typhoon は、辞書を見ると「台風」「熱帯低気圧」「暴風」と広い意味があるようなので、われわれがふだん日常で使う場合は神経質になる必要はないだろう。
ちなみに、日本語の「熱帯低気圧」も、広い意味では「台風」を含むものの、気象庁では「台風」とは区別して34ノット以下を指して使っている。この風速以下になると英語でも tropical storm ではなくなり、tropical depression などといえばよさそうだ。なお領域としての「低気圧」は、system を使って a low pressure system と表現できる。
ついでなので、storm にからむ表現を取り上げた過去のエントリを3つ紹介したい(→perfect storm ハリケーン・サンディと「パーフェクトストーム」)(→コップの中の嵐 (tempest in a teapot))(→「刑事コロンボ」の思い出と port))。
さらについでに、自然の猛威という関連で、地震の「震源」と「震源地」の英語表現の違いについて前に書いたことがあるので、これも参考までにあげておきたい(→「震源」と「震源地」はどう違うのか)。
日本の気象庁のサイトに、この固有名詞のリストと説明がある。
http://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/typhoon/1-5.html
2000年から行われているということで、140個の名前からなり、毎年平均で二十数個の台風が発生するので、5年もすれば一巡することになる。
このリストによると、今回の「ハグピート」は、まさに被害が懸念されているフィリピンが提案した名前で、「むち打つこと」という意味だという。なんとも皮肉である。
ちなみに、去年フィリピンに大被害をもたらした「ハイエン」 Haiyan は中国語で、意味は「うみつばめ(海燕)」。なんとも荒々しい鳥だったが、今回の台風は「名は体を表す」というべきか。
日本語からは、「天秤」「やぎ」「うさぎ」「かじき」「かんむり」「くじら」「コップ」「コンパス」「トカゲ」「鳩」が使われている(あくまで日本語なので、例えば「コップ」や「コンパス」は Koppu、Kompasu という表記であり、英語の cop、compass ではない)。
いずれも星座の名前から取られていて、特に日本文化を意識した選択はされていないわけである。他の国についても、なんでこのような名前を採用したのか、と思うものがあって、見ていておもしろい。それぞれの決定の経緯を調べたらさらにおもしろいだろう。
ところで、日本語の「台風(◯号)」は、厳密に言うと必ずしも Typhoon ~ にはならない。同じ「台風」(最大風速34ノット以上)でも、最大風速によって Tropical Storm (TS)、Severe Tropical Storm (STS)、Typhoon (TY) と、3つの階級があるからだ。
気象庁のサイトの「台風の階級」に、「台風を英文で報ずるとき、その最大風速によって次の3階級に分ける。」として、その説明が載っている。
http://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/yougo_hp/haichi2.html
「台風(◯号)」をその時点でどう呼べばいいかは、気象庁の英文サイトにある Tropical Cyclone Information の項を見ればわかる。また、世界気象機関 World Meteorological Organization のサイトにも Severe Weather Information Centre の情報がある。
http://severe.worldweather.wmo.int/
今回の台風22号はこれを書いている時点で TY となっているので、名実ともに Typhoon Hagupit だ。これも衰えれば Severe Tropical Storm Hagupit などに downgrade されることになる。
とはいっても、一般名詞としての typhoon は、辞書を見ると「台風」「熱帯低気圧」「暴風」と広い意味があるようなので、われわれがふだん日常で使う場合は神経質になる必要はないだろう。
ちなみに、日本語の「熱帯低気圧」も、広い意味では「台風」を含むものの、気象庁では「台風」とは区別して34ノット以下を指して使っている。この風速以下になると英語でも tropical storm ではなくなり、tropical depression などといえばよさそうだ。なお領域としての「低気圧」は、system を使って a low pressure system と表現できる。
ついでなので、storm にからむ表現を取り上げた過去のエントリを3つ紹介したい(→perfect storm ハリケーン・サンディと「パーフェクトストーム」)(→コップの中の嵐 (tempest in a teapot))(→「刑事コロンボ」の思い出と port))。
さらについでに、自然の猛威という関連で、地震の「震源」と「震源地」の英語表現の違いについて前に書いたことがあるので、これも参考までにあげておきたい(→「震源」と「震源地」はどう違うのか)。
タグ:科学・技術
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