new-fangled 「新しいものはどうも苦手」 [読書と英語]
このところ毎回表現を拾っている本 The Unknown Unknown から、今回は new-fangled (またはハイフンなしの newfangled) を取り上げたい。「最新式の」「いま風の」「流行の先端を行く」という意味だが、「自分自身は苦手・好まない」というニュアンスを伴って使われるようだ。
読書と書店について書いた The Unknown Unknown では、「電子媒体ではなく、やっぱり紙の本がいい」という声があることを取り上げたくだりに出てくる。
著者は、「活字が発明された時も『手書きが持つ人間味に欠ける』という人がいたように、『前のほうが良かった』というノスタルジアは今に始まったことではない」としたうえで、古代エジプトまで歴史をさかのぼって次のように書いている。
- You can probably go all the way back to 3000 BC and find an Egyptian complaining that hieroglyphics were being pushed out by the new-fangled hieratic script. It never ends.
(The Unknown Unknown by Mark Forsyth)
ふと思いついて自分の学習ノートを調べてみたら、以前アメリカのTVドラマ「刑事コロンボ」で拾った例をメモしていた。それが出てきたエピソードについて書いてもいたが(→ no-holds-barred 「徹底的な」「制限なしに」「何でもありの」 (新・刑事コロンボ「完全犯罪の誤算」))、その時はこの newfangled は取り上げていなかった。
せっかくなのでその実例も紹介しよう。ある事務所に置かれた最新式の事務機器について説明を受けたコロンボが、「こういった機械は苦手でして」と話す場面に出てきた。
- Columbo: All these newfangled gadgets they come out with, they make me nervous. Now my wife, last year she got a home computer. She loves it. Me, I never go near it.
(Columbo: Agenda for Murder)
2つの例をみると、「象形文字が新しい神官文字に代わったことに文句をいう古代エジプト人」、「先端を行く事務機器についていけない刑事」と、どちらも新しいものをありがたがるのではなく、逆に「自分にはあわない」という意味が込められているらしいことがうかがえる。
英和辞典の中にはこうしたニュアンスについて書かれていないものもあるが、英語圏の辞典を見ると、「新しくなったら複雑になり、かえって迷惑」という意味あいがあることを明記しているものがあった。
- used for describing things that you do not like because they are very modern and complicated
She is a fan of various newfangled teaching techniques.
(Macmillan Dictionary)
- derogatory Different from what one is used to; objectionably new.
‘I've no time for such newfangled nonsense’
(Oxford Dictionaries)
- If someone describes a new idea or a new piece of equipment as newfangled, they mean that it is too complicated or is unnecessary.
(Collins English Dictionary)
この単語は、人について「新しもの好きの」という意味で使われることもあるが、その際も、その人を評価するのではなく軽蔑的な意味あいを伴っている、と辞書に書かれている。注意が必要な単語のひとつといえるだろう。
ところで紙の本といえば、「電子辞書では英語力はつかない。やはり紙の辞書でなければダメだ」という声がある。私はどちらにも長所があると思い、どちらも愛用しているので、上記のような二者択一の考えには与しない。電子辞書の長所について以前書いたこともある(→ 電子辞書を電車で読む)(→ 電子辞書はこう使え!)。
ところが今や、スマホのアプリで辞書が利用できるようになってきていて、電子辞書も旧い機器になりつつある。コンテンツと機能、使いやすさで最強だと思っていたS社が、残念なことに電子辞書から撤退したのはその象徴だろう。
しかし、語彙・成句・例文を複数の辞書で横断的に調べる串刺し検索などは、スマホでもできるのだろうか。そうしたアプリが newfangled な存在にみえる旧世代の私にとって、やはり電子辞書は手放せそうにない。
参考記事:
・physical book 「紙の本」
http://eigo-kobako.blog.so-net.ne.jp/2017-03-31
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読書と書店について書いた The Unknown Unknown では、「電子媒体ではなく、やっぱり紙の本がいい」という声があることを取り上げたくだりに出てくる。
著者は、「活字が発明された時も『手書きが持つ人間味に欠ける』という人がいたように、『前のほうが良かった』というノスタルジアは今に始まったことではない」としたうえで、古代エジプトまで歴史をさかのぼって次のように書いている。
- You can probably go all the way back to 3000 BC and find an Egyptian complaining that hieroglyphics were being pushed out by the new-fangled hieratic script. It never ends.
(The Unknown Unknown by Mark Forsyth)
ふと思いついて自分の学習ノートを調べてみたら、以前アメリカのTVドラマ「刑事コロンボ」で拾った例をメモしていた。それが出てきたエピソードについて書いてもいたが(→ no-holds-barred 「徹底的な」「制限なしに」「何でもありの」 (新・刑事コロンボ「完全犯罪の誤算」))、その時はこの newfangled は取り上げていなかった。
せっかくなのでその実例も紹介しよう。ある事務所に置かれた最新式の事務機器について説明を受けたコロンボが、「こういった機械は苦手でして」と話す場面に出てきた。
- Columbo: All these newfangled gadgets they come out with, they make me nervous. Now my wife, last year she got a home computer. She loves it. Me, I never go near it.
(Columbo: Agenda for Murder)
2つの例をみると、「象形文字が新しい神官文字に代わったことに文句をいう古代エジプト人」、「先端を行く事務機器についていけない刑事」と、どちらも新しいものをありがたがるのではなく、逆に「自分にはあわない」という意味が込められているらしいことがうかがえる。
英和辞典の中にはこうしたニュアンスについて書かれていないものもあるが、英語圏の辞典を見ると、「新しくなったら複雑になり、かえって迷惑」という意味あいがあることを明記しているものがあった。
- used for describing things that you do not like because they are very modern and complicated
She is a fan of various newfangled teaching techniques.
(Macmillan Dictionary)
- derogatory Different from what one is used to; objectionably new.
‘I've no time for such newfangled nonsense’
(Oxford Dictionaries)
- If someone describes a new idea or a new piece of equipment as newfangled, they mean that it is too complicated or is unnecessary.
(Collins English Dictionary)
この単語は、人について「新しもの好きの」という意味で使われることもあるが、その際も、その人を評価するのではなく軽蔑的な意味あいを伴っている、と辞書に書かれている。注意が必要な単語のひとつといえるだろう。
ところで紙の本といえば、「電子辞書では英語力はつかない。やはり紙の辞書でなければダメだ」という声がある。私はどちらにも長所があると思い、どちらも愛用しているので、上記のような二者択一の考えには与しない。電子辞書の長所について以前書いたこともある(→ 電子辞書を電車で読む)(→ 電子辞書はこう使え!)。
ところが今や、スマホのアプリで辞書が利用できるようになってきていて、電子辞書も旧い機器になりつつある。コンテンツと機能、使いやすさで最強だと思っていたS社が、残念なことに電子辞書から撤退したのはその象徴だろう。
しかし、語彙・成句・例文を複数の辞書で横断的に調べる串刺し検索などは、スマホでもできるのだろうか。そうしたアプリが newfangled な存在にみえる旧世代の私にとって、やはり電子辞書は手放せそうにない。
参考記事:
・physical book 「紙の本」
http://eigo-kobako.blog.so-net.ne.jp/2017-03-31
The Unknown Unknown: Bookshops and the Delight of Not Getting What You Wanted
- 作者: Mark Forsyth
- 出版社/メーカー: Icon Books Ltd
- 発売日: 2014/09/04
- メディア: 文庫
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タグ:刑事コロンボ
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