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Rube Goldberg, Heath Robinson という形容詞(「ムダに複雑な」) [固有名詞にちなむ表現]

このところ続けている"固有名詞にちなむ表現"で、前回は007の原作にあった言葉を紹介したが、以前このシリーズについて書いた時に Rube GoldbergHeath Robinson という言葉に短く触れたことがあった。あらためて載せるつもりでそのままになっていたので、これを機に書いてみよう。

「007 ゴールドフィンガー」にからんで template について書いた際、実例の中に出てきたので短く言及したものである(→template 「基本パターン」「モデル」)。

まず、Rube Goldberg の意味や用例を英和辞典から引用しよう。

- adj. 1 (R. Goldberg の漫画のように)ごちゃごちゃした、必要以上(ばかげたほど)に込み入った;簡単にできることを複雑な方法でする
2 複雑すぎて実際的でない
(研究社英和大辞典)

- a Rube Goldberg scheme for reducing taxes 複雑で実施不可能な減税案
(1954. 漫画家 Rube (Reuben) Goldberg の何にちなむ)
(ランダムハウス英和大辞典)

英語圏の辞書にある説明も見よう。

- Ingeniously or unnecessarily complicated in design or construction:
a Rube Goldberg machine
(Oxford Dictionaries)

- (US) doing something by unnecessarily complicated means
"the infernal Rube Goldberg baggage system"
"Rube Goldberg exercise machines"
(Collins English Dictionary)

Wikipedia には Rube Goldberg machine という見出しで項目があり、由来となったアメリカの漫画家の作品も見ることができる。
http://en.wikipedia.org/wiki/Rube_Goldberg_machine

そして、Online Etymology Dictionary に

- 1940, from the U.S. cartoonist Reuben Lucius Goldberg (1883-1970) who devised fantastically complex gadgetry to accomplish simple tasks. His British counterpart was Heath Robinson (1872-1944).

とあるように、イギリスでは、別の人物 Heath Robinson が同じ意味で使われている。

- adj. UK used to describe a machine that is very cleverly made and is complicated in a silly or humorous way, but has no practical use:
a Heath Robinson contraption
(Cambridge Advanced Learner's Dictionary)

Wikipedia にはこの人物について、Rube Goldberg と関連づけた説明があり、漫画も載っている。やはり、単純な作業をする複雑な仕掛けの機械を描くのを得意としていた。

- In the U.K., the term "Heath Robinson" entered the language during the 1914-1918 First World War as a description of any unnecessarily complex and implausible contrivance, much as "Rube Goldberg machines" came to be used in the U.S. from the 1930s onwards as a term for similar efforts.
( http://en.wikipedia.org/wiki/Heath_Robinson )

ということで、大西洋を隔てた別の漫画家が、同じようなテーマを持った作品を描き、どちらも同じ意味で英語・米語に入ったわけである。

先に生まれたこともあってか、英語の語彙に取り入れられたのは Heath Robinson の方が早かったようだ。しかしアメリカでは自国の漫画家の名前を使ったというのは、偶然なのか、2人の間に何らかの関係があったのか、アメリカ人たちにイギリスへの対抗意識があったのか。そのへんにも興味が湧くが、じっくり調べている余裕がないので、とりあえずここまでにしたい。

余談だが、こうした表現は知ること自体はおもしろいが、アウトプットの場では相手が英語圏のネイティブスピーカーでない限り、自分からはめったやたらと使うべきでないと私が考えているのは、これまで何度か書いた通りだ。

非英語圏の人と仕事をすることが多かった個人的な経験に基くものだが、"国際語としての英語"というものがあるとすれば、それは発音がどうこうというより、文化的背景が色濃い言葉や凝ったイディオムを避けるといった、言葉の選択・使い方に関わるものであるべきだろう。一方で(一見矛盾するようだが)、自分の語彙は無条件で多ければ多いほど良いとも考えているのも、これまた以前に書いた通りである。

参考・Robinson が使われた他の言葉についての記事:
ピカード艦長の「クリスマス・キャロル」~ before you can say Jack Robinson 「あっという間に」


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