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frenemy 「顔は笑って心では殴って」 [辞書に載っていない表現]

アメリカの公共ラジオNPRのサイトを見ていたら、"Best Frenemies" で始まる見出しが目にとまった。「うまい」と思うと同時に Japan の文字が目に入ったので、さっそく読んでみた。

最近の日韓関係についての記事で、見出しを全部書くと、

- Best Frenemies: Japan, Korea Mark 50th Anniversary Despite Rivalry
( http://www.npr.org/sections/parallels/2015/06/23/416661086/best-frenemies-japan-korea-mark-50th-anniversary-despite-rivalry )

となっている。

frenemy は、この単語を知らなかった人もこのタイトルを見ると friend + enemy ということだろうと容易に想像がつくと思う。portmanteau word (混成語、かばん語)と呼ばれるもののひとつだ。これに best がつくと、日本と韓国の一筋縄ではいかない隣人関係がいっそう浮き彫りにされるような気がして、「うまい」と感じたしだいである。

記事には、frenemy が出てくるところがもうひとつある。

- "Japan and Korea share a lot of strategic interests," says Japanese foreign ministry spokesman Masaru Sato. "I hope that with the presence of both leaders attending these commemorative events, I think a big boost will be given to improve the current bilateral relations. And to reinforce ties for the next 50 years ahead."

It's a hopeful posture for two nations that still seem more like frenemies than genuine pals.
(ibid.)

この more like frenemies than genuine pals もおもしろい言い方である。

frenemy を収録している辞書はあまりないようだが、そのひとつ、「リーダーズ英和辞典第3版」には、

- 友人のふりをした敵、信用できない友人、えせだち

とあり、この「えせだち」がこれまたおもしろいと思った。「似非」+「ダチ」ということはすぐにわかるが、こんな言葉があるのか。知らぬは年配の私だけで、若い人たちは普通に使っているのかもしれない。

そう思ってネットで検索したが、やり方がまずかったのか実例が見つからない。英和辞典では、時に国語辞典にも載っていないような訳語を見ることがあるが、これもその一例であろうか。ただこれだと enemy の方の意味合いがあまり伝わらないようにも思う。

今回はとりとめのない内容となったので、最後に数少ない英語圏の辞書の説明を引用して、もう少し学習面の体裁を取り繕うことにしよう。

- n. (plural frenemies) informal
someone who you have a friendly relationship with but is really an enemy or competitor
The office is full of frenemies.
(LDOCE)

- "Frenemy" (less commonly spelled "frienemy") is a portmanteau of "friend" and "enemy" that can refer to either an enemy pretending to be a friend or someone who really is a friend but also a rival. The term is used to describe personal, geopolitical, and commercial relationships both among individuals and groups or institutions. The word has appeared in print as early as 1953.
(Wikipedia)

過去の参考記事:
敵は内にあり (enemy within)


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コメント 2

Kaz

いつも楽しく勉強させていただいています。本文のご趣旨とは関係ないですが、Portmanteauなる言葉が英語にあるんですね。どうやら客船時代の両開きの旅行カバンからの意味のようですが。現代仏語は御承知の通りPortemanteauで、コート掛けの意味。このPorte-は、holdの意味で、英語になっているportfolioも元々は書類入れのようですね。
by Kaz (2015-06-26 10:43) 

tempus fugit

Kazさま、フランス語は不案内なので参考になりました。ありがとうございました。

私は「かばん語」なる言葉を知った時、「なんで”かばん”なんだ?」とわからなかったのですが、英英辞典でa very large suitcase that opens into two partsというような定義を読んで合点がいったしだいです。

「かばん」といえばバッグを思い浮かべる世代の私としては、こうしたことから「かばん語」は実は居心地の悪い言葉で、本文で「混成語」の方を先に書いたのもそのためです。

by tempus fugit (2015-06-26 23:05) 

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