Kjell という名前の読み方について (「ソユーズ」が宇宙ステーションに到着) [発音]
油井亀美也宇宙飛行士らが国際宇宙ステーションに無事到着して5か月間におよぶ滞在を始めた。ウェブで英文記事を読んでいたら、「ソユーズ」に乗ってステーションに行ったクルーの一人であるNASAの宇宙飛行士が Kjell Lindgren という名前であることを知った。
この Kjell を目にして、三十年ほど前の学生時代、初めてアメリカを訪れた時のことを思い出した。
たまたま話をする機会があった人が、この名前を持っていたのである。言葉を交わす前に字を見ていたのだが、「こんな名前があるのか」と初めて目にする綴りで、どう発音するのかわからない。
「クジェル」ではないだろうと何となく思うとともに、know や knife など kn- で始まる単語は k を発音しないことから、同じ流儀かと考えて「ジェルさんですか」と尋ねると、「ケル」だという答えが返ってきた。そして北欧系の名前だということを教えてくれた。
その後もほとんど触れることのない名前だったが、今回のニュースで、あの時のことを思い出した。Lindgren というラストネームも、いかにも北欧系という感じだ。
- Veteran Russian cosmonaut Oleg Kononenko and rookie astronauts Kjell Lindgren with NASA and Japan's Kimiya Yui blasted off aboard a Russian Soyuz rocket at 5:02 p.m. from the Baikonur cosmodrome in Kazakhstan.
(Reuters, July 23, 2015)
学生時代に話した人物とはもちろん別人だが、久しぶりに「ケル」さんに再会したな、と思いつつ、次に日本の新聞記事を見たら、「チェル・リングリン」と書かれている。日本のJAXAのサイトを見てもそうなっていた。あれ、「ケル」ではないのか。
画像を見れば実際の音がわかるだろう、と考えて Youtube を探したら、Lindgren さん本人の出てくる動画があり、確かに「チェル」のように名乗っていた。
ウェブで調べると、この名前はノルウェーなどいくつかの国で使われ、「チェル」「シェル」「ヒェル」のように読むという情報があった。カタカナではぴったり表せないような難しい発音というより、言語によって違うということではないかと想像したが、北欧の言葉をかじったことのない私には正確なところはわからない。
いずれにせよ「ケル」という読みは載っていなかったが(もしかしたら「キェル」のように発音する方が正しいのかもしれない)、思いついて Kj- で始まる名前は他に何かあるか、と辞書を引いたら、ラストネームではあるが、19世紀に活躍したデンマークの化学者 Kjeldahl という人がいて、「ケルダール」と表記されていた。
次に Wikipedia を見たら、Kjell が項目になっていて、下記のような説明があった。
- Kjell is a masculine given name in Norway, Finland and Sweden, in Denmark the cognate is Kjeld or Keld. It is derived from the Old Norse: kętill, meaning "kettle," "cauldron," or "helmet."
由来はおもしろいが、発音についての情報は書かれていなかった。詳しいことをご存知の方がいらしたら教えていただければ幸いである。
そういえば私が会った人は何系だったのか、尋ねていたとしても覚えていない。今回の Kjell さんはどこの出身なのか、そこの言語での発音に従うのでは、とウェブで調べると、何と台湾生まれで、後にアメリカに移住したというが、何系かは書かれていなかった。「どの国で生まれたか」というような私の疑問は、国際社会では今後ますます意味を持たなくなってくるのかもしれない、と思わず考えた。しかし学生時代の「ケル(キェル)」さんは、綴りが同じ宇宙飛行士の名前をどう読むのだろうか?
今回は英語学習に役立つ話ではなかったので最後に罪滅ぼしに少し書くと、はじめに引用した記事に出てくる cosmonaut はロシアの宇宙飛行士を指す言葉である。astronaut を使っていた記事もあったが、ロイターのようにするといかにもそれっぽい。子供の時から宇宙やSFが好きだった私には cosmos や cosmic という言葉はおなじみだが、植物の「コスモス」とともに、いずれも「秩序」を表すギリシャ語に由来するというのがおもしろい。なお最初の-s-は /z/ と濁るのが英語での発音である。
同じくロイターの記事は油井さんと Kjell さんを rookie astronauts と表現しているが、「ルーキー」と日本語にもなっている単語をひとつつけるだけで、「2人にとって初めての宇宙飛行」ということが伝わるのが、私にはマネできない技である。
余談だが、今回の油井さんらのミッションのためにNASAがつくった公式ポスターがあるが、何と「スター・ウォーズ」をあしらった、ユーモアあふれるものだ。
ライトセーバーを手にしたクルーたちを描いたポスターとともに今回のミッションについて書いた記事が下記で読める。クルーが「スター・ウォーズ」に出てくるロボットR2-D2のオモチャも宇宙に持って行くと書かれているが、「ソユーズ」船内を映した動画をウェブで見つけて再生したら、ちゃんとこの人形が映っていた。
"Star Wars-loving astronauts reach International Space Station after two-month delay"
http://www.abc.net.au/news/2015-07-23/russian-soyuz-rocket-takes-off/6642358
この Kjell を目にして、三十年ほど前の学生時代、初めてアメリカを訪れた時のことを思い出した。
たまたま話をする機会があった人が、この名前を持っていたのである。言葉を交わす前に字を見ていたのだが、「こんな名前があるのか」と初めて目にする綴りで、どう発音するのかわからない。
「クジェル」ではないだろうと何となく思うとともに、know や knife など kn- で始まる単語は k を発音しないことから、同じ流儀かと考えて「ジェルさんですか」と尋ねると、「ケル」だという答えが返ってきた。そして北欧系の名前だということを教えてくれた。
その後もほとんど触れることのない名前だったが、今回のニュースで、あの時のことを思い出した。Lindgren というラストネームも、いかにも北欧系という感じだ。
- Veteran Russian cosmonaut Oleg Kononenko and rookie astronauts Kjell Lindgren with NASA and Japan's Kimiya Yui blasted off aboard a Russian Soyuz rocket at 5:02 p.m. from the Baikonur cosmodrome in Kazakhstan.
(Reuters, July 23, 2015)
学生時代に話した人物とはもちろん別人だが、久しぶりに「ケル」さんに再会したな、と思いつつ、次に日本の新聞記事を見たら、「チェル・リングリン」と書かれている。日本のJAXAのサイトを見てもそうなっていた。あれ、「ケル」ではないのか。
画像を見れば実際の音がわかるだろう、と考えて Youtube を探したら、Lindgren さん本人の出てくる動画があり、確かに「チェル」のように名乗っていた。
ウェブで調べると、この名前はノルウェーなどいくつかの国で使われ、「チェル」「シェル」「ヒェル」のように読むという情報があった。カタカナではぴったり表せないような難しい発音というより、言語によって違うということではないかと想像したが、北欧の言葉をかじったことのない私には正確なところはわからない。
いずれにせよ「ケル」という読みは載っていなかったが(もしかしたら「キェル」のように発音する方が正しいのかもしれない)、思いついて Kj- で始まる名前は他に何かあるか、と辞書を引いたら、ラストネームではあるが、19世紀に活躍したデンマークの化学者 Kjeldahl という人がいて、「ケルダール」と表記されていた。
次に Wikipedia を見たら、Kjell が項目になっていて、下記のような説明があった。
- Kjell is a masculine given name in Norway, Finland and Sweden, in Denmark the cognate is Kjeld or Keld. It is derived from the Old Norse: kętill, meaning "kettle," "cauldron," or "helmet."
由来はおもしろいが、発音についての情報は書かれていなかった。詳しいことをご存知の方がいらしたら教えていただければ幸いである。
そういえば私が会った人は何系だったのか、尋ねていたとしても覚えていない。今回の Kjell さんはどこの出身なのか、そこの言語での発音に従うのでは、とウェブで調べると、何と台湾生まれで、後にアメリカに移住したというが、何系かは書かれていなかった。「どの国で生まれたか」というような私の疑問は、国際社会では今後ますます意味を持たなくなってくるのかもしれない、と思わず考えた。しかし学生時代の「ケル(キェル)」さんは、綴りが同じ宇宙飛行士の名前をどう読むのだろうか?
今回は英語学習に役立つ話ではなかったので最後に罪滅ぼしに少し書くと、はじめに引用した記事に出てくる cosmonaut はロシアの宇宙飛行士を指す言葉である。astronaut を使っていた記事もあったが、ロイターのようにするといかにもそれっぽい。子供の時から宇宙やSFが好きだった私には cosmos や cosmic という言葉はおなじみだが、植物の「コスモス」とともに、いずれも「秩序」を表すギリシャ語に由来するというのがおもしろい。なお最初の-s-は /z/ と濁るのが英語での発音である。
同じくロイターの記事は油井さんと Kjell さんを rookie astronauts と表現しているが、「ルーキー」と日本語にもなっている単語をひとつつけるだけで、「2人にとって初めての宇宙飛行」ということが伝わるのが、私にはマネできない技である。
余談だが、今回の油井さんらのミッションのためにNASAがつくった公式ポスターがあるが、何と「スター・ウォーズ」をあしらった、ユーモアあふれるものだ。
ライトセーバーを手にしたクルーたちを描いたポスターとともに今回のミッションについて書いた記事が下記で読める。クルーが「スター・ウォーズ」に出てくるロボットR2-D2のオモチャも宇宙に持って行くと書かれているが、「ソユーズ」船内を映した動画をウェブで見つけて再生したら、ちゃんとこの人形が映っていた。
"Star Wars-loving astronauts reach International Space Station after two-month delay"
http://www.abc.net.au/news/2015-07-23/russian-soyuz-rocket-takes-off/6642358
タグ:科学・技術
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