once bitten, twice shy #2 (「ラスト・クリスマス」のジョージ・マイケル死去) [音楽と英語]
名曲 Last Christmas を歌った George Michael がまさにクリスマスの日に死去したと報じられ、驚いた。私が学生だった頃デュオの Wham! として次々とヒットを飛ばしていて、大ファンというわけではないが強い印象が残っている。「ラスト・クリスマス」は聞いてすぐ、「これはクリスマスソングの新しい定番になるな」と思った記憶もある。
歌詞も歌い方も特に崩れたところがなく、英語学習者にもありがたい作品といえるのではないだろうか。once bitten, twice shy という表現が学べる歌でもある。
歌詞は、まず
- Last Christmas I gave you my heart
But the very next day, you gave it away.
と、give を共通に使った、中学生にもわかるようなシンプルな言葉で始まる。そして、
- This year to save me from tears
I'll give it to someone special.
と歌った後に、
- Once bitten, twice shy
I keep my distance
But you still catch my eye.
「一度噛まれたら(嫌な思いをさせられたら)次は慎重になる」という意味の表現だが、それまでの歌詞の流れからも印象深く覚えることができるのではないだろうか。
「羮に懲りて膾を吹く」にあたる英語として説明されることが多いはずだが、英語圏の辞典から引用しよう。
- after an unpleasant experience one is cautious in similar situations
(Collins English Dictionary)
- saying said when you are frightened to do something again because you had an unpleasant experience doing it the first time
(Cambridge Advanced Learner's Dictionary)
ここまで書いて、以前この表現を取り上げたことがあるような気がして過去のエントリを調べたら、その通りだったが(→ Once bitten, twice shy. と「あつものに懲りてなますを吹く」)、せっかくなのでこのままアップすることにする。
せっかく Last Christmas を取り上げたのでもう少し続けると、この歌には
- My god I thought you were someone to rely on.
Me? I guess I was a shoulder to cry on.
と、shoulder to cry on という表現が出てくるが、こちらも以前取り上げたことがあるのでご参考まで(→ a shoulder to cry on, cry in one's beer (オリヴィア・ニュートン=ジョンの歌より))。
さらについでだが、前述のようにジョージ・マイケルは Wham! 時代にこの歌を発表した(wham は爆発や衝突などの「ドカン」を表す擬音で、私は昔よく読んていたアメリカン・コミックスで目にして覚えた)。日本では「ワム!」と表記され、インターネットや衛星放送がなかった当時、私が熱心に視ていた「ベストヒットUSA」という音楽番組でも、英語がネイティブ並みのDJ小林克也氏はそのように発音していた。
しかしFEN(現・AFN)を聞いていたら、Wham! の頭に /h/ 音をはっきり入れていたアメリカ人のDJ(アナウンサー?)がいた。what が「ワット」ではなく「ホワット」のようになることがあるのと同じ流儀だが、「ホワム」だと何だか間が抜けたように感じたものだ。
私は発音は門外漢だが、最近の英語では wh- の発音は /h/音 を入れないのが主流になっているはずだ。たとえば why を辞書を見比べてみると、/hwai/,/(h)wai/ という記載もあるものの、/wai/ しか載せていないものもある。
そういえば、「日本人の英語力アップのために、外来語のカタカナはすべて原音通りに書け」と言う人がいるが、表記には慣用というものがあるので無茶な考え、というか噴飯物だと思う。もうひとつのクリスマスの名曲 White Christmas を「ホワイト・クリスマス」でなく「ワイト・クリスマス」とせよと言われるのはどうにも抵抗がある。さらに外来語は英語由来とは限らない。
話がジョージ・マイケルから離れてしまったが、「ラスト・クリスマス」のビデオをネットで見返してみると、若かったジョージ(最近の写真はまるでリンゴ・スターである)それに Wham! でコンビを組んだアンドリュー(Andrew はあえて”原音風”にするなら「アンドルー」?)が出演したミニドラマ風の、あまり凝った造りのないシンプルな映像作品となっている。
いかにもミュージックビデオの黎明期という感じだが、今や遠い昔となったあの頃や当時の自分を思い出して感慨深いものがあるとともに、そうした人物がまた一人亡くなったことに時の流れを感じる。合掌。
参考:
・crooner と「ホワイト・クリスマス」
にほんブログ村
歌詞も歌い方も特に崩れたところがなく、英語学習者にもありがたい作品といえるのではないだろうか。once bitten, twice shy という表現が学べる歌でもある。
歌詞は、まず
- Last Christmas I gave you my heart
But the very next day, you gave it away.
と、give を共通に使った、中学生にもわかるようなシンプルな言葉で始まる。そして、
- This year to save me from tears
I'll give it to someone special.
と歌った後に、
- Once bitten, twice shy
I keep my distance
But you still catch my eye.
「一度噛まれたら(嫌な思いをさせられたら)次は慎重になる」という意味の表現だが、それまでの歌詞の流れからも印象深く覚えることができるのではないだろうか。
「羮に懲りて膾を吹く」にあたる英語として説明されることが多いはずだが、英語圏の辞典から引用しよう。
- after an unpleasant experience one is cautious in similar situations
(Collins English Dictionary)
- saying said when you are frightened to do something again because you had an unpleasant experience doing it the first time
(Cambridge Advanced Learner's Dictionary)
ここまで書いて、以前この表現を取り上げたことがあるような気がして過去のエントリを調べたら、その通りだったが(→ Once bitten, twice shy. と「あつものに懲りてなますを吹く」)、せっかくなのでこのままアップすることにする。
せっかく Last Christmas を取り上げたのでもう少し続けると、この歌には
- My god I thought you were someone to rely on.
Me? I guess I was a shoulder to cry on.
と、shoulder to cry on という表現が出てくるが、こちらも以前取り上げたことがあるのでご参考まで(→ a shoulder to cry on, cry in one's beer (オリヴィア・ニュートン=ジョンの歌より))。
さらについでだが、前述のようにジョージ・マイケルは Wham! 時代にこの歌を発表した(wham は爆発や衝突などの「ドカン」を表す擬音で、私は昔よく読んていたアメリカン・コミックスで目にして覚えた)。日本では「ワム!」と表記され、インターネットや衛星放送がなかった当時、私が熱心に視ていた「ベストヒットUSA」という音楽番組でも、英語がネイティブ並みのDJ小林克也氏はそのように発音していた。
しかしFEN(現・AFN)を聞いていたら、Wham! の頭に /h/ 音をはっきり入れていたアメリカ人のDJ(アナウンサー?)がいた。what が「ワット」ではなく「ホワット」のようになることがあるのと同じ流儀だが、「ホワム」だと何だか間が抜けたように感じたものだ。
私は発音は門外漢だが、最近の英語では wh- の発音は /h/音 を入れないのが主流になっているはずだ。たとえば why を辞書を見比べてみると、/hwai/,/(h)wai/ という記載もあるものの、/wai/ しか載せていないものもある。
そういえば、「日本人の英語力アップのために、外来語のカタカナはすべて原音通りに書け」と言う人がいるが、表記には慣用というものがあるので無茶な考え、というか噴飯物だと思う。もうひとつのクリスマスの名曲 White Christmas を「ホワイト・クリスマス」でなく「ワイト・クリスマス」とせよと言われるのはどうにも抵抗がある。さらに外来語は英語由来とは限らない。
話がジョージ・マイケルから離れてしまったが、「ラスト・クリスマス」のビデオをネットで見返してみると、若かったジョージ(最近の写真はまるでリンゴ・スターである)それに Wham! でコンビを組んだアンドリュー(Andrew はあえて”原音風”にするなら「アンドルー」?)が出演したミニドラマ風の、あまり凝った造りのないシンプルな映像作品となっている。
いかにもミュージックビデオの黎明期という感じだが、今や遠い昔となったあの頃や当時の自分を思い出して感慨深いものがあるとともに、そうした人物がまた一人亡くなったことに時の流れを感じる。合掌。
参考:
・crooner と「ホワイト・クリスマス」
にほんブログ村
にほんブログ村← 参加中です
Tempus fugit様
私はこの表現を過去に取り上げましたが、この曲の存在を知りませんでした。
私が今まで知らなかったとは、恐ろしい限りです。
年の差、世代の差、経験の差を感じます。You Tubeが普及しても、この差は埋まらないと考えております。
年末最後に知識を得るとは、思いませんでした。ありがとうございました。
年は開けますが、これからも英語学習に邁進いたします。英語検定はじめ、諸資格の取得に向けて、頑張りたいところです。
http://d.hatena.ne.jp/A30/20151008/1444263242
by Kawada (2016-12-31 19:13)
Kawadaさん、どうもありがとうございました。
私が若い頃の歌を題材にしたので、「年の差、世代の差」を感じさせてしまったと思いますがお許し下さい。
インターネットもビデオも衛星放送もなかった時代なので、ポップスのヒット曲は英語学習のうえでも役に立ちました。また今はいろいろ娯楽が増えたためか、音楽を聞く人の割合も減っているように思いますがどうなのでしょうか?
今年も英語学習がんばってくださいませ。
by tempus fugit (2017-01-01 11:32)
Tempus fugit様
人生の、英語学習の先輩からの応援メッセージ、どうもありがとうございました。励みになります。
ご質問にも答えさせていただきます。
Tempus fugit様のおっしゃる通り、音楽を聴く機会が減ったと感じることがあります。
サークルの講師の方が、私達に向かって「無料で音源提供してくれるサイトがあるのに、なんで音楽的センスが上がらないんだろうね」と嘆いていらっしゃったのを思い出しました。
確かに、昔はレコードしかない時代で、音楽は貴重なものだったのでしょう。
あくまで私の推測ですが、レコードを頼りにしていた頃のプロの演奏家の方のほうが、演奏はうまかったのではないかと考えます。ヒントがないだけ、想像し、演奏家ならではの味を挽き立てることに繋がると考えるからです。
http://drumcorpsfun.jp/individual_1_tanaka.html
しかし、今となってはいつでも音楽を受信、発信できる時代になってしまいました。おまけに、検索エンジンの助けもあってか、キーワードを入れれば答えが出てくるような時代になってしまいました。現代文の問題で、「情報社会論」「身体論」などのテーマが背景にあるのは、現代社会の問題点だからだと考えます。DeNAは、明らかにこれを利用したと言えるでしょう。
答えがすぐに出てくることが、皮肉なことに楽しみが奪われていることになっているのかもしれません。
ですが、これを現代社会の問題点だからと軽く片付けていては始まりません。自分の求める音楽、my own Englishを求めて、無我の境地に達することを目標にしていこうと考えております。
読んでくださり、どうもありがとうございました。
by Kawada (2017-01-01 14:05)
私が学生だった当時も英字新聞や雑誌は英語学習の定番でしたが、そのほか、ヒット曲や映画、またFENや海外短波放送、さらに好きな作品のペーパーバックやアメリカンコミックス、などを”雑食”していました。
素材が限られていたので利用できるものは何でも利用していた、という形に結果的にはなるのでしょうが、実のところ、英語が目的というより、まずはそうしたものが面白かったから、という点が大きかったと思っています。興味が持てるものを通じて、結果として英語に触れていたと言えばいいでしょうか。
そうした一種の「軽み」があったので、英語とのつきあいも長く続けることができたように感じます。もう少し眦を決して学習していればもっと高い英語力が身についていたかもしれませんが・・・。
ということで、「英語学習の先輩」といえるような資格は私にはないのですが、今年もさらなる向上を目指したいと思っています。
by tempus fugit (2017-01-01 21:54)
Tempus fugit様
Tempus fugit様を「英語学習の先輩」と勘違いをしてしまいました。失礼しました。
by Kawada (2017-01-02 14:32)