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「強行採決」の英語 (安保関連法案が衆議院通過) [日本のニュース]

安保法案の採決を報じる英文記事をネットで探していくつか読んだ。「こういうことは英語でこう言えばいいのか」という勉強にもなったが(とはいえ、そうした表現をなかなかすらすらと操れるようになれないのが残念だ)、今回は短くて覚えやすい「強行採決」を表す英語をまとめてみよう。

実は以前、この意味で使える ram throughsteamroller を取り上げたことがあったが(→edge, ram それに steamroller)、今回読んだ記事で目立ったと感じた言い回しが push through force through だった。これなら自分でも使えそうだ、と思う人は多いだろう。

タイトルと本文にこの表現が使われていた例をひとつ。

- Japan's Abe set to push through security bills in summer of discontent

Japanese Prime Minister Shinzo Abe faces his toughest challenge since taking office in 2012 as his ruling bloc prepares to force unpopular security bills through the lower house despite voter doubts about the legislation and a slew of other policies.
(Reuters)

以前取り上げた ram は、杭(のようなもの)を打ち込む、というイメージが鮮やかな単語といえるだろうか。

- MPs trying to block the vote, shouting and brandishing signs that read "Abe politics is unforgivable" and "Against ramming bills through".
(Reuters)

尖ったものではなく、巨体で押し進むというイメージといえそうなのが bulldoze を使った例である。

- Yorihisa Matsuno, head of Ishin, slammed the ruling camp’s decision to bulldoze the bills through the committee at a time when the legislation remains poorly understood by the public.
(Japan Times)

次は steamroller と同義の steamroll を使った例だが、少し長い。

- With the government and ruling parties steamrolling through a set of security bills poised to fundamentally alter Japan's security policy during a House of Representatives committee meeting on July 15, increased debate around the bills -- whose proponents point out has exceeded 100 hours -- has in fact served to deepen the public's mistrust.
(Mainichi)

ずいぶんと頭が重い(=主語の前に置かれた節が長い)文で、正直読みにくいなあ、と感じてしまった。偉そうなことはいえないが、日本人記者の書いた英語だろうか。

さて、以前も少し書いたことがあるが(→hallmark 「目立った特徴」「刻印」 (「イスラム国」邦人殺害事件))、私は国の安全保障政策について今のままでいいのか議論をすること自体は必要だと思う。自国を取り巻く国際的な環境が変化する中、今後の安保防衛政策はどうあるべきか。それを論じるだけで、「日本を戦争する国にしたいのか」と声を荒らげるのは短絡的、思考停止的な態度だと思う。

しかし一方で、従来の憲法解釈を内閣の一存で変更して良いものなのか。憲法は国家権力の暴走を防ぐために生まれたものだ、と学生時代に学んだことを思い出す。集団的自衛権の行使を可能にするため耳慣れない用語が作られ複雑な想定が提示されている。世論調査でも内容が理解できないという声が多いのも、そもそもこうした手法に無理があるからだと思う。これまで憲法違反だとされてきたことに踏み切るのならば、国民に改憲を正面から問うべきだろう。

ついでだが、自民党の某大臣が、「自民党感じ悪いよね、という国民の意識が高まった時は危機」と発言し、野党がこれを利用して、「自民党感じ悪いよね」と書いたプラカードを採決時に(それもテレビカメラに向かって)掲げていた。こうした何とも軽い表現や行動を公の場で示しているのを見ると、与野党どちらの政治家とも、言語感覚、そして人間そのものが軽くなっているなと思わざるを得なかった。

英語についてのブログなので、これ以上は深入りしないことしよう。


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