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3つ以上にも使う cross between ~ 「~を兼ね備えたもの」 [文法・語法]

私(以前)の世代は「between は2つの場合に使い、3つ以上だと among」と丸暗記させられた人が多いのではないだろうか。先日も取り上げたスパイものノンフィクション A Spy Among Friends に、cross between 「~をかけあわせたもの」のあとに単語が4つ並ぶ文が出てきた。

先日の jet black のエントリでも書いた、トルコのイスタンブールにある Taksim's という店(実は各国のスパイのたまり場)についての説明である。

- O'Leary announced they were going to Taksim's, the spy centre of Istanbul, a cross between a restaurant, a nightclub, a cabaret and a casino. 'Its clientele,' wrote Elliott, 'combined the representatives -- mainly engaged in espionage -- of all the Axis and Allied powers.'
(A Spy Among Friends by Ben Macintyre)

cross beween ~は時おり目にする表現で、以前ちょっと触れたこともあるが(→ the best of both worlds 「いいとこ取り」)、あとに X and Y と2つの要素が続くものと単純に思い込んでいた。一方で、「between のあとは2つ」とするのは必ずしも正しくないことを英語学習のある時点で学んでいた。

しかし今回の実例を目にするまで、両者を結びつけることは思いもよらなかったので、我ながら語学の才能に欠けるなと悔しく思った。

cross between ~の例文を辞書から拾ってみよう。

- The mule is a cross between a male donkey and a mare. ラバは雄のロバと牝馬との雑種である
(研究社新英和活用大辞典)

- a cross between a breakfast and a lunch 朝食とも昼食ともつかぬ食事
(ランダムハウス英和大辞典)
(※なお「研究社和英大辞典」にも「~ともつかない」の項に同じ例文が載っていた。一方、「研究社英和大辞典」には不定冠詞がない a cross between breakfast and lunch の形で載っていた。同じ出版社なのでおもしろいものだ。)

私は cross between X and Y を「XとYをかけあわせたもの」の他に「XとYを足して2で割ったようなもの」という訳でも覚えたが、「~とも~ともつかない」と言いたい時にこの表現が使えるのか。確かに視点を変えれば「どっちでもない」「どっちつかず」ということになり、なるほどと感心したが、いずれにせよ、どの例文も between のあとに並ぶ要素は2つである。

しかし between が3つ以上にも使えることは、辞書や学習書をよく見るとていねいな記述が見つかる。たとえば、

- 原則として2者について用いるが、個別関係を示す時は3つ以上でも between を用いる:Switzerland lies between Italy, Germany, Austria and France. スイスはイタリア、ドイツ、オーストリア、フランスと接している。
among は集合体、between は個別の観念を強調する。...集合体(mass)としてとらえられない場合は3つ(以上)のものを問題にしていても among は不可:I couldn't see any difference between (*among) the three pictures./an agreement among (between) the three nations.(between では個々の国を頭に置いた表現)。
(ジーニアス英和大辞典)

冒頭に書いたように、私はナントカのひとつ覚えのように「2つなら・・・」のルールを学んだが、今の学校教育ではどのように教えられているのだろうか。

参考記事:
cross-pollination 「相互交流」
the best of both worlds 「いいとこ取り」


A Spy Among Friends: Philby and the Great Betrayal

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  • 作者: Ben Macintyre
  • 出版社/メーカー: Bloomsbury Publishing PLC
  • 発売日: 2015/03/12
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