content-curation website 「まとめ記事サイト」 [和英表現]
ネットのおかげでさまざまな情報が手に入るようになった一方、自分の興味に特化しがちで、思わぬ発見の機会(こういう場合も serendipity といえるのだろうか)が減ったように感じる。そこでヒマをみて本屋に立ち寄ったり、紙の新聞雑誌に目を通したりするように心がけているつもりだ。
そんな風にして手を取った英字新聞で「まとめ記事サイト」にあたる表現を目にしたので、短くメモしておきたい。
DeNAの記事に対する第三者委員会の調査で著作権侵害の恐れが判明したと伝える時事通信の記事にあったもので、14日付けの「ジャパン・ニューズ」(旧「デイリー・ヨミウリ」)紙に載っていた。
TOKYO (Jiji Press) — A total of 747,643 images used for so-called content-curation websites run by mobile game provider DeNA Co. may have infringed copyright, a report by a third-party committee said Monday.
(The Japan News, March 14, 2017)
国内の出来事ということもあって、上記の content-curation websites が「まとめ記事サイト」を指していることは一目瞭然である。
curation は curator からの逆成だと辞書にある。「キュレーター」という形で日本語にもなりつつある。カタカナ語を使う風潮に批判はあるだろうが、英和辞典にある「(美術館や図書館などの)管理人、館長、学芸員」と、専門的知識を持って資料の整理や管理、研究にあたる「キュレーター」とはややズレがあるようで、結局は日本語として定着していくのだろうと思う。
動詞の curate もあり、物理的な文書だけでなくウェブ上の情報についても使うようになっている。それを明記しているのは英語圏のオンライン辞書でもまだ少なかったが、見つかった例としては、
- to select things such as documents, music, products, or internet content to be included as part of a list or collection, or on a website:
a curated library of short movies available online
(Cambridge Advanced Learner's Dictionary)
また content-curation は収録している辞書が見当たらなかったが、ごく最近の新語なのか、あるいは造語として見出し語にはならないということなのかもしれない。いずれにせよネットで実例がいろいろ見つかるので、この形で使われているようになっていることは確かだろう。
ついでに、日本語では「コンテンツ」というが、上の「ケンブリッジ辞典」の定義に internet content とあるように、これを指す英語は -s をつけずに content とするのが正しい。
・・・と偉そうに書いたが、そうした説明をあちらこちらで読んだことがあるからであって、実は私も「いろいろ異なった内容があるのに、なぜ複数にならないだろうか」と不思議に思う。information はいろいろな情報があっても単数の形を取るのと同じようなものだ、と無理やり自分を納得させている。
さて、今回の記事が取り上げていた問題では、著作権侵害もさることながら、「まとめサイト」と称して不正確な内容が盛り込まれ、会社のチェック体制もずさんだったことも批判されている。昨今の fake news とならんで、ネットの持つ怖さであるといえそうだ。
そして冒頭にも書いたように、ネット時代になって、自分の関心のある、あるいは自分の考えに沿う内容に偏って接する傾向に拍車がかかっているように思える。ウェブのコンテンツを見るとさまざまなリンクや関連記事が出てくるが、それも送り手が恣意的に選んだり、閲覧傾向の分析から一方的に表示されたりしているものがほとんどだろう。
アナログとデジタルの違いは技術的な面にとどまらず、こうした社会的な面にも影響を与え、ものの見方や考え方を変えている、と評論家や学者のようなことも考えてしまう。
にほんブログ村
そんな風にして手を取った英字新聞で「まとめ記事サイト」にあたる表現を目にしたので、短くメモしておきたい。
DeNAの記事に対する第三者委員会の調査で著作権侵害の恐れが判明したと伝える時事通信の記事にあったもので、14日付けの「ジャパン・ニューズ」(旧「デイリー・ヨミウリ」)紙に載っていた。
TOKYO (Jiji Press) — A total of 747,643 images used for so-called content-curation websites run by mobile game provider DeNA Co. may have infringed copyright, a report by a third-party committee said Monday.
(The Japan News, March 14, 2017)
国内の出来事ということもあって、上記の content-curation websites が「まとめ記事サイト」を指していることは一目瞭然である。
curation は curator からの逆成だと辞書にある。「キュレーター」という形で日本語にもなりつつある。カタカナ語を使う風潮に批判はあるだろうが、英和辞典にある「(美術館や図書館などの)管理人、館長、学芸員」と、専門的知識を持って資料の整理や管理、研究にあたる「キュレーター」とはややズレがあるようで、結局は日本語として定着していくのだろうと思う。
動詞の curate もあり、物理的な文書だけでなくウェブ上の情報についても使うようになっている。それを明記しているのは英語圏のオンライン辞書でもまだ少なかったが、見つかった例としては、
- to select things such as documents, music, products, or internet content to be included as part of a list or collection, or on a website:
a curated library of short movies available online
(Cambridge Advanced Learner's Dictionary)
また content-curation は収録している辞書が見当たらなかったが、ごく最近の新語なのか、あるいは造語として見出し語にはならないということなのかもしれない。いずれにせよネットで実例がいろいろ見つかるので、この形で使われているようになっていることは確かだろう。
ついでに、日本語では「コンテンツ」というが、上の「ケンブリッジ辞典」の定義に internet content とあるように、これを指す英語は -s をつけずに content とするのが正しい。
・・・と偉そうに書いたが、そうした説明をあちらこちらで読んだことがあるからであって、実は私も「いろいろ異なった内容があるのに、なぜ複数にならないだろうか」と不思議に思う。information はいろいろな情報があっても単数の形を取るのと同じようなものだ、と無理やり自分を納得させている。
さて、今回の記事が取り上げていた問題では、著作権侵害もさることながら、「まとめサイト」と称して不正確な内容が盛り込まれ、会社のチェック体制もずさんだったことも批判されている。昨今の fake news とならんで、ネットの持つ怖さであるといえそうだ。
そして冒頭にも書いたように、ネット時代になって、自分の関心のある、あるいは自分の考えに沿う内容に偏って接する傾向に拍車がかかっているように思える。ウェブのコンテンツを見るとさまざまなリンクや関連記事が出てくるが、それも送り手が恣意的に選んだり、閲覧傾向の分析から一方的に表示されたりしているものがほとんどだろう。
アナログとデジタルの違いは技術的な面にとどまらず、こうした社会的な面にも影響を与え、ものの見方や考え方を変えている、と評論家や学者のようなことも考えてしまう。
にほんブログ村
タグ:科学・技術
にほんブログ村← 参加中です
コメント 0