jet black 「漆黒の、黒々とした」 [読書と英語]
先日同様、スパイものノンフィクション A Spy Among Friends から取り上げたい。jet black は文脈から「真っ黒(な)」という意味だろうと想像できたが、なぜ jet にこんな意味が、と思って調べたら、おなじみの「ジェット(噴射)」とは語源が違うことがわかった。
第2次世界大戦の頃、トルコのイスタンブールにある Taksim's という店は、各国のスパイたちが虚々実々の駆け引きを行う舞台となっていた。その店のベリーダンサーについてのエピソードである。余談だが Taksim とはイスタンブールの中心部にある広場で、来訪者の多くが足を運ぶ場所だ(私も行ったことがある)。店もこの広場の周辺にあったのかどうかは書かれていない。
- Nothing at Taksim's was quite as it seemed. One night Elliott was admiring the club's resident belly-dancer, a stunning woman with 'white-coloured skin and jet black hair', when she fell off the stage, twisted an ankle and swore louldy in a thick Yorkshire accent: she was from Bradford.
(A Spy Among Friends by Ben Macintyre)
抜けるような白い肌と漆黒の髪、なんとエキゾチックな・・・と思いきや、足首をひねった彼女が発した罵り言葉は、ヨークシャーなまり丸出しだった。見かけで信用してはならない、まさにスパイのたまり場にピッタリである。
それはともかく、jet black は "a completely black colour" "very shiny and black in color" "vert intense black" "deep black" などと辞書に説明されている。hair につくと、「つやつやした黒髪」という感じだろう。
そして、jet は「黒玉、貝褐炭(漆黒色の緻密な炭質物、よく磨いて飾り石にする)」 "a hard black variety of coal that takes a brilliant polish and is used for jewellery, ornaments, etc" 「黒玉色(の)」といった訳語が辞書にあるが、目にとまったのは、その語源だった。
- Word origin C14: from Old French jaiet, from Latin gagātēs, from Greek lithos gagatēs stone of Gagai, a town in Lycia, Asia Minor
(Collins English Dictionary)
そして、おなじみの jet は、別の見出し語にしている辞書があることからも想像できるが、語源が違った。
- 1. a thin stream of liquid or gas forced out of a small aperture or nozzle
2. an outlet or nozzle for emitting such a stream
3. a jet-propelled aircraft (中略)
Word origin C16: from Old French jeter to throw, from Latin jactāre to toss about, frequentative of jacere to throw
(ibid.)
ウェブで調べたら、黒玉の方の jet は日本語でも「ジェット」として記載があったので、おなじみという人(特に女性?)は実は多いのだろう。知らないのは自分だけなのかもしれない。
以下はまったくの余談だが、「ジェット(噴射)」とは違う jet で私の頭にすぐ浮かんだのが、はるか昔の十代の時にヒットしたポール・マッカートニー&ウィングスの「ジェット」である。
威勢のいい曲だし、何とか聞き取れた歌詞の言葉のひとつが sergeant major だったので、軍用ジェット機のことを歌っているのかと思ったが、それにしては他にそれらしい単語が聞こえない。ロックは歌詞をまともに聞き取れないことが多いが、やはり自分のリスニング能力の低さのせいか、と思っていたら、歌詞を見てもジェット機とは関係なさそうで、ピンと来なかった。
その後、何かの解説で、この Jet とは、ポールの飼い犬の名前である、と読んで、やっと合点がいった次第である。
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第2次世界大戦の頃、トルコのイスタンブールにある Taksim's という店は、各国のスパイたちが虚々実々の駆け引きを行う舞台となっていた。その店のベリーダンサーについてのエピソードである。余談だが Taksim とはイスタンブールの中心部にある広場で、来訪者の多くが足を運ぶ場所だ(私も行ったことがある)。店もこの広場の周辺にあったのかどうかは書かれていない。
- Nothing at Taksim's was quite as it seemed. One night Elliott was admiring the club's resident belly-dancer, a stunning woman with 'white-coloured skin and jet black hair', when she fell off the stage, twisted an ankle and swore louldy in a thick Yorkshire accent: she was from Bradford.
(A Spy Among Friends by Ben Macintyre)
抜けるような白い肌と漆黒の髪、なんとエキゾチックな・・・と思いきや、足首をひねった彼女が発した罵り言葉は、ヨークシャーなまり丸出しだった。見かけで信用してはならない、まさにスパイのたまり場にピッタリである。
それはともかく、jet black は "a completely black colour" "very shiny and black in color" "vert intense black" "deep black" などと辞書に説明されている。hair につくと、「つやつやした黒髪」という感じだろう。
そして、jet は「黒玉、貝褐炭(漆黒色の緻密な炭質物、よく磨いて飾り石にする)」 "a hard black variety of coal that takes a brilliant polish and is used for jewellery, ornaments, etc" 「黒玉色(の)」といった訳語が辞書にあるが、目にとまったのは、その語源だった。
- Word origin C14: from Old French jaiet, from Latin gagātēs, from Greek lithos gagatēs stone of Gagai, a town in Lycia, Asia Minor
(Collins English Dictionary)
そして、おなじみの jet は、別の見出し語にしている辞書があることからも想像できるが、語源が違った。
- 1. a thin stream of liquid or gas forced out of a small aperture or nozzle
2. an outlet or nozzle for emitting such a stream
3. a jet-propelled aircraft (中略)
Word origin C16: from Old French jeter to throw, from Latin jactāre to toss about, frequentative of jacere to throw
(ibid.)
ウェブで調べたら、黒玉の方の jet は日本語でも「ジェット」として記載があったので、おなじみという人(特に女性?)は実は多いのだろう。知らないのは自分だけなのかもしれない。
以下はまったくの余談だが、「ジェット(噴射)」とは違う jet で私の頭にすぐ浮かんだのが、はるか昔の十代の時にヒットしたポール・マッカートニー&ウィングスの「ジェット」である。
威勢のいい曲だし、何とか聞き取れた歌詞の言葉のひとつが sergeant major だったので、軍用ジェット機のことを歌っているのかと思ったが、それにしては他にそれらしい単語が聞こえない。ロックは歌詞をまともに聞き取れないことが多いが、やはり自分のリスニング能力の低さのせいか、と思っていたら、歌詞を見てもジェット機とは関係なさそうで、ピンと来なかった。
その後、何かの解説で、この Jet とは、ポールの飼い犬の名前である、と読んで、やっと合点がいった次第である。
A Spy Among Friends: Philby and the Great Betrayal
- 作者: Ben Macintyre
- 出版社/メーカー: Bloomsbury Publishing PLC
- 発売日: 2015/03/12
- メディア: ペーパーバック
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タグ:ビートルズ
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