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「次のアメリカ大統領になる女性は?」 (オバマ大統領のジョーク) [アメリカ政治]

先日 enabler を取り上げるのにあたってアメリカ大統領選挙の関連記事を調べていたら、オバマ大統領が語ったジョークを見つけたので、短くメモしておきたい。

アメリカの現職大統領とマスメディアは毎年一回、The White House Correspondents' Dinner という夕食会を開いている。いろいろなアトラクションがあり、大統領がどのような軽妙なスピーチをするのかも毎回注目を集めるようだ。

オバマ大統領にとって最後となるディナーが先月開かれた。



この席でオバマ氏が披露したジョークについてネットでいろいろ取り上げられている。アメリカの事物を知っていないとわからないものが多いのが残念だ。

それでも、私も思わず「座布団一枚!」と言いたくなる、英語で言えば膝を叩きたくなる (knee-slapping) ジョークがあった(というより、正確には enabler の関連でヒラリー・クリントン氏についての記事を見ていて、先にこのジョークを知ったという順番だったのだが)。

- Next year at this time, someone else will be standing here in this very spot. And it's anyone's guess who she will be.

オバマ大統領は、現時点で正面切ってヒラリー氏への支持は表明していないはずだが、やはり自分の党の候補として指名はまず間違いないということで、こう言って座を盛り上げたのだろうか。

また、英語ではポイントとなる情報や新しい情報を文のあとの方に置く傾向にある。ここでも It's anyone's guess のあとに who she will be が続くから効果がある、ともいえるだろう。

日本語で、「来年は別の人がここに立つことになるが、どの女性になるかは誰にもわからない」とすると、英文和訳の答案としては特に問題ないだろうが、情報の出る順番からすると一足先にネタをばらすことになり、それだけ意外性が弱まってしまう。難しいものだ。

私にも理解できたもうひとつのジョークは、共和党候補のドナルド・トランプ氏についてのもの。予備知識なしに聞いただけでも充分笑えるが、トランプ氏の財団が「ミス・ユニバース」コンテストの開催に関わっていたという背景知識があるとおかしさは倍増する。

- The Republican establishment is incredulous that he (= Trump) is their most likely nominee -- incredulous, shocking. They say Donald lacks the foreign policy experience to be President. But, in fairness, he has spent years meeting with leaders from around the world: Miss Sweden, Miss Argentina, Miss Azerbaijan.

ここでもやはり、「トランプ氏は外交の経験がないというが、そんなことはない。世界中の代表と会ってきた」と言ったあとに、「ミス・スウェーデン、ミス・アルゼンチン、それにミス・アゼルバイジャン…」と来るからおもしろいわけである。

もちろん、こうしたジョークをおりまぜたスピーチは事前に練りに練って作られたもので、オバマ氏の「ジョークライター」をつとめた人が舞台裏を書いた記事も見つけた
"What It’s Like to Write Jokes for President Obama" The New York Times, April 29, 2016)

ただ、そうしたスタッフがいたとしても「役者」自身がしっかりしていないと笑いは取れないだろう。その点でオバマ大統領は十二分の才能があるようである。

今回のスピーチはウェブで動画を見ることができるほか、ジョークの内容やパフォーマンスについての「解説」記事もいろいろ書かれている。そして、ホワイトハウスが公式サイトにスピーチ全文まで載せている。文化の違いといえばそれまでだが、日本人にはなかなかマネできないイベントだと感じてしまう。

https://www.whitehouse.gov/the-press-office/2016/05/01/remarks-president-white-house-correspondents-dinner

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タグ:オバマ
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Keeyo

いつもながらの有益かつ刺激的(自分ももっと勉強せねば、と思わせていただいているという意味で)な情報をありがとうございます。

enablerもGoldilocksも、遠い昔、私も確かに自分も知ろうと情報を集めたなぁ、という記憶がよみがえってきました。でも、もっと情報収集が困難な状況でした。調べたことは覚えていても、答えはほぼ忘れていました…。

Obamaのスピーチを教えていただき感謝しております。
日本人の解説サイトなどで取り上げられてないところで分からないところが少し…次回知り合いのネイティブと勉強しようかと思っております。

思えば、こういうスピーチで一緒に笑いたい、というのがわたしの英語学習の大きな原動力だったのだなぁ、と改めて思う次第です。

by Keeyo (2016-05-27 10:14) 

tempus fugit

Keeyoさん、情報感度・英語力いずれも私などよりずっと先を歩いている方とお見受けします。新しい情報がありましたら、ぜひ教えていただきましたら幸いです。

私も若い頃は、こういったスピーチを理解できるようになりたいと思ったり、たとえばSaturday Night Liveを観ると、「ここはわかった、あそこはわからなかった」と一喜一憂したりしましていました。

しかし、仕事で英語を使う場合はほとんど途上国(の人々)が対象、という経験を重ねるうちに、ネイティブの英語やその文化に対して、肩の力を抜いて接することができるようになったという気がしています。まあ、良くも悪くも一種の諦め、ともいえるかもしれませんが・・・。



by tempus fugit (2016-05-27 23:44) 

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