オバマ大統領の formidable の発音 [発音]
ヒラリー・クリントン氏が2016年の大統領選挙に立候補する意向を表明した。これを伝えるニュース(日本語)をテレビで見ていたら、オバマ大統領のコメントが本人の声で流れたが、それを聞いていて「おやっ?」と思った。
民主党の大統領候補の座を激しく争った6年前をふりかえって、ヒラリーのことを、
- She was a formidable candidate in 2008.
「手強いライバルだった」「強敵だった」と述べたのだが、オバマ氏はこの "formidable" の強勢を第2音節の -mi- に置いていたのだ。私は第1音節の for- にあると思っていた。
さっそく電子辞書を取り出して調べたら、私は間違って覚えてはいなかったが、確かにオバマ式の強勢も載せているものがある! 別にオバマさん個人のクセ、というわけではなかったのだ。 「そんなことも知らなかったのか」と言われるかもしれないが、私にとってはおもしろい発見だった。
その一方で、第1音節の強勢しか載せていない辞書もあり、「ランダムハウス英和大辞典」に至っては、第2音節の強勢を認めない人がいる、とわざわざ説明していた。
ますますおもしろくなり、オンラインの辞書を検索してみると、この単語の強勢について記述しているものがあった。
- The preferred pronunciation of formidable is with the stress on for-, although the stress is sometimes heard on the second syllable (in Britain more than in the US).
(Oxford Dictionaries)
- Usage Note: Traditionally formidable has been pronounced with stress on the first syllable, but recently the pronunciation with stress on the second syllable, which is a common variant in British English, has seen increasing use in American English. However, the traditional pronunciation is still preferred by a large majority of the Usage Panel. (後略) Both pronunciations are acceptable, however.
(注・Usage Panel: この辞書が設けている専門家の検討グループ)
(American Heritage Dictionary)
つまり、第1音節に強勢を置くのが主流で、オバマ氏のように第2音節に置くのはイギリス英語により多く見られる、ということになる。
さらにウェブを見ていたら、アメリカ人のプロの物書きが言葉について論じているブログで、このテーマが取り上げられているのを見つけた。その名も "A formidable subject" というエントリで、強勢が第2音節にも置かれるようになった単語を他にも扱っていて、たいへん興味深い。
ttp://www.grammarphobia.com/blog/2011/12/a-formidable-subject.html
ところで、オバマ氏が大統領になった時は、このブログで何回か「期待が大きすぎるのではないか」と(特に根拠もなく)書いた私だが、頭に白いものが目立つようになった今のオバマ氏を見ていると、やはり「偉大な大統領」になるには内外の諸課題はあまりに大きすぎた、という感がしている。
一方で、「オバマ」のタグをつけた自分の過去のエントリをタグクラウドで見直すと、英語についてずいぶんいろいろと勉強させてもらっている。今回またひとつそれが増えたわけだが、このようなことで感謝している中年の英語学習者が東アジアにいることを知ったら、オバマ氏も驚くことだろう。
民主党の大統領候補の座を激しく争った6年前をふりかえって、ヒラリーのことを、
- She was a formidable candidate in 2008.
「手強いライバルだった」「強敵だった」と述べたのだが、オバマ氏はこの "formidable" の強勢を第2音節の -mi- に置いていたのだ。私は第1音節の for- にあると思っていた。
さっそく電子辞書を取り出して調べたら、私は間違って覚えてはいなかったが、確かにオバマ式の強勢も載せているものがある! 別にオバマさん個人のクセ、というわけではなかったのだ。 「そんなことも知らなかったのか」と言われるかもしれないが、私にとってはおもしろい発見だった。
その一方で、第1音節の強勢しか載せていない辞書もあり、「ランダムハウス英和大辞典」に至っては、第2音節の強勢を認めない人がいる、とわざわざ説明していた。
ますますおもしろくなり、オンラインの辞書を検索してみると、この単語の強勢について記述しているものがあった。
- The preferred pronunciation of formidable is with the stress on for-, although the stress is sometimes heard on the second syllable (in Britain more than in the US).
(Oxford Dictionaries)
- Usage Note: Traditionally formidable has been pronounced with stress on the first syllable, but recently the pronunciation with stress on the second syllable, which is a common variant in British English, has seen increasing use in American English. However, the traditional pronunciation is still preferred by a large majority of the Usage Panel. (後略) Both pronunciations are acceptable, however.
(注・Usage Panel: この辞書が設けている専門家の検討グループ)
(American Heritage Dictionary)
つまり、第1音節に強勢を置くのが主流で、オバマ氏のように第2音節に置くのはイギリス英語により多く見られる、ということになる。
さらにウェブを見ていたら、アメリカ人のプロの物書きが言葉について論じているブログで、このテーマが取り上げられているのを見つけた。その名も "A formidable subject" というエントリで、強勢が第2音節にも置かれるようになった単語を他にも扱っていて、たいへん興味深い。
ttp://www.grammarphobia.com/blog/2011/12/a-formidable-subject.html
ところで、オバマ氏が大統領になった時は、このブログで何回か「期待が大きすぎるのではないか」と(特に根拠もなく)書いた私だが、頭に白いものが目立つようになった今のオバマ氏を見ていると、やはり「偉大な大統領」になるには内外の諸課題はあまりに大きすぎた、という感がしている。
一方で、「オバマ」のタグをつけた自分の過去のエントリをタグクラウドで見直すと、英語についてずいぶんいろいろと勉強させてもらっている。今回またひとつそれが増えたわけだが、このようなことで感謝している中年の英語学習者が東アジアにいることを知ったら、オバマ氏も驚くことだろう。
にほんブログ村← 参加中です
はじめまして英会話教室で英語を習い始めて7年のものです。こちらでこの記事を読んで、英会話学校の先生の一人(フロリダ出身30歳)に聞いてみたところ、「辞書にどう書いてあるか知らないけど、俺にとってはむしろforMIdableのほうが自然だ」と言っていました。
本当は、お互いにGame of Thronesのファンなので
www.youtube.com/watch?v=EyQsIzhdogU
このビデオを見せるための振りに使ったのですが・・・
by Dzztnarr (2015-05-12 12:55)
Dzztnarr さん、コメントありがとうございました。私も、ネイティブスピーカーでも人によって言うことが違う、ということを何度も経験してきました。他のエントリでも何度か書いたのですが、日本人と日本語のことを考えても、みな辞書やアナウンサーのように言葉を使うわけではないのですよね。そこが言葉のおもしろいところでもあると思います。
by tempus fugit (2015-05-12 22:14)