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mano a womano 「(男と女の)一対一の対決」 (クリントン勝利宣言、トランプとの決戦へ) [辞書に載っていない表現]

以前、ティム・バートンの映画「バットマン」で覚えた mano a mano (一騎打ち)を取り上げたことがあるが、これをひねった mano a womano をアメリカ大統領選挙の記事で目にする。クリントン氏が民主党指名獲得で勝利宣言をしたこともあり、少し書いてみたい。

すぐにわかるように mano に含まれる man にひっかけて woman と変えたものだが、最初に見た時は「なるほど」と思ったものだ。

アメリカ大統領選挙では、当初から有力候補であるヒラリー・クリントン氏にからめて使っている例がネットで見つかる。たとえば、

- “In mano a mano, or mano a womano, face-offs with all contenders, Sanders and Rubio would be the candidates left standing,” Malloy added.
(https://www.qu.edu/images/polling/us/us02052016_Ust53w.pdf)

- Trump’s most ardent supporters, white men, are facing off against Hillary’s most loyal supporters, black women.
Clinton and Trump have moved on to their mano a womano fight, leaving behind “the leftovers,” as Trump labels deflated rivals.
(http://www.nytimes.com/2016/05/01/opinion/sunday/donald-the-dove-hillary-the-hawk.html?_r=0)

今回のヒラリー勝利宣言を受けて使っている例がないかネットで調べたが、やり方がまずいのか見た範囲では見つけることができなかった。そのうちに目にするかもしれない。

mano a mano の意味を英語圏の辞書であらためて押さえておこう。形容詞、副詞、名詞として使えるが、名詞について引用する。

- mainly US
› a bullfight (= fight between men and male cows) in which two people each fight several bulls
› a competition, argument, or fight between two people:
a mano a mano between the two presidential candidates
(Cambridge Advanced Learner's Dictionary)

- US informal (plural mano-a-manos)
An intense fight or contest between two adversaries; a duel:
a real courtroom mano-a-mano
Everything seemed to indicate that a continued confrontation in mano-a-manos was going to take place between these two superstars.
Origin Spanish, 'hand-to-hand'.
(Oxford Dictionaries)

mano は英語の man と共通しているのだろうと思うのは早合点で、上記のようにスペイン語で hand の意味である。さらに調べたら mano は女性名詞だった。かつて第2外国語の授業で「文法上の性は自然の性とは別物で、印象と一致しないことがある」と習ったが、そうだとしても何だかおもしろい。

さてクリントン氏は、オバマ現大統領と民主党の指名を争って敗れた前回の選挙戦では女性であることをことさら強調しなかったそうだが、今回は逆の戦略を取っているともいわれている。

今回の勝利宣言では初めのほうで、

- "We’ve reached a milestone. The first time in our nation’s history that a woman will be a major party’s nominee.”

と述べた。これは事実であるからごく自然に響き、戦略に沿ってこう言ったというわけではないかもしれない。ただ女性であることをもっと前面に出すようにしているのであっても、それは伝統的な(つまり男性目線での)女性的イメージ、というわけではあるまい。

クリントン氏とトランプ氏は対極的に見えるが、上で引用した「ニューヨーク・タイムズ」紙のコラム記事のタイトル "Donald the Dove, Hillary the Hawk" にあるように、タカ派的な姿勢が目立つのは実はクリントン氏の方であるという。また昔のことではあるが、クリントン氏は共和党の、またトランプ氏は民主党の支持者だった時期があった。こうしたことも、一筋縄ではいかない今回の候補者と選挙を示しているように思う。

参考記事:
mano a mano, mano y mano (映画「バットマン」)

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