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play Botticelli 「"私は誰でしょう"当てクイズ」 (刑事コロンボ「殺人処方箋」) [固有名詞にちなむ表現]

ちょっと前に、往年の名作TVドラマ「刑事コロンボ」から "固有名詞の入った表現" を何回か続けて取り上げたが、実は、第1作である Prescription: Murder (邦題「殺人処方箋」)の冒頭にそうした言い回しが出てくる。(play) Botticelli がそれである。

刑事コロンボ完全版 1 バリューパック [DVD]

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  • 出版社/メーカー: ジェネオン・ユニバーサル
  • 発売日: 2012/07/03
  • メディア: DVD

この作品は、Ray Fleming という精神分析医の家で開かれているパーティのシーンで始まる。フレミング博士と招待客たちのやりとりから、名前を当てる何らかのクイズゲームに興じていることがわかる。

客が人物の特徴をあげると、博士が具体的な固有名詞を出して「その人物ではない」と答え、次の客がさらに博士に質問する、という形で進められている。

一連のセリフを書き出してみよう。客は数人いるが、めんどうなのでまとめた形にする。

- 客: What about a composer?
フレミング: I am not Irving Berlin.
客: More classical than that?
フレミング: No, I am not Berlioz.
客: Another one.
フレミング: I am not Brahms.
客: Are you a famous New York conductor?
フレミング: No, I am not Leonard Bernstein.
客: Are you a famous murderer?
フレミング: I'm not Lizzie Borden.
客: I hope you stump him, darling, because I am running out of B's.
別の客: All right. Are you a well known 18th Century English jurist?
フレミング: A typical lawyer's question, Burt. No, I'm not Sir William Blackstone.

つまり、フレミング博士は B- で始まる人名を想定し、質問する客たちがそれを問い詰めて当てようとしているわけである。

最初に出てくるアーヴィング・バーリンはポピュラー畑の作曲家で、ビング・クロスビーの名唱で有名な「ホワイト・クリスマス」を作った人(参考→crooner と「ホワイト・クリスマス」)、ベルリオーズとブラームスはクラシック、指揮者のバーンスタインは「ウェストサイド物語」の作曲者でもある。

そのあとの聞きなれない人名のうち、リジー・ボーデンは調べてみると、19世紀にマサチューセッツで起きた殺人事件の容疑者で、アメリカ文化史に残る有名な事件とのこと、さらに調べるとおもしろそうだ。

ついでだがここに出てくる stump は「(質問などで)困らせる、途方に暮れさせる」で、stumped for words なら「言葉につまる」となる。

続きである。

- フレミング: Cynthia.
客: I pass. You know, every time we play Botticelli with you, I feel like a dropout.
フレミング: Do I see the flutter of white flags?
客: Go ahead, tell us who it is.
別の客: No, no, please! Let’s keep guessing.

ここで、「ボッティチェリ」と呼ばれるゲームであることがわかる。客がパスしたのを受けて言う Do I see the flutter of white flags? は、文字通り「白旗(降参)かな?」ということだろう。客のひとりは往生際が悪く続けようとするが、セリフの紹介はここまでにして、Botticelli についての Wikipedia の説明を引用しよう。

- Botticelli is a guessing game which requires the players to have a good knowledge of biographical details of famous people. The game has several variants, but the common theme is that one person or team thinks of a famous person, reveals their initial letter, and then answers yes/no questions to allow other players to guess the identity.
( http://en.wikipedia.org/wiki/Botticelli_%28game%29 )

ということで、質問する方も答える方も、知識と教養が試される遊びのようだ。ここで描かれたのがスタンダードなルールなのかどうかはわからないが、このゲームについて書いたサイトは他にも見つかるので、興味のある方は参照されたい。

おもしろいのはルネサンスの高名な画家ボッティチェリの名がついていることだが、由来について Wikipedia には、

- The game takes its name from the famous person having to be at least as famous as Sandro Botticelli, who is also the answer to the archetypal question, "Did you paint a picture of Venus rising?", referring to his painting The Birth of Venus.

とあるだけで、他のサイトをいくつか見た限りではわからなかった。ご存知の方がいらしたら教えていただけたら幸いである。

なお Wikipedia には、Botticelli in popular culture という小見出しがあり、最初に言及されているのは、この「殺人処方箋」のシーンだった。他にアニメ番組の「シンプソンズ」 The Simpsons のセリフにも出てきたことも書かれている。

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