Portuguese man-of-war 「電気クラゲ」 [固有名詞にちなむ表現]
ドラマ「刑事コロンボ」にまとまって出てきた「国名のつく表現」を先日紹介したが、自作の学習ノートにはこうした言い回しがいくつかメモしてある。その中から Portuguese man-of-war を取り上げてみよう。
man-of-war はかなり前に書いたことがあるが(→混同したくない「戦車」と「装甲車」)、「軍艦」という意味である。
では「ポルトガルの軍艦」って何だろう、と思って辞書を見ると「カツオノエボシ」とある。これでもよくわからないが、「俗にいう電気クラゲのこと」と書かれていて、何だかわかった気になる。ウェブにある写真を見ると確かにけっこう恐ろしげで、「軍艦」と名づけたのもわかるような気がする。
研究社の「新英和大辞典」には、由来について、「英国近海のものはポルトガル沿岸に生じたものが海流に流されてくるのでこの名がある」と書かれていた。
18世紀の初めには使われていたとあり、この言葉を作ったイギリス人はポルトガルから来たクラゲだと知っていたのかといったんは感心したが、調べてみると他のヨーロッパの言語でも同様の言い方をするようなので、それが英語に入ってきたのではないだろうか。
学習ノートには、いずれも007の原作小説で見つけた2つの実例をメモしてあった。
まずは「ドクター・ノオ」から、海中につくられた施設にいるジェームズ・ボンドが、魚たちが行き交う光景をガラス窓ごしに眺める場面である。of を o' と表記しているが、Wikipedia にあるこのクラゲの項目も、こちらの綴りで見出しにしていた。
- The twenty foot tendrils of a Portuguese-man-o'-war drifted across the window, glinting violet as they caught the light.
(Dr. No by Ian Fleming)
次は「死ぬのは奴らだ」にある、007が敵地をめざして海を泳いでいる場面。こちらは of となっている。
- Once the great streamers of a Portuguese man-of-war floated slowly by. They almost reached his head from the surface, fifteen feet away, and he remembered the whiplash of a sting from the contact of one of their tendrils that had burned three of his days at Manatee Bays. If they caught a man across the heart they could kill him.
(Live and Let Die by Ian Fleming)
007の生みの親イアン・フレミングは、物語の本筋とは直接関係ない、ちょっとした細部にこだわるのが好みのようだが、ここでもカツオノエボシの危険性について触れている。「研究社英和大辞典」には「きわめて強い刺胞毒をもち、海水浴者の皮膚に害を与える」という説明が載っていた。
過去の参考記事:
・混同しがち?な「戦艦」と「軍艦」
man-of-war はかなり前に書いたことがあるが(→混同したくない「戦車」と「装甲車」)、「軍艦」という意味である。
では「ポルトガルの軍艦」って何だろう、と思って辞書を見ると「カツオノエボシ」とある。これでもよくわからないが、「俗にいう電気クラゲのこと」と書かれていて、何だかわかった気になる。ウェブにある写真を見ると確かにけっこう恐ろしげで、「軍艦」と名づけたのもわかるような気がする。
研究社の「新英和大辞典」には、由来について、「英国近海のものはポルトガル沿岸に生じたものが海流に流されてくるのでこの名がある」と書かれていた。
18世紀の初めには使われていたとあり、この言葉を作ったイギリス人はポルトガルから来たクラゲだと知っていたのかといったんは感心したが、調べてみると他のヨーロッパの言語でも同様の言い方をするようなので、それが英語に入ってきたのではないだろうか。
学習ノートには、いずれも007の原作小説で見つけた2つの実例をメモしてあった。
まずは「ドクター・ノオ」から、海中につくられた施設にいるジェームズ・ボンドが、魚たちが行き交う光景をガラス窓ごしに眺める場面である。of を o' と表記しているが、Wikipedia にあるこのクラゲの項目も、こちらの綴りで見出しにしていた。
- The twenty foot tendrils of a Portuguese-man-o'-war drifted across the window, glinting violet as they caught the light.
(Dr. No by Ian Fleming)
次は「死ぬのは奴らだ」にある、007が敵地をめざして海を泳いでいる場面。こちらは of となっている。
- Once the great streamers of a Portuguese man-of-war floated slowly by. They almost reached his head from the surface, fifteen feet away, and he remembered the whiplash of a sting from the contact of one of their tendrils that had burned three of his days at Manatee Bays. If they caught a man across the heart they could kill him.
(Live and Let Die by Ian Fleming)
007の生みの親イアン・フレミングは、物語の本筋とは直接関係ない、ちょっとした細部にこだわるのが好みのようだが、ここでもカツオノエボシの危険性について触れている。「研究社英和大辞典」には「きわめて強い刺胞毒をもち、海水浴者の皮膚に害を与える」という説明が載っていた。
過去の参考記事:
・混同しがち?な「戦艦」と「軍艦」
タグ:ジェームズ・ボンド
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