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tease, teaser 「見どころ紹介、予告」 (映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」30年) [映画・ドラマと英語]

これまで観たエンタメ系映画のベスト5を選べと言われたら、「バック・トゥ・ザ・フューチャー」は必ず入れるだろう。テンポよく進むストーリー、個性的なキャラクター陣、ハラハラドキドキと笑い、わかりやすくおもしろいSF的ひねり。完璧!と言いたい出来である。映像的にも古びていないと思う。

公開から30年、そして先週は、続編「Part2」で描かれた「30年後の日付」である10月21日を迎えたことが話題になったが、これを報じるAP通信の記事を読んでいたら、ちょっと不思議な単語があった。

- “Back to the Future Part II” envisioned a colorful 2015 with flying cars, hoverboards and self-tying shoelaces. While those doodads are hardly prevalent today, the film did accurately tease the rise of such technology as flat-screen televisions, biometric scanning and hands-free gaming. It also predicted the Chicago Cubs winning the World Series -- an actual possibility with the Cubs contenders in the real-world playoffs, although maybe not for long.
(AP, Oct. 22, 2015
http://bigstory.ap.org/article/7953e27650ab42deb9e03c81c495c66a/its-time-back-future-day)

ひっかかったのは tease である。この単語の訳語として多くの人がまず覚えるであろう「からかう」では文脈にあわないと思う。そのすぐ後に also predicted とあるので、これと同じような意味だろうか。

すぐに連想したのは、名詞としての tease、あるいは teaser という言葉だ。動詞の tease は「じらす」ということでもあるように、「全部をまるまる見せないようにして期待や好奇心をあおるもの」といった意味あいで、映画やテレビ番組については「本編の前に見どころのシーンを短く紹介するパート」「短い事前予告」を指す。

そこで記事の tease だが、こうした名詞から考えても、やはり「予告する、予測する」というように取るのがしっくり来るように思う。しかしこの意味の動詞を載せている辞書はなかったし、ネットでちょっと見た範囲では類例は見つからなかった。

記事の筆者が、映画について書いているので理解してもらえるだろうと思って、いわば意味上の変化球的逆成語 back-formation のように使ったと考えればいいのだろうか。正解をご存知の方がいたら教えていただければ幸いである。

なお、私も英語学習の初期段階では tease を「からかう」だけで覚えていたが、「じらす」の方を印象づけられたのは、恥をしのんで書くと(というトシでもないが) striptease 「ストリップショー」という単語を見て、この -tease は何だろうと調べたのがきっかけだった。つまり「服を脱いでじらす・あおる」ということである。ということで tease には性的な意味もあるのだが、それについては辞書で自主的に確かめていただければ、と思う。

ついでだが、「予告編」として一般的に使われる単語に trailer があり、ネットでもよくお目にかかる。映画好きの人はご存知だろう。

さて、「バック・トゥ・ザ・フューチャー」はもともと単発作品だったが、人気と意味ありげなラストシーンも手伝ってか、予定されていなかった続編が製作されて3部作のシリーズとなった。が、私が好きなのは以前も書いたように(→ レーガン大統領の英語に学ぶ)、断然第1作だ。

1950年代のアメリカは、直接の体験のない私を含めて「古き良き時代」とのイメージを広く持たれている(そして製作当時のアメリカ大統領で、映画の中でも言及されるレーガンが理想としていた時代だという)。そうした“追憶の過去”を、作品の舞台として本当にうまく扱っていたと思う。

一方、続編も楽しめたとはいえ、あくまで空想の未来を描いた「普通のSF映画」としてのおもしろさだったのは仕方がないといえるだろう。ただ、引用したAPの記事のように、未来予測の当たりはずれを確かめる楽しみを30年前に用意しておいてくれたと考えると、何だか感謝したい気持ちになってくる。

そして映画が作られた1980年代は、大学生および駆け出しの社会人としてリアルタイムで生きた私の中で、バブル期という時代背景とあいまって、今や追憶の過去として美化されつつある。


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通りすがり

これは「促す」という意味ではないかなとも思いました。
↓用法1eです

http://www.thefreedictionary.com/tease
by 通りすがり (2015-11-03 14:40) 

tempus fugit

コメントに気づくのが遅れましてすみません。「促す」とは、この映画がきっかけとなって製品開発につながったということであれば、そう考えることもできるかもしれませんね。

実はこの記事をアップしたあと、ネイティブスピーカー(中年のイギリス人)に会う機会があり、たまたま上記APのプリントアウトを持っていたので見せて尋ねてみたところ、「映画が当時存在しなかったモノを描いていた、ということを言いたいのだろうが、はっきりとはわからない。自分ならこの言葉は使わない」という(意外な?)答えが返ってきました。まじめなイギリス人らしく「自分が知らないアメリカ英語の用法かもしれない」と、慎重に付け加えてもいました。ということで、まだはっきりしないままです。
by tempus fugit (2015-11-05 22:25) 

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