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"sekoi" 「せこい」が英語に? (舛添知事が辞任) [和英表現]

先週は日本人のニュースが英語メディアでも相次いで取り上げられた。東京都知事とイチローだが、このうち舛添氏については、「せこい」という批判の声がそのまま sekoi として伝えられたと日本の記事で読み、これはおもしろそうだと調べてみた。

この言葉を使っていたのは「ニューヨーク・タイムズ」紙だった。都議会で某議員が舛添氏に対する質問の中で述べた「あまりにせこい、せこすぎる」が "This is sekoi — too sekoi" となっているのを目にして、思わず笑ってしまった。

- The word that has perhaps been most frequently used to describe the episode is sekoi, meaning cheap or petty.
(中略)
“I’m angry. This is sekoi — too sekoi,” Shigeru Kamibayashi, a member of the assembly from the right-leaning Liberal Democratic Party(中略)said after the lawyers issued their report. The word has been ubiquitous in newspaper and social media references to the scandal.
("Tokyo Governor, Yoichi Masuzoe, Resigns Over Spending Scandal" New York Times, June 15, 2016)

「ニューヨーク・タイムズ」は「今回のスキャンダルについておそらくもっともよく使われている言葉」と書いているが、単純に自然発生的によく使われるようになったというより、やはり議員が質問で使ったのがきっかけで話題になったのではないだろうか。

日常会話の俗語が、普段なら使わない議会という場で飛び出した意外性、そして何より、舛添氏の行動は「情けない」「みみっちい」などというより、まさに「セコい」としか言いようがないものだった。

さらにいえば、オリンピックを引き合いにして延命を図ろうとした往生際の悪さを含めて、今回あらわになった彼の人間性を表すのに、ドンピシャの言葉だという他ない。

そうした背景を英語で伝えるのは難しいだろうが、せっかく "sekoi" と原語を使うのであれば、「ニューヨーク・タイムズ」にはもう少しがんばってもらって、さらに何らかの補足説明をつけてほしかったと感じた。

それはともかく、記事にある cheap or petty という英語の説明はなるほどと思ったが、「せこい」はけっこう幅のあるニュアンスで使えそうなので、他の英語も考えられそうだ。

手持ちの電子辞書が収録している「研究社和英辞典」を覗いてみた。

- (けちくさい)tight-fisted; stingy;(口)chintzy; cheap;(みみっちい・いじましい)small-minded; petty
せこい考え petty thinking
せこい根性 a small-minded nature; a mean sprit
せこいやつ a miser;(口)a skinflint; a cheapstake; a tightwad; a penny pincher

いろいろあるものだ。また、学習辞書ながら日常生活で使う表現が充実している「スーパーアンカー和英辞典(第2版)」には、

- バイト料が入ったんだろ? せこいこと言わずにパーッとやろう
You've got money from your part-time job, haven't you? Don't be such a skinflint (tightwad). Let's go on a spree! (skinflint, tightwad はともに「けちな人」の意のインフォーマルな語).

とあった。どちらの記述も勉強になる。

ところで、日常生活で何気なく使っている「せこい」だが、由来をあらためて問われると答えに詰まってしまう。ネットで調べるといくつかの説があるようだ。芸能関係や客商売に関係する点では共通しているが、ひとつに絞られていないようなのがおもしろい。

それにしても、これがきっかけで sekoi が英語の語彙に取り入れられていくようなことがあるだろうか。そうなったら、舛添氏はとてつもない貢献を果たすことになるが、まあさすがにそんなことはありえないか。

過去の参考記事:東京オリンピック関連
滝川クリステルさんの「おもてなし」 (selfless hospitality)
a safe pair of hands 「あいつなら任せられる」 (続・五輪プレゼン)
stylized "T" 「Tの字をかたどった」「Tをイメージした」 (東京五輪エンブレム取り下げ)
東京五輪は日本のカンフル剤になるか (a shot in the arm)
オリンピックの「猪瀬発言」 NYタイムズの記事を読む

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